鴨着く島

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「男はつらいよ」の鑑賞会

2025-02-17 14:12:34 | 日記
昨日は鹿屋市のシルバーセンターで『男はつらいよ』を15名ほどで鑑賞した。

シリーズ第11作目の副題「寅次郎忘れな草」で、浅丘ルリ子がマドンナ役である。

浅丘ルリ子は寅さん映画にマドンナとしては最多の4回も登場するのだが、この11作が初めての出演となる。

浅丘ルリ子の役柄は地方回りの歌手「リリー」だが、大物ではないからマネージャーはつかず、ひとりで各地のキャバレーなどで唄って生きている。

北海道の網走で寅さんと知り合い、二人は束の間の意気投合を見せる。

というのも、リリーの生い立ちと寅次郎の生い立ちに重なるものがあったからだ。

リリーは「中学校を卒業して以来、故郷を離れて帰っていないのよ」と打ち明けるのだが、寅次郎は「俺も似たようなものだ」と返す。

さらに「どっちもあぶくのような人生だな」と寅次郎。その喩えに「風呂に入っている時にする屁のようなものだ。背中を回って上って行ってすっと消えるんだよ」

聴いていたリリーは可笑しくてしようがない。そしてそんな寅次郎に好意を抱く。

寅次郎はリリーと別れたあと、北海道の酪農家のもとに行き、「あぶくのような人生」に訣別すべく仕事を請け負うが3日ほどで音を上げ、寝込んでしまう。

やはりそれまでの「あぶくのような人生」から飛躍はできなかった。

そんな寅次郎を妹のさくらがわざわざ迎えに行く。

このあたりはさくらが寅次郎の保護者のようだ。実際、寅次郎はさくらを母親の代わりとして甘えている。

柴又に帰った寅次郎を追うようにリリーが柴又に現れる。地方で知り合ったマドンナが柴又の「とらや」にやってくるのは寅さんシリーズの定番だが、リリーは何と「とらや」の茶の間で早くも寅次郎に愛の告白をする。

「あたしは男から好かれようとは思わない。こっちから好きな男に死ぬほど惚れてみたい」と言いながら・・・。

慌てた寅次郎は例によって知らないそぶりをするのだが、リリーもそこを読み取って「冗談よ」と言い足す。

この寅次郎の「失恋」はいつものようには終わらない。

東京に仕事にやって来ていたリリーはキャバレーで客からイヤな目に遭ったと、泥酔して夜遅くとらやに訪ねて来るのだが、そこで寅次郎に吐いたセリフが泣かせる。

「寅さんはいいわね、こんな温かい家があるんだもの。あたしなんかと違うんだよ」

そのまま寅次郎が止めるのも聞かずに、リリーは「とらや」を後にし、行方知れずとなる。

だが、東北への商売の途中でまたリリーに出くわし、リリーとの関係はまだまだ続くことになる。

※まだ全48作のすべてを見てはいないのだが、マドンナ「リリー」に扮する浅丘ルリ子の演技はこれまで見た中では最も光っている。キャバレーで唄う浅丘ルリ子の声も素晴らしい。