鹿屋市には公衆浴場として「太平温泉」「ゆたか温泉」「坂元温泉」(以上は旧鹿屋市)、「吾平温泉センター」(別名:うがやの湯。旧吾平町)、それにほとんど利用したことはないが旧串良町にも温泉がある。また、旧輝北町には輝北温泉センターというのがあるが、これは霧島温泉の泉源からタンクローリーで運んでくるそうで、なかなか大変な苦労をして町民に温泉を提供しているようである。
今日は午前中に外で庭園灯の上塗り作業をしたあと、家庭菜園の隅に生ごみを投げ込む大きな穴を掘ったりして少し汗をかいたので、鹿屋市役所の裏手にあるゆたか温泉に入りに行った。
ミニバイクで出かけたが、途中でガソリンスタンドやバイク屋でオイル交換をしてもらったら温泉に着いたのはちょうど12時だった。
この時間帯に入浴しようというのはほとんどおらず、ガラガラだったが、広い脱衣所のロッカーを開けて100円を投入してから脱衣にかかろうとした時、少し離れたロッカーの前でおじさん(70代半ば以上に見えた)が湯上りらしい火照った裸でうろうろしながら何か言っている。
「どげんしたと?」(自分は鹿児島県人ではないのだが、最初の第一声はイントネーションはともあれ鹿児島弁で言うことがある)
「鍵がお、見つからんと」
近づいて見たら、おじさんの右腕のリストにらせん状のバンドが見えた。
「おじさん、右腕に、はまっちょっど」
「ああ、いやあ、こいじゃった。あはは」
テレを隠しもしないおじさんの笑顔を見て、こっちも可笑しくなった。
「ははは、メガネなんかもこうしっせ忘るっと」
おじさんは単車に乗る時にサングラスをするそうだが、降りた際にそれをおでこの上の方にずり上げたまま「どけ、行ったか」と探すことがよくあるそうだ。
おじさんとのやりとりをしているうちに脱衣をすませ、さあ入ろうと浴場のドア付近まで行くと、ドアの右手に備え付けの体重計(家庭用のではなく足の部分から立ち上がったポールの上にデジタル表示される業務用のやつ)に乗って計っていたこれもさっきのおじさんと同年配か少し上くらいのおじさんが、
「ないよ、これ!計れんがよ!」
と周囲を見回して(と言っても自分とあのおじさんしかいないが)叫んでいた。
近くに寄ってみると、たしかに体重表示のはずの数字がめちゃくちゃに動き回っている。
「おじさん、ONを押してすぐ乗ったらいかんヨ。一度降りて、もう一回ONを押し、ちょっと待ってみてゼロキロになったら乗ってみて」
とアドヴァイス。
その通りしたら、ゼロキロを表示したので、
「あはは、こいじゃねと、やっせんなア」(こうならないと、いけないんだなあ)
と早速上がって体重を確かめた。
両人とも吾輩より10年ばかりの先輩に見えた。10年後の自分の姿がそこにある。
でも、このくらいは愛嬌ものだ。
ちょっと心がほころんだ銭湯だった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます