JUNSKY blog 2015

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裁判員制度を解り易く表現

2008-04-24 22:33:15 | 司法・裁判
 ビッグコミック・オリジナルという若者向けのマンガ雑誌があるが、その中で【弁護士のくず】という連載がある。
 いつものランチハウスで昼休みに読んでいる。



 5月5日付けの内容は、近未来『SF』である。

 と、言うのは裁判員制度が始まった来年が舞台であるから。
くず(九頭)は、裁判員制度がとんでもない出来損ないの制度だと考えているようであるが、パラリーガル(弁護士を補佐する同僚)の女性は、この制度の長所を語る。
 一応、一方的ではなくバランスをとった“演出”を行っている。

 裁判員制度が対象とするのは、殺人や放火・強盗傷害などの重大事犯であり、このままでは「死刑」を宣告することもあり得ることを紹介し、職業裁判官なら自ら選んだ仕事ゆえに「死刑宣告する」責任があるが、抽選で選ばれた一般人にそのような責任を負わせて良いのかとも問うている。
 その部分をメモしてきたので引用すると。

 (市民の良識で判断するというが、裁判員制度の対象となるのは)「殺人とか放火とか強盗とか重罪事件ばっかだぞ。時には死刑にしなきゃならないこともあるぞ、寝覚め悪いぞ~~。
 (裁判について)しゃべると6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金だぞ。
なんでクジで選ばれてそんな苦役を課されなきゃいけねえんだよ!
 そんなタイヘンなことは裁判官にやらせとけばいいんだ。
 そのために、裁判官は身分を保証されて高い給料をもらってんだろうが!


 今回のマンガでは、裁判員に指名された人々の困惑と迷惑を描いてもいる。
あるリストラ対象の社員は、有給休暇も取れないのに、裁判員で何日も会社を空けたら首になると裁判所に申し立てるが、裁判所は「大丈夫です。裁判員になったことで不利な扱いをしてはならないと法律で決まっています」と言う。そこで、その会社員は独り言で「有給休暇だって法律で決まっているのに自由に取れないじゃないか」とボヤキ、法律で保護されるはずが無いと思っている。
 そこのところも短く引用すると 

 (裁判員に選ばれたことで仕事に来れないなどの事情で)「雇用者が不利益を課する事は一切禁止されています」というが「そりゃ法律ではそう決めているかも知れないけど・・・有給休暇だって、法律では取っていいんだろ? ・・・ 


 他にも、確かにそうだろうというエピソードを散りばめ、裁判員制度の問題点を暴いてゆく。

 くずが弁護を担当し、その会社員も参加する裁判では、裁判所が三日間で結論を導き出すことにしたのだが、くずは裁判の延期を申し出る。そうすると、裁判員の日程が限られているので、延期は無理だと裁判官が主張する。
 くずは、

 裁判員の負担を軽くするために、裁判が粗雑になってしまったら本末転倒ではないですかっ! 

と叫ぶ。
 今回はそこで終わり、続きは次号である。

 このマンガは、裁判員制度の問題点をズバリ突いていて且つ解り易い。

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「被害者参加」で模擬裁判 最高裁がモデルを作成(共同通信) - goo ニュース

インサイダー 野村証券・中国人社員逮捕

2008-04-24 09:38:15 | 事件・事故
 メルマガ配信を受けている、【河北新報】の本日付の社説は、業界最大手・野村証券で起きたインサイダー取引を厳しく取上げている。

 野村証券の記者会見での弁明における責任感と緊張感と罪悪感の無さについては、NHKニュースの解説員も批判していたが、日本の証券業界と株取引に関する信頼性をなくし、個人投資家の腰が引ける作用を及ぼすのは避けがたい。
 その上、国際市場における日本の証券業界の信用を失墜させたという意味で、責任は重大である。

 穿った見方をすれば、このインサイダー取引を行った中国人(主犯は京都大学・留学生だったとのこと)の犯行の目的は、業界最大手の野村証券をターゲットにしてインサイダー取引という中枢情報に接するものにしか行えない行動を起こすことで、証券業界の情報管理の『大穴』を明らかにして、日本経済の脆弱性を公にし、日本経済に決定的ダメージを与えることであったかも知れない。

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以下、長くなるが「河北新報」の社説を全文引用する。

 野村証券元社員逮捕/これ以上の裏切りはない

 株式市場の公平性、透明性を損なう、あってはならない事件が発覚した。
 業界最大手、野村証券の社員だった中国人らがインサイダー取引の疑いで東京地検に逮捕された。企業の合併・買収(M&A)が進む中で、こともあろうに、その仲介業務に携わる者が、立場を悪用し機密情報を使って不当に利益を得ていた。

 個人の行為とはいえ、上場企業の株価に影響する未公開情報の管理を徹底できなかった野村の責任は重大だ。企業に対する背信であるばかりでなく、市場や業界に向けられている投資家の信用をも裏切る事件だ。再発防止のためにも、金融当局には厳正に対処してもらいたい。
 元社員は、野村でM&Aや株式公開買い付け(TOB)を担当する企業情報部に在籍していた。企業の内部情報が集まる中枢部署で、企業にインサイダー取引の防止をも助言する立場だ。社内でも一段と厳しい機密保持義務が課せられている。

 ところが、この元社員は自らの手を汚すことなく、知人の中国人兄弟に機密情報を伝えて不正取引させ、5000万円弱の利益を上げていたとみられている。
 だが、野村は「個人的な事件」(渡部賢一社長)として責任を逃れることはできない。不正取引したとされる株の銘柄の中には、元社員が担当した企業以外のものもあるという。情報管理に甘さがあったとしか思えない。管理体制を徹底的に点検し再発防止につなげなければ、顧客の信頼を回復できまい。

 M&Aはここ4年ほどで急増し、その数は年間2700件を超す。少子高齢化で国内市場の成長が頭打ちになる中、企業による業界の再編や優良な海外企業の買収が活発だ。仲介ビジネスを担う証券会社の今や「ドル箱」であり、成長を目指す新たな企業を誕生させることで経済の活性化にも寄与している。
 その盟主である野村で起きた事件だけに、企業が証券会社に不信を抱き、M&Aに二の足を踏むことになりはしないか。懸念材料の一つだ。

 もう一つ、心配なのは一般投資家に及ぼす影響だ。超低金利の中で個人資産の運用を貯蓄から株式投資へ、と証券業界は旗を振る。だが、国内投資家は海外の投資信託に流れる傾向にある。これでは、せっかくの資産が日本企業の成長支援に回らず、ひいては国内株式市場の健全な発展に結び付かない。今回の事件で投資家に失望感が広がれば、資産の海外流出を加速しかねない。

 本格的なM&A時代を迎え今回、人材の国際化、流動化をめぐる問題もクローズアップされた。海外企業が相手だけに、その国の法制度や慣行を熟知した人材が必要なのは仕方ない。採用や社員教育の在り方を見直し、情報管理・法令順守の徹底を図ることが急務だ。
 最近相次ぐインサイダー取引で、当局はついに逮捕に踏み切った。摘発を受けたNHK記者、公認会計士らに見られたのは職業倫理の欠如だ。公平な資本市場の形成に携わる職業人のモラルが厳しく問われている。
             河北新報 2008年04月24日木曜日

 
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