九州電力は、玄海原発1号機の耐性評価(ストレス・テスト)の
1次評価結果を、経済産業省原子力安全・保安院に提出した、と云う。
玄海1号機の耐性評価提出=九電
(時事通信) - 2012年8月13日(月)16:59
これまでの九州電力のやってきたことを考えても信用できる内容では無い!
尤も、報道された この評価結果を見ても安全どころか不安だらけである。
まず一つ取り上げると「耐震性評価数値」である。
玄海原発1号機の耐性検査、1次評価を提出
(読売新聞) - 2012年8月13日(月)20:45
安全性は 約 【1.61倍】 だと云う。
何に対して 【1.61倍】 なのかというと、「設計時に想定した揺れ」に対して。
それでは、その「設計時に想定した揺れ」は如何程かと云うと
【540 Gal】 (重力加速度は、980 Gal) だと云う。
すなわち、540 Gal × 1.61倍 = 870 Gal
870 Gal とは、【重力加速度】にも満たない極めて低い耐震性である。
阪神淡路大震災や、東日本大震災では、多くの地点で【重力加速度】を超え、
2000 Gal 前後の数値も至るところで出現した。
以前にも書いたが、原発と比べればはるかに危険性が小さい
私どもが設計する機械の場合でも、通常許容応力度の2倍程度の安全性は
確保している。 協力関係にあるカナダのメーカーでは3倍。
鉄鋼で言えば、許容応力度の2倍(1/2)は、破壊強度の5倍(1/5)だ。
参考:鉄鋼(SS400)の場合
許容応力度:1600kg/cm2 (長期),2400kg/cm2 (短期)
破断応力度:4100 kg/cm2
に対して、通常 800kg/cm2 以下で使用するよう設計する。
(会社によって安全率設定は異なります)
そういう『常識』から比べても、原発の耐震安全率は、極めて低いと
言わなければならない。
新聞社各社にも、この程度の機械安全に関する初歩的知識を持った記者は
居るはずなのにも関わらず、どの新聞も原発の耐震性 (この例では870 Gal)
について、この面から問題点を指摘するつもりはないようだ。
九電、全原発の耐性評価終了 玄海1号機「安全」報告
(朝日新聞) - 2012年8月13日(月)18:41
(朝日新聞までが見出しに「安全」と表示する有り様)
この「決定的強度不足」は、何も玄海原発1号機だけの問題では無い。
日本中の全ての原発が、この程度のお粗末な耐震性しかないのである。
その上、玄海原発は脆性遷移温度が老朽化を示していたにも関わらず、
そのインディケーターや計算方式に問題があったようにすり替えて
危険性を覆い隠して【老朽化問題ない】(西日本 - 8/13)としている。
九電、玄海1号安全評価を提出 老朽化問題ない
西日本新聞 - 2012年8月13日(月) 19:27
既に福島原発があのような惨状を示しているにも関わらず、危険性を
まともに評価せず、「安全」と自己主張する気が知れない。
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話は変わるが、
【経済産業省原子力安全・保安院は10日、専門家の意見聴取会を開き、
九州電力川内原発(鹿児島県)など5原発を「敷地内に活断層がない」
と、結論付けた。】(読売新聞 - 8/10) と云う。
1年も経たない前に、玄海原発付近に活断層の疑いを指摘されたばかり
なのに、新たに調査しないで、過去の掘削データだけで、活断層が無い
と決めつけたらしい。
保安院も学者も原子力村住民だからある意味では、当然の結論であろう。
(というか、そういう結論を出してくれる有識者を集めたんだろう。)
しかし、「敷地内に活断層がない」 なら
安全なのか? と云う問いには全く答えになっていない。
福島原発の事故は、必ずしも敷地内の断層のズレによって起こった訳では
無く、東北沖はるか数百kmで起こった断層のズレによる大地震で第一撃に
さらされて高圧電線の鉄塔が倒れたことが主要な原因と言われている。
その後の津波によって予備電源も喪失してあの事態に至った。
「敷地内に活断層がない」 ことなど何の担保にも成らない。
川内など5原発、「敷地内に活断層ない」と結論
(読売新聞) - 2012年8月10日(金)21:32
(上の画像は、西日本新聞 - 2011年6月1日 00:17付け )
玄海原発に関する活断層などの【関連記事】
全国の原発 地下の亀裂再点検
NHK - 2012年8月11日 14時52分
活断層再点検:「もんじゅ、美浜は現地調査を」 保安院
毎日新聞 - 2012年08月11日 02時13分
川内など5原発、「敷地内に活断層ない」と結論
読売新聞 - 2012年8月10日21時32分
「福島震撼、検証玄海」崩壊 安全神話(2)
佐賀新聞 - 2011年03月27日
(上記 佐賀新聞記事より)
活断層連動「影響なし」 九電 玄海原発など保安院に報告 佐賀
産経新聞Web (佐賀発) - 2012.3.1 02:37
地震動に関する知見を踏まえた活断層の連動に関する報告概要
九州電力 - 2012年2月29日
こちらは、九州電力の報告書
玄海原子力発電所及び川内原子力発電所 敷地内の断層評価について
九州電力株式会社 - 2012年7月3日
しかし、タイトルを見ていただいたら解るように、単に
「敷地内に活断層が無かった」と言っているだけで、この報告書に
おいてさえ玄海原発周辺に活断層が多くあることは認めている。
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玄海原発の危険性などの【関連記事】
九電が非公開扱いしていた 玄海原発の M8.1 に 『想定 “上げた” 試算』 公表
JUNSKY blog 2011 - 2011年6月1日(水)
九電・玄海原発の耐震設計に“人為”ミス? (入力数値を1/10に過小評価)
JUNSKY blog 2011 - 2011年7月23日(土)
福島第二原発2号機の耐震安全性の解析データに誤り 九電玄海に続き・・・
JUNSKY blog 2011 - 2011年8月11日(木)
関西電力・高浜原発も! 【耐震性評価のデータ入力 “ミス”?】
JUNSKY blog 2011 - 2011年8月23日(火)
九州電力の身勝手と安全軽視!(脆性遷移温度関連記事)
JUNSKY blog 2011 - 2011年11月26日(金)
大元の想定が極めて低く、強度安全率も2倍未満の危険な原発は即時停止を!
