東京電力が福島第1原発事故をめぐり、2日に公表した事故調査報告書について、
各マスメディアが報道している。 全体として厳しい評価である。
何しろ、事故から8ヶ月も経過しているというのに、肝心なことは何も解明されず、
いまだに使い古した「想定外」との趣旨を連発しているようなのである。
昨日の、当ブログ記事で河北新報のズバリ核心をついて批判社説を御紹介したので
私は、二番煎じであれこれ言わないが、参考までに朝日新聞と、これらとは
全く傾向が異なる思潮である産経新聞の記事を引用して掲載する。
東電事故調報告 多くの謎、未解明
(産経新聞) - 2011年12月3日(土)08:00

津波対策「最新知見を反映」
=想定甘さに言及なく―社内調査で中間報告・東電
(時事通信) - 2011年12月2日(金)15:03
「揺れは想定内、津波は想定外」東電が中間報告書
(朝日新聞) - 2011年12月2日(金)23:36
想定超す津波、原因 原発事故 説明踏襲、弁明に終始
(産経新聞) - 2011年12月3日(土)08:00
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東電事故調報告 多くの謎、未解明
(産経新聞) - 2011年12月3日(土)08:00
■「何もできない」「残ってくれ」
福島第1原発事故をめぐり、東京電力が2日に公表した事故調査報告書。発電所員への聞き取り調査などで、事故直後の緊迫した状況が浮かび上がった。一方、事故検証では「予測できなかった」「(厳しい環境で)難しかった」などの言葉が躍り、“想定外”を強調。これまで謎とされてきた、多くの事項についても未解明のままで課題を残した。
◆「ボコッ不気味な音」
「海水が流れ込んできている!」。福島第1原発に津波が押し寄せた3月11日午後3時半すぎ、原発をコントロールする中央操作室に運転員が駆け込んできた。室内の電源のランプが点滅を始めると、一斉に消灯。暗闇に包まれた。
「操作もできず、手も足も出ないのに、われわれがここにいる意味があるのか」。運転員から噴出する不満や不安の声。対応した責任者は頭を下げ、「ここに残ってくれ」と懇願するしかなかった。
東電による聞き取り調査で判明した、事故直後の状況だ。ほかにも原子炉の圧力を抜くベント作業に向かった作業員は「ボコッ、ボコッと大きく不気味な音を聞いた」と証言。高温場所で「長靴がズルッと溶けた」こともあった。
◆事実の列挙のみ
報告書で詳述された事故直後の状況だが、肝心の事故原因などについては事実関係の列挙に終始。具体的な政府とのやりとりや、判断を下した背景についての説明はなかった。
例えば、多くの専門家が高い関心を寄せる1号機の「非常用復水器(IC)」の操作については、従前の説明を繰り返すのみ。ICは緊急時に原子炉を減圧・冷却する重要な装置だが、津波直後に運転員が約3時間停止させている。
東電は「ICが空だきになって壊れ、放射能が外に出るのを防ぐため止めた」と説明するが、稼働していれば事故拡大を防げた可能性があり、操作の妥当性は検証課題として残った。
◆「全て明らかに」
ほかの謎も未解明のままだ。ベント作業が遅れた点も、準備指示が出てから14時間近くかかった理由を十分に説明できていない。
2、3号機では非常用冷却システムが稼働し、燃料溶融まで2、3日の余裕があったが、その間、具体的にどのような対策を講じてきたかも説明不足だ。
九州大の工藤和彦特任教授は「事故当時の人の動きなど、東電にしか分からない情報がたくさんある。当時、運転員はどのような指示で、どう考えて事故対応にあたったのか、全て明らかにするのが東電の責務だ」と話している。
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「揺れは想定内、津波は想定外」東電が中間報告書
(朝日新聞) - 2011年12月2日(金)23:36
東京電力は2日、福島第一原発の事故調査に関する中間報告書を公表した。法令や国の指導に基づいて安全対策を施し、過酷事故に備えたが、想定を超える津波に襲われて事故が起きたと結論づけた。自己弁護ともとれる内容で、報告書を検証した外部の専門家らの指摘ともかみ合わず、不明な点も多く残った。
