6年前に高校生が挟まれて死亡した事故と同様の事故が同じ会社の
エレベーターで『再発』した。
当時指摘されていた改善すべき事項が放置されたまま「再発防止処置」
が、取られて来なかったためである。
法や基準の改正も行われたが、いわゆる「既存不適格」によって、
法改正前の設備には遡及しない『ザル法』であったために再発してしまった。
事故原因の詳細は、これから解明されることだろうが、報道によれば、
前回の事件同様、ブレーキが甘くなりスリップして保持できなかったために
電気的には停止状態にも関わらず、機械的に滑って上昇してしまったようだ。
これを防止するための処置として、いわゆる「W-ブレーキ化」が推奨
されていたが、当該のエレベーターには、その処置が施されていなかった。
産経新聞Web版の詳しい記事によると、6年前の港区の事故では、
【事故前に段差や目的の階に停止しないなどの不具合が頻発。】
していたという。
これはおそらく電気的にはモーターが停止し、ブレーキも作動したが、
ブレーキが摩耗していたために、すぐには止まらずに云わば位置がズレた
状態だったと考えられる。
こういう症状が出た場合は、ブレーキの摩耗など機械的状態をチェックする
必要がある。 今回のケースでは乗り込む前にズレていたらしい。
被害者が、この異様な状態のエレベーターに乗り込んだということは、
こういう状態が云わば日常化していたのではないか?と推測される。
すなわち、スリップ症状が発生し、事故の予兆が出ていたのだろう。
時事通信(11/1付け)によると、
【最近はシンドラー社が2月7日、日本エレベーター工業が10月15~16日
に点検していたが、異常はなかったという。 】
とのことだが、保守点検の能力や手順にも問題があったのではないだろうか?
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私が勤める会社でもエレベーターではないが、舞台の「昇降装置」が主たる
製品なので、心して保守点検を行わなければならないと思う。
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金沢エレベーター事故 繰り返された悲劇
補助ブレーキ普及進まず
(産経新聞) - 2012年11月2日(金)08:05
シンドラー社製、二重安全24台だけ…5千台中
(読売新聞) - 2012年11月2日(金)15:47
06年の事故機と同型
=金沢のエレベーター死亡事故
(時事通信) - 2012年11月2日(金)12:55
シンドラー社支店など家宅捜索
エレベーター死亡事故
(朝日新聞) - 2012年11月1日(木)20:55
シンドラー支社など捜索
=エレベーター死亡事故―業過致死容疑で石川県警
(時事通信) - 2012年11月1日(木)20:48
エレベーターに挟まれ女性死亡
=金沢のホテル、シンドラー社製
(時事通信) - 2012年11月1日(木)00:44
エレベーター急上昇、清掃員挟まれ死亡 金沢のホテル
(朝日新聞) - 2012年10月31日(水)21:44
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金沢エレベーター事故 繰り返された悲劇
補助ブレーキ普及進まず
(産経新聞) - 2012年11月2日(金)08:05
扉が開いたまま上昇、かごと乗降口に大きな段差…。アパホテルの女性従業員死亡事故は、平成18年の東京都港区の高校生圧死事故と重なる。製造元も同じシンドラーエレベータ社。港区の事故を教訓に国土交通省が安全基準を高めるなどしていたが、事故は繰り返された。
今回の事故では扉が開いたところ、段差があり、乗り込もうとした女性従業員がつまずき転倒。扉が開いたまま上昇し、かごの床と扉上部の枠の間に胴が挟まれたとされる。
港区のケースでは、事故前に段差や目的の階に停止しないなどの不具合が頻発。国交省の昇降機等事故対策委員会(当時)は「不具合の原因究明で事故が防止できた可能性は否定できない」と指摘していた。
港区の事故はエレベーターの昇降を制御するブレーキの異常が直接の原因とされたが、アパホテルの事故機も同種のブレーキだったという。全国では他にも同種が約80台存在。シンドラー社の大月通明代表取締役は「一般に利用されているものもある」と明かした。