JUNSKY blog 2011 - 2011年12月15日(木)
九電 原発ストレステスト結果 「安全性に十分余裕」(朝日) と無批判な見出し!
JUNSKY blog 2011 - 2011年12月16日(金)
玄海・川内原発事故シミュレーション (西日本新聞 5/11)
JUNSKY blog 2012 - 2012年5月11日(金)
佐賀・玄海原発1号機原子炉「58年間健全」:保安院 嘘ばっかり!
JUNSKY blog 2012 - 2012年8月1日(水)
これだけの問題が解決されていないのに、「安全」とはよく言えたものだ!
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玄海1号機の耐性評価提出=九電
(時事通信) - 2012年8月13日(月)16:59
九州電力は13日、定期検査で停止中の玄海原発1号機(佐賀県玄海町)に対するストレステスト(耐性評価)の1次評価結果を、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。地震は設計時に想定した揺れ(540ガル)の約1.61倍までの安全性を確認。防水対策を強化し、津波は想定(2.1メートル)の約6倍の13メートル(対策前は6.6メートル)まで安全とした。
また、電源車の配備などにより、全電源を喪失した場合も約65日間は原子炉の冷却が可能と評価。原子炉に亀裂や腐食はなく、耐震安全性に影響はないという。
九電、玄海1号安全評価を提出 老朽化問題ない
西日本新聞 - 2012年8月13日(月) 19:27
九州電力は13日、玄海原発1号機(佐賀県玄海町)の安全評価(ストレステスト)で「十分に安全」とする1次評価結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。想定以上に老朽化しているとの指摘で遅れていたが問題ないと判断。これで九電管内全6基の評価結果が出そろった。
評価結果によると、原子炉にある核燃料は、高圧発電機車の配置などの緊急安全対策で、基準地震動(540ガル)の約1・61倍の揺れや、13メートルの津波に耐えられるとした。ただ 地震に対する1・61倍という値は、九電の6基中で1番低い。
九電、全原発の耐性評価終了 玄海1号機「安全」報告
(朝日新聞) - 2012年8月13日(月)18:41
九州電力は13日、玄海原発(佐賀県玄海町)1号機のストレステスト(耐性評価)の1次評価結果を国に報告した。設計時の想定を上回る地震や津波にあっても「安全性に余裕がある」とした。九電はこれで、保有する玄海、川内(鹿児島県薩摩川内市)両原発の全6基の評価を終えた。
1975年に運転を始めた玄海1号機は九電の原発では最も古い。昨年5月には、原子炉圧力容器の劣化を示す数値が想定以上に高いことが分かり、老朽化の影響が指摘されている。再稼働の危険性を指摘する意見も専門家から出ているが、九電は「圧力容器の強度は保たれている」という前提で評価を実施した。
玄海原発1号機の耐性検査、1次評価を提出
(読売新聞) - 2012年8月13日(月)20:45
九州電力は13日、定期検査で停止中の玄海原子力発電所1号機(佐賀県)について、ストレステスト(耐性検査)の1次評価をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に提出した。
東日本大震災後の安全策強化で、従来の想定の6倍超となる高さ13メートルの津波でも、東京電力福島第一原発事故のような炉心溶融は起きないとした。地震の揺れも、想定の約1・6倍の869ガル(ガルは加速度の単位)まで問題ないとした。
再稼働の前提となる1次評価提出は26基目。しかし、保安院などによる検討を経て、再稼働にこぎ着けたのは、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)だけ。残った24基の耐性検査をどう判断するかは、9月発足の原子力規制委員会に委ねられる。九州電力は「社内の評価作業を終えたので提出した」と説明している。
川内など5原発、「敷地内に活断層ない」と結論
(読売新聞) - 2012年8月10日(金)21:32
全国の原子力発電所の敷地直下に活断層があるかどうかを調べている経済産業省原子力安全・保安院は10日、専門家の意見聴取会を開き、九州電力川内原発(鹿児島県)など5原発を「敷地内に活断層がない」と、結論付けた。
川内以外の4原発は九電玄海原発(佐賀県)、四国電力伊方原発(愛媛県)、日本原子力発電東海第二原発(茨城県)、東北電力女川原発(宮城県)。
聴取会の専門家4人が、各原発の敷地内の断層について
〈1〉原子炉直下で地震を起こす
〈2〉敷地近くの活断層に引きずられて動き、地盤をずらす
〈3〉遠くの地震が影響して地盤をずらす
――のいずれかに該当するかどうかを検討。
過去の掘削調査の結果などから、5原発はどれにも当てはまらないと判断した。
一方、福井県の関西電力美浜原発と日本原子力研究開発機構「もんじゅ」は〈2〉に、関電高浜原発は〈3〉に、それぞれ該当する可能性があるとして、結論を出すための追加調査を求めた。中部電力浜岡原発(静岡県)と中国電力島根原発(松江市)も〈3〉に該当する。
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