今日のこちらの天気予報では、午前中曇り午後から雨となっていました。確かにどんよりして…それで最高気温は32度。ということはカラッとしていないということなんです。だから蒸し暑い!
でも、でも…お昼頃には宇部市の防災メールが入っていて、大雨注意報が80ミリだと、これホント?〝いつそんなに降ったの?〟と、主人に聞きましたが、〝知らん〟ですって。まあ、確かに濡れていましたし、私が出かける15時頃にはパラパラとはしていましたけどね。
とにかく、このような蒸し暑さを俳句では〝溽暑〟(じょくしょ)といいます。
今はもう立秋が過ぎましたので、俳句に詠むには〝残暑〟というべきなのですが、この季語はやはりどこか一歩引いた感じがありますものね。それは「残」という語がもたらすイメージなんです。「残」という語には〝今にも消えそうな、残りかす〟という意味もありますので、残りものの暑さということになるのです。何にしても残りものといわれるとイマイチでしょう。
しかし、今年の今の暑さは〝残りもの〟ではなくて、いうなら初めての本格的な〝暑さ〟なんです。だから、今の実感を大切にして句を詠もうと思えば、夏の季語でないと言い表すのはちょっと無理でしょう。それはそれでいいと思いますよ。何が何でも残暑を使わないとダメだとはいいませんからね。
ところで、「残暑」の場合は〝残る暑さ〟や〝秋暑し〟というしかないのですが、夏の暑さの季語にはいろいろな言い方があるんですよ。
もちろん「暑し」だけでも季語になりますが、先ほどの「溽暑」の他にも「大暑」(たいしょ)「極暑」(ごくしょ)「酷暑」(こくしょ)「猛暑」(もうしょ)「炎暑」(えんしょ)などがあるのです。同じ暑さであってもそれぞれの漢字によって、少しずつニュアンスが違うでしょう。それぞれを読み比べ鑑賞してみて下さい。
点け放つ鶏舎の灯溽暑なり 飯島晴子
念力のゆるめば死ぬる大暑かな 村上鬼城
極暑の夜父と隔たる広襖(ひろふすま) 飯田龍太
静脈の浮き上り来る酷暑かな 横光利一
三猿を決めて猛暑を籠りをり 富田昌宏
馬を見よ炎暑の馬の影を見よ 柿本多映
俳句というものは、根本的には人間の五感と感情から生み出されるものですから、やはり実感が大切。しかし、単なる絵はがき俳句やただごと俳句にはならないように気をつけねばなりませんから、そこが難しいのです。でもそうだからやりがいがあるとも言えるのではないでしょうか。ガンバリまっしょ!
写真は今日の夕方の空と雲です。やはり今日はヘンな天気でしたね。