10月9日の午後の衆議院本会議で、「解散詔書」が読み上げられ、衆議院は解散された。
15日が告示、27日が投開票となった。
9月27日に高石早苗氏(経済安全保障大臣)に逆転勝利した石破茂自民党新総裁だが、10月1日に新首相に任命されてわずか8日後の衆院解散は現憲法下では史上最速だそうだ。
総裁選の際には――衆院で予算委員会を開き、各大臣への質疑応答などを含め、本人自らが所信を述べ、特に案件となっている「裏金問題」「裏金議員」の処遇はじめ政治改革について「国民の前」で丁寧に説明責任を果たす――と言っていたのだが、予算委員会開催を無視して解散に走ったわけだ。
最速が「拙速」にならなければよいが・・・。
党内最要職役員の幹事長になった鹿児島4区出身の森山氏が今回の選挙の「陣頭指揮」を執ることになったが、非公認問題では6名の要職経験者に加えて新たに6名が加わったが、総数12名はいかにも少ない。
森山氏は政敵をつくらず、党内融和に長けた人物として定評のある人だが、今度の公認問題ではしこりが降りかかりそうだ。
解散の前に党首討論が行われたが、さすがに論客として鳴らしていた石破新首相の応答はかなり明瞭だった。ただしそれは総論に限ればの話であって、各論に話が及ぶと抽象的な一般論へとトーンダウンする。
野党党首の突っ込みどころは当然「なぜこんなに早く解散を打つのか、総裁選での公約であった予算委員会開催はどうした」であり、野党党首たちは敵前逃亡解散だ、裏金隠し解散だなどと石破首相の変節をやり玉に挙げた。
当の石破首相は「日本創生解散」と銘打ったが、結果はどう出るか。
その一方で持論の「防災省」の設置については、まず「防災庁」発足への足場固めを指示しているのは支持できる。防災は天災大国日本の喫緊の課題である。何よりも迅速さが必要だ。
だがその一方で日米安保に関して、持論の日米地位協定の改正をアメリカ側に伝えていないようだが、総理大臣になるとどの政治家も対米忖度(隷属)があからさまで、石破首相よ、あんたもかと言いたくなる。
石破氏の名前である「茂」は政治家であった父親から吉田茂元首相にあやかって付けられたらしいが、1951年9月に結ばれた「サンフランシスコ平和条約」への全権として訪米した吉田首相は同時に日米安保に渋々調印したのだった。
(※日本から占領軍(ほぼ米軍)が引き揚げる根拠となったのが平和条約締結だったが、アメリカは丸腰になってしまう日本の安全をおもんぱかって結んだのが日米安保(旧)だが、10年の期限が切れる際に改定新安保を結んだのは故安倍晋三氏の外祖父の岸信介元首相だった。)
今、吉田茂が生きていたら、「もうアメリカとの二国間条約は止めて、集団的安全保障に移行しよう」と石破氏の持論を支持したかもしれない。