報告書は、東電が作った事故調査委員会が、計測されたデータや運転員ら250人以上の聞き取りをもとに作成した。だが、1号機の原子炉建屋で爆発前に放射線量が異常に上昇したにもかかわらず、水素爆発を考えずに対策をとらなかった経緯などは記述がなく、不明のままだ。
地震直後に1号機で起動した原子炉を冷やす非常用復水器については、運転員の判断で手動で止めた。しかし、運転し続けたとしても、すでに炉心損傷は起きており、事故の拡大は防げなかったとの見解を示した。
機器の故障を想定して複数の非常用冷却設備を設置するなどの事前の対策が、国の安全審査に適合していたことを強調。過酷事故への対応策も「国と一体になって整備を進めた」と記した。
今回の地震は2002年に示された国の地震調査研究推進本部の見解や、869年の貞観地震より震源が広範囲な巨大地震だったが、揺れは想定と同程度で、確認した範囲では揺れによる安全上重要な機器の損傷はないとした。一方、津波は想定を大きく超え、最新の知見に沿って自主的な検討や調査もしたが、結果的に津波に対する備えが足りず、被害を防げなかったと説明した。
このため、非常用発電機は6号機の1台を除きすべて使えなくなった。安全の想定を超えた事象が起き、原子炉を冷やすための機能が失われ、1~3号機で炉心損傷が起きた。さらに原子炉建屋で水素爆発が起きた。
津波到達後は、消火用の配管を使って原子炉を冷やす作業を実施。事故対応のマニュアルにはなかったが、消防車のポンプを使うなど臨機応変の動作を試みたなどとした。
東電は今回、矢川元基東京大名誉教授ら外部の専門家による検証委員会を設置し、調査内容について意見を聞いた。委員会は「事故の直接の原因は未曽有の津波だが、アクシデントマネジメント(過酷事故対策)を含むハード面、ソフト面での事前の安全対策が十分でなかった」とし、「過酷事故が起こり得ないという『安全神話』から抜け出せなかったことが背景にある」と指摘した。
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想定超す津波、原因 原発事故 説明踏襲、弁明に終始
(産経新聞) - 2011年12月3日(土)08:00
東京電力は2日、福島第1原発事故を受けて社内事故調査委員会がまとめた中間の事故調査報告書を公表した。想定を超える津波が建屋内に流れ込んだことで全電源を失い、事故時に作動が期待された機器の除熱機能を喪失したことが直接の原因とした。津波対策を「建屋敷地レベルが想定津波の高さを上回り、機器に影響を及ぼすとは考えず、特別な対策を講じていなかった」などと弁明に終始し、これまでの説明をほぼ踏襲した。来年6月に最終報告書をとりまとめる。
報告書は、現場確認や残されたデータなどから「安全上重要な機器に地震による損傷はない」とし、津波による浸水(海抜11・5~15・5メートル)が事故拡大の原因になったとした。
津波対策で、東電は平成14年に新しい評価手法で想定する高さを最大5・7メートルに引き上げ、過去の大地震の影響も検討。10メートル超の試算も出したが対策に反映させず、報告書は「さまざまな取り組みをしたが、津波は想定を大きく超え、被害を防げなかった」とした。
水素爆発は1、3、4号機で計3回発生したとして、2号機では爆発は起きていないと推定。4号機の爆発音と同時期に2号機格納容器につながる圧力抑制室の圧力がなくなったことについては、「計器の故障の可能性が高い」とした。
また、3月12日朝の菅直人首相(当時)の現場視察に関しては、原子炉内の圧力を下げるため蒸気を放出する「ベント」作業への影響はなかったとしたほか、東電が首相官邸に「全員撤退」の意向を伝えたとされる点についても否定。社内調査委の委員長を務めた山崎雅男副社長は会見で「全員撤退という社内の記録は残っていない」と述べた。
一方、中間報告に対し、社外有識者による検証委員会(委員長・矢川元基東京大名誉教授)は「津波対策は安全側の発想に立ち、取り組んでいた」としたが、「今回のような全電源喪失といった事故の想定を行わなかったことは、結果としてアクシデントマネジメント(過酷事故対策)における想定が不十分だったと評価せざるを得ない」と指摘した。
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