アメリカは日本を守ってくれるの
侘助 アメリカは日本を守ってくれると思う？
呑助 日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。しかし今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです。実際にそういう事態になる可能性は極めて小さいのですが。しかし完全なイコールパートナーといえるでしようか」。このように述べている安倍晋三氏の本を読んだように思います。日本の総理は日本国民にアメリカは日本を守ってくれると言っているのじゃないですか。
侘助 私も安倍の国会答弁で、このように発言しているのを聞いたことがあるように思う。しかしね。日本が攻撃された場合に、本当にアメリカは日本を守る軍のシステムができているのか、どうか、疑問があるようだよ。
呑助 へぇー、そうなんですか。日米安保条約がある以上、守ってくれるのじゃないんですかね。
侘助 確かに日米安保条約の第５条だったかな。アメリカの対日防衛義務が定められているんだ。我が国の施政権下にある米軍基地に対する攻撃を含め、我が国の施政権下にある領域に武力攻撃が発生した場合は、日米両国が共同して日本防衛に当たると規定しているが、実際はどうか、疑問があるようなんだ。
呑助 どうしてそんなことが言えるんです？
侘助 日本が攻撃された時、どのように日本を守るかということを決めたものがガイドラインというものなんだ。１９６０年に新安保条約が結ばれてから何回かガイドラインが決められ、改定されてきている。最新のものが２０１５年４月２７日に発表された。
呑助 緻密にできているんですね。
侘助 ２０１４年７月１日、憲法を解釈し直し、現在の憲法下でも「集団的自衛権が行使できる」ことを閣議決定した。それに伴ってガイドラインを変更したんだ。ニューヨークで日米安全保障委員会（２＋２）が開かれ、新ガイドラインを発表した。
呑助 （２＋２）というのは、日米安全保障委員会のことを言うんですか。
侘助 、そうなんだ。岸田外務大臣、中谷防衛大臣、ケリー国務長官、カーター国防長官との間で話し合う日米安全保障委員会のことを（２＋２）と言っているようだ。
呑助 そのガイドラインで日本に対する武力攻撃が発生した場合、アメリカはどのように日本を守ってくれると約束してくれたんですか。
侘助 ２０１５年４月２７日に発表されたガイドラインの中に「日本に対する武力攻撃への対処対処行動」という項目がある。その中に次のような文章がある。「日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するため直ちに行動する。自衛隊は、日本及びその周辺海空域並びに海空域の接近経路における防勢作戦を主体的に実施する。米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う。米軍は、日本を防衛するため、自衛隊を支援し及び補完する。米国は、日本の防衛を支援し並びに平和及び安全を回復するような方法で、この地域の環境を形成するための行動をとる」。この文章が言っていることは、自衛隊が「主体的に」日本を防衛し、「米軍は、適切な支援」をしてくれると、いうこと述べている。米軍が日本を守るためにしてくれることは「適切な支援」なのだ。何が適切な支援になるのか、それは米軍が判断する。それは情報提供だけかもしれない。安倍総理が言うようなアメリカの若者が血を流すような支援である可能性は少ないのではなかろうか。また自衛隊が「主体的に」防衛すると言う言葉を英語では「プライマリィー・りすぽんすびりてぃー」になっている。この言葉を逐語訳すると「日本の責任において」ということになるのではないだろうか。日本の防衛は日本の責任において行うということが日米安全保障委員会で決まったようだ。アメリカの若者が命を張って日本を守ってくれるということではなさそうだ。
呑助 安倍総理は国民に嘘をついているということでしようかね。
侘助 ウソということより、事実を正確に言っていないということかな。
呑助 事実を正確に言わないことをウソをつくと言うんじゃないですかね。
侘助 そうか、やっぱり、安倍は国民に嘘をついているのかな。