80台の中には段差などの不具合が数件報告され、シンドラー社は18、19年に改善。ブレーキについては港区の事故を受け、制御不能となるのを避けるため摩耗状態を監視するセンサーを設置していた。アパホテルの事故機にも付けていた。大月代表は「安全基準を満たしていた」と強調したが、シンドラー社はこの80台を含め、1日から保守管理する約5500台の緊急点検に乗り出した。
一方、再び起きた事故は安全基準の問題も露呈させた。港区の事故を契機に、扉が開いたまま動くとセンサーが感知して系統の異なるブレーキが働くように改善された。ただ、こうした補助ブレーキの義務化は21年9月28日以降に着工した建物のエレベーターに限られ、それ以前は対象外。アパホテルの事故機にも設置されていなかった。
日本エレベーター協会によると、全国では約70万台のエレベーターが稼働。うち9割程度が補助ブレーキを付けていないとみられる。補助ブレーキは後付けも可能だが、数百万円の費用を要する場合もあり、普及が進んでいない。
国交省は今年4月から改修に要する費用の3分の1の補助(上限)に乗り出した。その矢先の事故。同省は事故原因の究明を急ぐとともに、補助ブレーキの普及に力を入れる。
【用語解説】シンドラーエレベータ社
エレベーターやエスカレーターなどの設置や保守管理を行い、東京都江東区に本社を置く。前身は昭和29年に設立された日本エレベーター工業で、平成3年にスイスに本部を置くシンドラーホールディングの傘下に入って社名を現在のものに変更した。ホームページによると、シンドラーグループの社員は100カ国以上で約4万3000人。
シンドラー社製、二重安全24台だけ…5千台中
(読売新聞) - 2012年11月2日(金)15:47
全国に約5500台あるシンドラーエレベータ社製のエレベーターのうち、「安全装置の二重化」の措置が24台にしか取られていなかったことが同社への取材で分かった。
同社は二重化した安全装置の販売を今年4月に始めたばかり。1台800万円で、まだ24台しか設置していないという。国土交通省は今年度から、安全装置の工事費用の3分の1を補助しているが、同社の製品は対象外だったという。
同社は「価格はブレーキ以外の制御装置などを含めたもので適切と考えている」としている。
一方、事故が起きたホテルを経営するアパホテル東京本社の広報担当者は「シンドラー社からの毎月の点検報告で、安全性は十分確保されていると判断した」と話した。
06年の事故機と同型
=金沢のエレベーター死亡事故
(時事通信) - 2012年11月2日(金)12:55
金沢市の「アパホテル金沢駅前」の「シンドラーエレベータ」製業務用エレベーターで清掃員前多外志子さん(63)が死亡した事故で、今回の事故機が2006年に東京都港区で発生した死亡事故の機種と同型だったことが2日、シンドラー社への取材で分かった。
シンドラー社によると、二つの事故のエレベーターはいずれも1998年に設置されており、ワイヤを巻き上げる機械やブレーキが同じ型番だった。
港区の事故は06年6月に発生。公営マンションの12階で、高校2年の男子生徒=当時(16)=がエレベーターから降りようとした際、扉が開いたままかごが上昇し、エレベーターの床と乗降口の上枠に挟まれ、死亡した。
事故調査報告書によると、部品の一部が摩耗したことでブレーキの力が弱くなったことなどが原因とされている。
関係者によると、石川県警や国土交通省などが1日に行った現場検証では、機械の破損など一見して分かる故障は見つからなかった。
シンドラー社支店など家宅捜索
エレベーター死亡事故
(朝日新聞) - 2012年11月1日(木)20:55
「アパホテル金沢駅前」(金沢市)で清掃会社従業員、前多外志子さん(63)がシンドラーエレベータ(東京都江東区)製の業務用エレベーターに挟まれ死亡した事故で、石川県警は1日、同社の中部支社名古屋支店(名古屋市)、保守点検を担当する「日本エレベーター工業」(金沢市)の2カ所を業務上過失致死の疑いで家宅捜索した。
また司法解剖の結果、前多さんの死因は胸や腹の圧迫による窒息死と発表した。肋骨(ろっこつ)が折れ、複数の内臓が損傷していたという。前多さんは約10センチの隙間に約45分間挟まれていたという。
