奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

強くなりたい

2012-11-14 | 心詩~こころうた・己
強くなりたい
周囲のペースに
流されないように

強くなりたい
周囲の干渉に
飲み込まれないように

強くなりたい
怠惰な心に
負けないように

強くなりたい
社会の不条理と
戦えるくらいに

強くなりたい
二度と人生を
乗っ取られないように

強くなりたい
死に逃げたくなる
思考を消せるように

強くなりたい
私を潰したこの社会を
這い上がってゆけるように

強くなりたい
真っ当な生き方が正しいことを
この人生で証明できるくらいに


強くなりたい
他人の困難に
気づけるように

強くなりたい
誰かの幸せのために
手を貸せる人間になれるように

強くなりたい
同じ傷に打ちひしがれる
誰かの灯火(ともしび)となれるように

強くなりたい
もうどうでもいいと
投げやりにならぬように

強くなりたい
自分の行き先は
自分で決められるように

強くなりたい
どんな障壁があろうと
夢を実現できるように

強くなりたい
希望をひとつも持てない時も
明るい未来を信じられるように

強くなりたい
己の力で勝利したと
自分自身を誇れるように

強くなりたい
大切なものを
手放してしまわぬように


強くなりたい

理想郷

2012-11-12 | 詩詠~うたうたい
自分を取り巻く
すべてから逃避し
誰にも知られず
ひっそりと生きる

ここは
そんなものたちの聖地

誰も傷つけず
なにものにも脅かされず
ただ 自分の人生だけを
黙々と生きる

ここは
そんなものたちだけの聖地


もしも なにかの間違いで
足を踏み入れてしまったものは
この世界の存在を
誰にも口外してはならない
この世界の万物に
決して手を触れてはならない

その掟を破るものは
記憶のすべてを消され
見知らぬ土地に捨てられる

ここは
そうして守られてきた場所
ここは
そうしなければ守れない場所


この世界の住人になれるのは
外の世界に居場所をなくしたものたち
外の世界に絶望したものたち
外の世界では 生きられなかったものたち

心に癒せぬ傷を負い
自力では歩けないものたちだけが
住むことを許される場所

ここには
優しさだけがある
ここには
いたわりだけがある
ここには
希望だけがある


やがて傷を癒し
もとの世界へ戻るもの
この聖地に守られ
生涯を終えてゆくもの

選ぶのはそれぞれの意思
決めるのは自分自身

戻ってくるものはいない
去ったもののその後を
語るものもいない

ここは
ここに生きるものたちだけの世界
ここは
ここに生きるものたちだけを守る聖地


どこにあるのか
誰も知らない
本当に存在しているのかも
誰にもわからない

そこは
幻の理想郷-ユートピア-

ありがとう

2012-11-10 | 詩詠~うたうたい
ありがとう
ありがとう

ごめんなさいって意味の
ありがとうなんて
言っちゃいけない

感謝したい人がいるなら
生きなくちゃ


ありがとう
ありがとう

本当は嬉しくなんかないのに
ありがとうなんて
言っちゃいけない

本当の気持ちをぶつけてこそ
本当の友情が生まれるんじゃないのかな


ありがとう
ありがとう

これからもよろしくって意味の
ありがとうが言えればいいね

今度は私が
あなたのお役に立ちますって


ありがとう
ありがとう

幸せですって意味の
ありがとうを言いたいね

今度生まれ変わっても
あなたと一緒に生きていきたいって


それが ありがとうの意味
それが ありがとうって意味

万葉の空に

2012-11-10 | 詩詠~うたうたい





万葉の丘に佇み
暮れゆく晩秋の空を眺め
古人(いにしえびと)の息遣いに
そっと耳を澄ます

名残の夕日が
空を雲を朱色に染める

ここより眺める夕暮れ空は
どこか神聖な空気を纏い

山を森を水面(みなも)を家々を
今日を感謝に生きた者を
苦悩のうちに暮らす者を

すべてを包み込んでゆく


この空は
古人(いにしえびと)が見た
空と同じだろうか

人の世は変わり
乱れ汚れたが
この空の色は
太古のままだろうか

美しき心を求め
美しき景色を求め
されど
美しきものを
汚してゆくのが
人間といふもの

それでもこの空は
その美しき天蓋で
世界を抱擁する


古人(いにしえびと)が眠る
この丘に佇み
静かに落ちる
夕日を見つめる

あたたかなその朱色が
冷えた心を満たしてゆく

古人(いにしえびと)の魂に
抱かれているような安堵に
日々の不安も恐怖も
ふっと和らいでゆく


戻らぬからこそ
束の間だからこそ
貴いと思ふ

万葉の空は
無限の慈悲に満ちて……






<写真/奈良大和路・崇神天皇陵より>

天使

2012-11-07 | 詩詠~うたうたい
天使に
なりたかった

本当はね

こんな汚れた心で
生きたくなんかない

重たい足で
地べたを這いながら
空も飛べない
出来損ないの

こんな私は
いらないの


ねえ
この背中に
翼が生えたら

私は天使に
なれるのかな

天使は
人を助けるの?
それなら私も
誰かを救える?

