家屋の東側には、屋舎ほぼ中央から北方向にかけて狭小な庭が設えてある。猫の額の庵主は勝手に「坪庭」などと称しているが、京などに見られる瀟洒な庭を想像してはいけない。いろいろな定義が存在するらしいが、あのSUUMOのkaisetuniよると「周囲を壁や塀、垣根で囲われた2~3坪程度の小規模な庭のこと」とある。
もちろん、これほどに広くない。わずか1坪足らずの小庭だからして、まさに看板に偽りありといったところか。
坪庭の北側には、キレンゲショウマを配置した。すでに、3~4年になるだろうか。毎年、つぼみを付けてくれるのだが、昨年はあまり出来が良くなかった。葉が焼けるし、花びらは食害に遭うし、散々だったのである。
このキレンゲショウマ何するものぞと茎を伸ばしている謎の植物がいる。金輪際、種を蒔いたり、植えたりした覚えはないのだが、丈高く育ったこの1本だけでなく、その周辺にはまだまだ小さな苗がおしくらまんじゅうしているのだ。
当初、雑草ではないかと疑い抜いてしまおうかと思った。
いや、待て! とりあえずは、Googleレンズに問いかけてみよう。すると、「ベニバナボロギク」ではないかという。
数年前、やはりこの坪庭に舞い降りた植物があった。あっという間に1mを越え、頭頂部に紅色の花を付けた。それが、ベニバナボロギクであった。その印象があったので、Googleレンズのサジェッションは納得がいかなかった。もう少し様子を見てみよう。
やがて、つぼみが露わとなった。今度は、この画像で問うてみよう。エゴマやミント、ハッカなどに交じってホタルブクロがあった。この答、信ぴょう性のほどはいかがなものだろうか。
キレンゲショウマの左隣には、ヤマアジサイ 藍姫が仮住まいしている。装飾花に色が乗ってきた。
その藍姫の足下にも、まだ名前が同定できずにいる植物が居る。Googleレンズに問うと、「チドメグサ」だという。はい~、確かにこの辺りにはウコギ科チドメグサ属のチドメグサが息づいていた。だけど、様子がちょっと異なる。葉の表面に毛が見られるのだ。
昨年、鉢植えにしていたタチネコノメソウ、ツルネコノメソウなどを、数か所に地植えにした。いつの間にか消え失せてしまったが、もしかするとその末裔かもしれない?
先月まで、この坪庭は春の妖精たちの花園であった。そう、いまはもう跡形もないのだが、そこにテカリダケキリンソウが咲き出した。黄金色に輝く星たちが、これ見よがしに姸を競っている。