県警は金沢東署に捜査本部を設置。ホテルのエレベーター機械室から関係資料を押収し、日本エレベーター工業社長に対する任意の事情聴取を進めるなど、事故機のブレーキに不具合があった可能性を視野に捜査を進めている。
シンドラー支社など捜索
=エレベーター死亡事故―業過致死容疑で石川県警
(時事通信) - 2012年11月1日(木)20:48
金沢市の「アパホテル金沢駅前」のシンドラーエレベータ(東京都江東区)製業務用エレベーターで清掃員の女性が挟まれ死亡した事故で、石川県警は1日午後、業務上過失致死容疑でシンドラー社中部支社(名古屋市)と、このエレベーターの点検を月1回行っていた「日本エレベーター工業」(金沢市)を家宅捜索した。両社からはエレベーターの点検作業表などを押収した。
県警は同日午前、ホテルの家宅捜索も行うとともに、エレベーターの現場検証を実施。金沢東署に捜査本部を設置し、詳しい事故原因を調べる。
捜査本部によると、現場検証では事故が起きた4階部分と、屋上にあるエレベーターのワイヤの巻き上げ機を目視したが、明らかな異常は認められなかった。ホテルからはエレベーターの点検表を押収した他、このエレベーターを差し押さえる措置を取った。
エレベーター急上昇、清掃員挟まれ死亡 金沢のホテル
(朝日新聞) - 2012年10月31日(水)21:44
31日午後2時55分ごろ、金沢市広岡1丁目の「アパホテル金沢駅前」で、清掃会社「北陸千代田」(金沢市)の従業員前多外志子さん(63)=石川県能美市福岡町=が、突然動き出した業務用エレベーターのかごと上部の枠にはさまれ、約45分後に救出されたが病院で死亡が確認された。県警は業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。エレベーターは「シンドラーエレベータ社」(東京都江東区)製だった。
県警によると、前多さんは同僚女性(63)と、4階から地下1階に下りるためエレベーターを待っていた。扉が開いたので乗り込もうとしたら、急にかごが上昇し、つまずいて上半身だけがかご内に転倒。そのまま上昇を続けたかごとエレベーター入り口上部の枠に体を挟まれた。
エレベーターは17人乗りで、最大積載量1150キロ。扉は両開きで、入り口は幅約1メートル。エレベーターは前多さんの上半身がかごの中に入ったまま約210センチ上昇し、体がはさまれたところで止まった。
エレベーターに挟まれ女性死亡
=金沢のホテル、シンドラー社製
(時事通信) - 2012年11月1日(木)00:44
31日午後2時55分ごろ、金沢市広岡の「アパホテル金沢駅前」の関係者から「4階のエレベーターに人が挟まっている」と119番があった。消防署員が現場に駆け付けたところ、清掃員の前多外志子さん(63)=石川県能美市福岡町=が胴体部分をエレベーターに挟まれており、搬送先の病院で死亡した。
県警金沢東署などは業務上過失致死の疑いもあるとみて、事故原因を調べている。
同署などによると、前多さんは同僚の女性と4階から地下1階のロッカー室に向かおうとエレベーターに乗り込もうとした際、足元にできていた段差につまずいて転倒したが、エレベーターは上昇し、エレベーターの床と外枠の上部分に挟まれたという。
事故のあったエレベーターは17人乗りのシンドラーエレベータ社(東京都江東区)製で、最大積載量は1150キロ。業務用として1998年1月に同ホテルに設置された。前多さんは同ホテルから業務委託されていた金沢市の清掃会社の従業員。
同署によると、同ホテルのエレベーターはシンドラー社が年1回、同社から委託を受けているメンテナンス会社「日本エレベーター工業」(同市)が月1回、点検している。最近はシンドラー社が2月7日、日本エレベーター工業が10月15~16日に点検していたが、異常はなかったという。
同ホテルを運営するアパグループ東海北陸地区の石山雅彦統括支配人は31日夜、記者会見し「死者が出たことは大変残念で遺憾」と述べた。同グループのホテルでシンドラー社のエレベーターを使用しているのは、全国で同ホテルと「アパホテル京都駅前」の2カ所のみ。安全点検後、両ホテルとも宿泊客用エレベーターは稼働させているという。
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