今日は7月2日、二十四節気七十二候のうち、夏至の三候の〝半夏生(はんげしょう)〟です。この日にはいろいろな禁忌があって、昔は物忌みをする風習があったそうですが、私は俳句を始めてからこの言葉を季語として知りました。特にこの日の雨を「半夏雨(はんげあめ)」といい、降れば大雨が続くとされているんです。このことは以前にも書いたことがありますが、この半夏生の頃に降った大雨でよく被害が出ているようです。記憶に新しいところでは、2021年7月3日に熱海市伊豆山で大規模な土石流が発生して多くの被害者が出ましたよね。今年はどうもそれが山口県にもやってきたみたい。まるで〈磐梯をしんそこ濡らし半夏生 阿部みどり女〉の句の〈磐梯〉を〈長州〉に替えたらいいような…
私はこの大雨が半夏雨とは全く思いもせずに…いや、大雨は降っていても他のことに気を取られていて余り気にしなかったんです。それに、線状降水帯というのはその下にいるとスゴいんですが、それからちょっとでもズレていると嘘みたいなんですよね。ニュースなどで見て…あれはどこなの?という感じ。
まあ、確かに一昨日の夜から山口県では大雨の警報が出っぱなしで、その被害が心配されていました。もちろん宇部市も警戒警報のレベル3が出て、夜中にはついにそれがレベル4にまで上がりましたもの。でも、お婆ちゃんちも我家も水に浸かる心配も崖崩れの恐れもない所ですから…警報で〝高齢者はすぐに避難させて下さい〟だってとお婆ちゃんに言うと〝どこへ避難せえというんかね。ここが一番安全じゃに〟と笑っています。また、ニュースなどで山口県の大雨被害情報などを見られて心配して下さった方もいて…本当にありがとうございます。
しかし、この大雨の被害を私は違った形で受けたんですよ。これは私の人生の中で初めてのこと、きっと一生忘れられない体験になるでしょうから、記憶の新しいうちにその顛末記をと思い、今日はその話を書きますので読んで下さいね。
昨日の土曜日は、俳誌「早苗」の終刊にちなんでの座談会があるので広島へ行きましたが、その朝早くにけたたましく電話が鳴り、広島へ一緒に行くKさんから…〝宇部線は運休なので私はバスで行きます。宇部山口道路も不通になっていますので、早めに出られた方がいいと思って電話しました〟と。
そりゃあ大変!と早々に用意してすぐに出ましたので、まだ余裕のある時間に新山口駅に着きました。が、いつもより何と人の多いこと!早速切符を買わなくっちゃと…見ればみどりの窓口には人がズラリと。こりゃあ困った!この調子では間に合わないかもと思いながらいらいらして並んでいましたが、とうとう1分前…もうダメかも!と思いつつ、駅員さんに事情を言って切符なしで乗せて下さいと頼み…ホームへ。既に入っていた〝こだま〟に飛び乗りました。見ると後からもう1人飛び乗ってきた人が…ナントKさんでした。
バスが20分以上も遅れて…彼女ももうダメかと思ったけど走って走って…と言う。まあ、お互いに間に合って良かった、良かったと、広島へ。すると、今度は広島の呉方面から来る主宰のK先生とSさん…呉線が不通でどうしましょうという電話。更に大分の杵築から来るHさんからも予定の列車が動かないので遅れますとの連絡が来て…。もうパニックでしたよ。
私の頭の中には今日の座談会を何とか無事に終了させることしかありませんでしたので、この雨のことにまで配慮する余裕が無かったんです。この行事のために早くから広島の会議室を探して予約したり、当日のお弁当などの手配も全部済んでいましたもの。だから余程のことがない限り中止や延期は考えられませんでした。
最悪の時は来られた人だけでしましょうと先生と話していましたが、開始時間は少し遅れたものの、最終的には全員が揃って無事に座談会を終了することができて担当者としてはホッとしました。参加者の皆さま、また福岡から来ていただいて、司会という大役を引き受けてくださった文學の森のA様には心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました。なおこの座談会の様子は「早苗」終刊の900号に掲載致しますので、楽しみに待っていて下さいね。
この座談会が終って解散したのが15時過ぎ。それから広島駅へ行き…見れば16時8分の〝こだま〟がありましたので、お土産などを買ってホームへ。そこまではいつも通り…何も思わずにのんびりと椅子に坐って待っていました。すると掲示板に10分遅れという赤字が…それでも何も思わず、暢気におしゃべりをしていましたら、杵築へ帰るHさんが目の前に停まっている15時52分発〝さくら〟にもう乗っていると。そして、これは18時30分までは動かないらしいというメールがきました。ビックリして、会って話を聞くと、下関あたりが大雨で博多行き全部が運転見合わせになっているんだという。それじゃあ待つしかないわねと…すると、次から次に列車が入って来るものの全部当駅止め。乗客はみんな降ろされ、回送だからこれには乗らないで下さいとのアナウンス。
もう何本もの列車が止められて、ホームはその乗客であふれかえっています。勿論座るところなどないですから、そのうち足腰が痛くなってきて…もう、ガマン、ガマンの子でした。やっと復旧の見通しが立って運転再開の最初が20時3分発の〝のぞみ〟。しかし、それも2、30分遅れでしたし、みんなが乗りますので通路もデッキも満杯。私たち3人は早くから並んでいたので席が取れて座れました。ホントにやれやれです。
でも、どこにそんな大雨が…朝出かける時は少ししか降っていませんでしたし、広島は曇りでしたもの。主人に電話しても宇部ではそんなに降ってないぞと…どうも線状降水帯は下関あたりだけに掛かっていて大雨を降らせたんでしょうかね。
約5時間もホームに立ったままで待っていたのは初めてのこと。そして新幹線代金の払い戻しを受けるというのも初めて。またこのような遅延の時は何に乗ってもどこに座っても良く〝のぞみ〟でも各駅停車の〝こだま〟のように走ることを知りました。それで我家に帰り着いたのが11時前。ああ、疲れました。その証拠に夜中に何度も足がつって痛くて痛くて…今朝もまだ足がはれぼったかったんですよ。
でも今日は昨日のことがまるで嘘のように…青空と日差しまでが出て来ていました。狐にでも抓まれたよう…でもまだ九州の方では明日にかけて大雨注意報が出ているようですから油断は禁物ですよね。
皆さまもどうぞお気を付け下さいませ。この線状降水帯というのはいつどこに襲いかかったとしてもちっともおかしくないんですからね。写真は、広島で見つけたカープのマンホールの蓋です。カワイイデショ!