毎朝、といってもいいくらい、炊事・洗濯・掃除などが一通り終わると、朝飯前に、猫の額で咲いている花を撮ることにしている。
今日(5/11)も数枚撮っていると、花びらの色がすべて白いことに気が付いた。
僕が若かった時(今でも気持ちだけは若いつもりでいるのだが、残念ながら体力が伴わないことを痛感している)、ベッツィ&クリスという米国人フォークデュオがいた。彼女たちが、1969年10月にリリースしたシングルが「花びらの 白い色は 恋人の色🎶」から始まる『白い色は恋人の色』であった。ザ・フォーク・クルセダーズの北山修と加藤和彦が作詞・作曲を手がけたナンバーで、累計80万枚に達したというからそのメロディーや歌詞が耳に残っている方もいらっしゃると思う。
まぁ、いい加減齢を重ねると、いま生きることに精いっぱいで昔日の感懐に耽ることとて滅多にないのだが、この白花のムラサキツユクサを撮っている折に、急に、そう言えばこんな歌もあったなぁ~なんてセンチメンタリズム。
昨日も白い花びらのアネモネ・カナデンシスを一枚アップしていた。この時期、花卉の世界では白い花が優勢なのだろうか? いや、そんなはずはない。たまたま猫の額に咲いている花に白が多いというに過ぎないのだろう。
こぼれ種から芽生えた白花のカワラナデシコであるが、冬の間も枯れることなく年を越し、いま数輪が咲いている。不思議にも思わなかったが、よくよく考えればこの花、秋の七草のひとつとして知られている。
山上<臣>憶良詠秋野花<歌>二首
【原文】秋野尓 咲有花乎 指折 可伎數者 七種花 [其一](万葉集巻八,1537)
【訓読】秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
【原文】芽之花 乎花葛花 瞿麦之花 姫部志 又藤袴 朝皃之花 [其二](万葉集巻八,1538)
【訓読】萩の花 尾花葛花 瞿麦(撫子 なでしこ)の花 姫部志(女郎花 をみなへし おみなえし) また藤袴 朝貌(桔梗 あさがお)の花
季節は、思いのほか早めに進んでいるのだろうか?
ミノシライトソウは、意外にも花期が長い。ひょろっとして弱そうなのにね。
ユキザサにしてからが、昨年と比べ発芽した数が多いからなのか、まだ盛んに咲いている。
シセンウツギの背景にはミヤコワスレが映り込んでいる。これも、白花だったね。
ヒメフウロソウやワイルドストロベリーも、飽くことなくつぼみを付け、そして、小さな白い花を途切れることなく見せつけている。
ユウゲショウの赤花は、野辺に咲く花として人口に膾炙している。ひらったく言えば雑草といいたいのだが、最近の朝ドラのせいか、雑草という言葉を口にすることは憚られる(気がする)。ほら、「雑草という名の草は無い」としかられそうだしね。
我が家に仮住まいしているのはユウゲショウの白花種だ。絶えることなく、可憐な姿を見せてくれている。
イベリス・ウンベラータはこぼれ種から発芽した。我が家では桃色と白、そして白とも言えず、桃色とも言い難い、その中間色なども咲いている。
う~んっ、白い色は恋人の色なのか? 青空のすんだ色は初恋の色らしい。さらに、夕やけの赤い色は思い出の色だという。
いま僕たちの世代は、恋人も、初恋も、遠い彼方に置き忘れ、真っ赤な思い出の中に生きているってことらしい。