そうすれば
私も自分のこと
好きになれるだろうか


ねえ
私がここにいること
気づいてくれてるの

あなたに憧れて
あなたになりたくて
あなたに
助け出して欲しくて

あなたの世界の
住人になれたなら

今度こそ私は
救われるのに



ねえ……

人は
天使には
なれないんだね

本物の自分で

2012-11-07 | 心詩~こころうた・己
辛いときに
幸せだと言う必要なんてない

誰のために
なにを繕いながら
生きるつもりか

お前の苦心など
誰も気づきはしないのだから


自分を惨めと思うな
苦しみに折れそうなお前は
それに耐えようと
必死で踏ん張っているのだから

卑怯者にならず
誰からも奪う生き方をしなければ
いつか かならず
報われる日がくる

それが
前を向いて歩くための
呪文だ


いつか
心から幸せだと
思える日が来たときに

本物の笑顔で
本物の気持ちで

幸せだと 叫んでやれ

灰色の思考

2012-11-07 | 心詩~こころうた・己
しんどい
しんどいで
毎日が終わる

感謝することなど
忘れてしまって
自分のことで
精一杯

重く固まった
鉛の体と
言うこと聞かない
この心と
共生することで
精一杯


これからのこと
考えるから
なにもせずには
過ごせない

それが正しいのかも
分からないまま
没頭できるものに
縋っていたくて

今日を生きる希望は
心を疲れさせるけど
それさえ消えてしまったら
この身は二度と
立ち上がれないから


衣食も住も
足りているのに
心は微塵も
満たされない

心の病の
恐ろしさ
心の病の
巧妙さ

希望の二文字が
足りないだけで
人はここまで
堕ちてしまえるのか


この先
独りで野垂れ死ぬ
そんな未来が
見えてくる

疲れた心で
いくら考えていても
得るもののない
空虚な妄想

ならば未来など
想像もせず
生きればいいのか

今を積み重ね
明日があるならば
私の未来は
空っぽの箱


そうなるように
仕組まれているんだろう?
感謝も忘れ
また 悪態をついている

子供のままの私

2012-11-04 | 心詩~こころうた・己
あの頃の
子供のままの私

前を向いて歩こうとしても
ふとしたことで蘇る
あの頃の歯がゆい記憶
あの頃の惨めな気持ち

この不毛に囚われているかぎり
本当の意味で前には進めない

あの頃の子供のまま
私の心の成長は
きっと止まってしまっている


『協調性がない』
そう書かれた通知表
いじめのターゲットとなり
クラスから孤立した人間が
どうすれば
協調性を保てるというのか

それさえも見抜けない
教師にしか出会えなかったのだ
大人にしか出会えなかったのだ

闇に葬られた真実
闇に葬られた私


今も子供の心のまま
救い出してくれる誰かを
ずっと求めているのかもしれない

そんな大人に
出会えないまま
大人になった私

なりたいと思った
理想の大人に
なる方法なんて
ひとつも分からない

どんな大人になりたかったのか
それさえも今は
分からなくなってしまった


過去の自分が
憑りつき離れない
これがお前だろうと
消せるわけがないだろうと
光を乞う哀れな姿を
嘲笑っている

こんな大人にしか
なれなかった自分と
この先もずっと
生きていくしかない

大人の汚さと卑怯さと
大人の責任と賢明さを
子供の心でしか
判断できないまま


汚(けが)され
踏みにじられ
ぼろぼろになりながら
大人になることを
知ってゆくのだろうか

過去を悔やみ
後戻りすることをやめたとき
本当の大人になれるのだろうか

過去も受け入れ
赦せるようになることが
本当の大人になることなんだろうか

私には
いまだに 分からない

私の人生を牛耳るそなた様へ

2012-11-03 | 心詩~こころうた・己
取るに足らない
こんな私(わたくし)の
何を阻止しようと
すべて奪うのですか

小さき私の
ささやかな挑戦は
その存在ごと
消し去られるが如く

取るに足らない
人間ですから
誰の目にも
止まらぬのも道理

それでも……
それでもと言ってしまえば
ただの愚痴に成り下がる
ああ 本当に
そんな程度の私ですが

夢に縋って
生きとうございます
それだけが
私の生存理由なのですから

取るに足らない
小さき人間の
取るに足らない
百年足らずの
取るに足らない
人生の道標(みちしるべ)

……なのでございますから

ドラマの主人公のように

2012-11-03 | 心詩~こころうた・己
ドラマの主人公に学ぶ

人を恐れることなく
真正面からぶつかること
わずかな躊躇もなく
自分の意見を主張できること

できそうな気がする
自分にも
そんな自信がふと芽生える


でも それは
ドラマの世界だけに
許される法則?

現実世界では
出る杭は
打たれてしまうよ

それが怖くて
私は自分を押し殺し
出る杭にならなぬよう
生きてきた

そうすることが
自分を守る方法だと
体が覚えてしまったから


発言行動のいちいちを
いじめの種にされた
子供の頃の記憶が
私をこんなにも
臆病にしたのだろう

目立とうなんて
少しも思わない
ただ
環境に適応し
輪に馴染み
「普通」にしていたいだけ


たくさんの仲間と
楽しく笑い時を過ごす人々
たくさんの仲間と
同じ目標に向かい行動する人々
彼らは決して
自分を押し殺してなど
いるようには見えない

なぜ そうできるのか
なぜ そんなに
生きることに器用なのか
なぜ そんなふうに
自分の居場所を確保できるのか

自分がとことん
情けなくなる


試してみたい
ドラマの主人公のように
自分にも生きられるのかを

許容も批判もすべて含め
一人の人間として対等に
向き合える世界であるのかを

存在を否定される悔しさは
自分の一歩で払拭したい