ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

十三夜

2017年11月01日 | 俳句

  もう十一月です。今年も何だかアッという間に終りそうです。二日間ブログを休みました。忙しいのとちょっと疲れが出て…。

 今日は十三夜、晩秋の季語で「後の月」とか「名残の月」「豆名月」「栗名月」など、いろいろな言い方があります。満月は四日なんですよ。秋も終りに近いので、中秋の名月と違って華やかさはないのですが、むしろそれが日本人の〝わび・さび〟の美意識に通じて、月見の宴など開かれて観賞されます。

   麻薬うてば十三夜月遁走(とんそう)     石田波郷

 作者・石田波郷については、今更説明する必要もないかとは思うのですが、簡単に。

 大正2年(1913)~昭和44年(1969)、愛媛県出身、本名は哲大(てつお)。旧制松山中学4年生の時俳句を始める。1930年松山中学を卒業後同郷の五十崎古郷に指導を受け、後師弟共々水原秋櫻子の「馬醉木」に入門。1937年には「鶴」を創刊・主宰。1942年結婚と同時に「馬醉木」同人と編集を辞退したが、1948年「馬醉木」同人に復帰する。1950年にはまた「馬醉木」の編集を担当し、1957年の藤田湘子に譲るまで編集を続けた。加藤楸邨や中村草田男らとともに難解派とか人間探求派と呼ばれたが、戦後は境涯俳句を詠み続けた。この句は「境涯を俳句にする」という波郷の分野の中で、最も評価の高い句集『惜命』(しゃくみょう)の、特に手術直後の「胸形変」(きょうぎょうへん)の一句です。胸形変は波郷の造語ですが、「肺を結核に冒されたため肋骨を切り取り、胸の形が変ること」だそうです。その術後の痛みなどを詠んだのが上の句や下の三句などです。当時の俳壇にこの句集は強烈な印象を残しました。ところで、この「惜命」という語も辞書にはありません。でも波郷の境遇から考えれば、きっと「命を惜しむ」という意味でしょうし、〈七夕竹惜命の文字隠れなし〉という句から付けられたものです。

   たばしるや鵙(もず)叫喚(きょうかん)す胸形変
   鰯雲ひろがりひろがり傷痛む
   秋の暮溲罎(しびん)泉のこゑをなす

 今日もよい天気でしたが、昨日は雲一つない…まさに秋晴で、気持ちの良い一日でした。それで有志で吟行に行きました。それはまた明日にでも書きましょう。では又。 今日の10時頃の十三夜の月ですよ。

 

 


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