醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  260号   聖海(白井一道)

2016-04-10 16:25:41 | 随筆・小説

 日本は独立国なの


侘助 日本は独立国なんだろうかね。
呑助 ワビちゃん、どうしてそんな事を言うの。
侘助 日本の自衛隊が米軍の指揮下にあるという話を聞いたからね。
呑助 米軍と自衛隊とは対等な関係にあるんじゃないんですかね。
侘助 いや、どうもそうじゃないようだよ。
呑助 どうしてそんなことが分かるんですかね。
侘助 最近、制服組自衛官が背広組防衛官僚に対して、大幅な権限移譲を要求する出来事があったようなんだ。
呑助 昔、制服組の暴走を止めることを何と言うんでしたかね。
侘助 シビリアンコントロールのことかな。
呑助 そうそう、シビリアンコントロールですよ。制服組は背広組より上位にあるんですよね。
侘助 制服組が背広組に対して権限の委譲を求めることという事自体、あってはいけないことなんだ。またそのようなことをしたら、自衛隊そのものが存続できなくなってしまうに違いないという認識が制服組自衛隊員に無くてはならないはずなのに、背広組対して堂々と制服組が権限の委譲を求めるという事はシビリアンコントロールをないがしろにする行為だからね。
呑助 制服組がシビリアンコントロールを拒否したということですね。
侘助 そうだよ。文官が武官を管理することができなくなるということだから。実戦部隊の自衛隊員の暴走を防衛官僚が抑えることができなくなると言うことだからね。
呑助 戦前の日本は軍隊の暴走を食い止めることができなかったから、その教訓を噛みしめ、シビリアンコントロールという態勢にしたんですよね。
侘助 そうなんだ。それにもかかわらず、制服組幹部自衛隊員が権限の委譲を防衛官僚に求めたということは、求められる自信があったからシビリアンコントロールを拒否する挙に出たということなんだ。
呑助 シビリアンコントロールを拒否しても首にはならないという自信があったということですか。
侘助 首を覚悟してこのような要求をすることはあるかもしれないが、それこそ緊急事態なんじゃないかな。
呑助 まぁー、そうでしようね。
侘助 首にならないという自信は制服組自衛隊員の上には米軍がいるからなんじゃないかと孫崎享元防衛大学校教授が述べていたよ。
呑助 あっ、そうなんですか。じゃー、もしかしたら、背広組からの権限移譲を求めているのは米軍かもしれないのですね。
侘助 そうなのかもしれないなぁー。制服組自衛隊員がシビリアンコントロールを受けていたのでは米軍として日本の自衛隊は使い勝手が悪いということかもしれない。
呑助 なるほどね。
侘助 米海軍の司令部というのは横須賀にあるそうだが、その下に自衛隊の海軍はあるそうだよ。空軍も、陸軍もすべて米軍の司令部の下に日本の自衛隊はあるそうだからね。
呑助 それじゃ、日本の自衛隊というわけにはいきませんね。アメリカの自衛隊と言ってもいいような軍隊ですね。
侘助 だから、日本の軍隊といってもいい自衛隊がアメリカ軍の下にあるということは日本はアメリカの属国なのかもしれない。日本は主権国家じゃない。なぜなら、日本の自衛隊を日本政府がコントロールできないということは日本と言う国が独立した国ではないということを意味しているように思うね。
呑助 日本政府はアメリカ政府のいうことに反することができないんですね。
侘助 どうもそのようなんだ。今日も自民党副総裁の高村正彦氏が言っていた。アメリカ大統領選挙共和党候補のトランプ氏が「日本は安保ただ乗り」だと言っている。だから自衛隊をアメリカに差し出すのだというのが高村氏の主張のようだ。この主張は日本をアメリカの属国にするものだ。これは売国の主張だ。