ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

兼題は〝稲刈〟でした!

2021年09月27日 | 俳句

 今日はふれあいセンターの使用が許可されましたので、久し振りのラジオ体操でした。何だか随分遠ざかっていたので、身体が重たい!でももうそれほど暑くはありませんので、少しは身体を動かして却って気持がいいくらいだったかしら。

 午後からは俳句教室、これも久し振り。これで多少は脳も疲れたでしょう。だったら今日は心身ともに快い疲労で、きっとぐっすり眠れるに違いないわ!ああ、いやいやまだ寝るわけにはいかないんだった。実は明日も俳句教室なんですよ。(>o<)

 ところで、今日の兼題は〝稲刈〟、中秋の季語です。会場へ行く途中にももう稲刈りが済んでいるところとまだの所がありました。先日の台風のせいでしょうか。稲が倒れているところもたくさん見かけましたが、そんな句も出ていましたね。〈倒伏の稲を難なく稲刈り機〉という句。

 さて、この句の〈倒伏〉という言葉…そんな語があるんですかという質問が出ていましたが、広辞苑にあります。〝とうふく〟と読んで、〝稲・麦・樹木などが台風や肥料のやりすぎで倒れること〟と。だから間違いではありません。

 しかし、俳句に用いる語としては似合わないでしょう。耳で聞いたらこれはどういう意味?と思ってしまいますもの。それでは損をします。ここでは〝倒れ伏す〟といえば、聞いても見ても一読明快でしょう。

 更に〝稲〟という語が重なっているのもクドいです。そこで、この句は〈倒れ伏す稲も難なくコンバイン〉と添削。

 最近の稲刈機はスゴいんですよと、それからはワイワイとコンバイン談義。だってここは宇部の米どころ…酒藏もあって酒米を作っていますからね。

 ちなみに、〈稲刈り機〉は稲刈機と書きましょう。この送り仮名を付けるか付けないかというのは、ある意味大事なことなんですよ。歳時記の例句を見ると付いていたりいなかったりと、どちらでもいいようですが、わが結社では原則的に区別しています。要するに動詞の時には付けるが、名詞には付けないと。しかし、名詞でも送り仮名がないといけないのもありますから、そこのところは臨機応変によく吟味してから使ってくださいね。

 実は今日の句に、〈刈終り遠目に赤き道祖神〉というのが出ていました。皆さんならこの句どう思いますか。これを採っていた人が4人もいましたが、それも中堅どころがですよ。先ず〈刈終り〉は、やはり〝刈り終り〟でないといけないでしょう。しかしそれよりもっと大事なことを見落としているんですね。私が〝季語は?〟と聞くと、〝刈終りです〟と自信たっぷりに作者。〝じゃあ何を刈り終るの?〟〝そりゃあもちろん稲ですよ!〟と…そこで、やっと気がついたようで、〝刈るだけでは稲とは限りませんね…〟と。

 これこそ盲点ですね。作った人もそうですが、採った人も。兼題が稲刈りだからという色眼鏡を掛けて見てしまったんです。こういう時は「田刈」や「刈り終へし田」とか、〝田〟を入れれば稲と言わなくても通じます。

 ついでに、先ほどの送り仮名の問題を、私が選をしています「あしかび抄」の句について先月書いていますので、それを見てみましょうか。それは、〈梅雨の晴れ河原の風の透き通る〉という句…

 〈梅雨の晴れ〉は、「梅雨晴れ」という名詞か、〝梅雨が晴れて〟の意味か。名詞の時は送り仮名を付けなければいい。例えば「や」などの切字があれば間違えないが、どっちにもとれる場合は要注意。動詞なら「梅雨晴れて」とかにすればいいだろう。

 これでお分かりでしょうか。こういう問題が起り得るので、名詞には送り仮名は付けないというポイントを知っておけば、お互いに悩まずに済みます。だからといってこれはあくまでも原則ですからね。100%ということではありませんのでご了解を。

 もう一つ、とても珍しい句が出ていましたので、ご紹介しましょう。それは〈手間換への稲刈の昼わりご飯〉という句。意味が分からなかったからか、採った人は1人しかいませんでした。ここの〈手間換へ〉(てまがえ)というのは労働を交換し合うことで、昔の田舎では農作業の大変なときにはお互いに助け合うというしきたりがあったんだと。一種の結いのようなものですね。それで昼時にみんなでわりご飯を食べているという景です。作者は昔を思い出して詠んだんだと。そう言われると景が見えてきていい句だと分かりました…などと後から言っていましたが。アレッ、今度は〝わりご飯〟が分からないって?そりゃあ…それこそ自分で辞書を引くことです。

 俳句をする以上は、やはり何でも知っているに越したことはありませんからね。それでは皆さん、さあもっともっと勉強しましょう…ネッ。(^▽^)

 ついでながらこの句、昔ながらの農村の人情がわりごの飯という具象に感じられてとてもいいのですが、リズムがちょっと苦しい…。そこで〈手間換への田刈や昼のわりご飯〉と直しました。

 きょうの写真は、我家の庭の椅子。風に乗って、そこへやって来たのは柿紅葉のお客さんでした。もう間違いなく秋ですね!

 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 〝荻(おぎ)のこゑ〟にも生か... | トップ | いちご会の〝琴崎八幡宮吟行... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ちわき)
2021-09-30 00:40:34
ミルクさん、こんばんは!
秋風にオカリナは似合いますよね。
それに粋な題の〝ウイスキーがお好きでしょ〟はステキだったわあ~。
やっとやる気が出てきたようで、これもよかった、良かった!
それにしてもくるみちゃんのナント美人だこと!ミルクさんに似ているの?そりゃあ先が心配ですね。それにしてもあの黒い背中の…猫ちゃんは本物?それともあれもぬいぐるみ?(^0^)
以前秋田の人のブログで…確かわりご飯とか農作業を手伝う話などを読んだ記憶がありますが…ミルクさん宅は農家ではないのかしら。
*縄文駅稲田に浮かぶキティちゃん
取り合せが面白い!です。こういう句材はなかなかないですもの。
だとするともう一歩、知らない人にも分かるように…ね。
〈縄文駅の稲田アートは…〉として、〈浮かぶ〉を削りましょう。なくても分かるでしょう。
*オレンジの一両電車稲田行く
これはこれでいい。ただ気になるのは色が重なる…それも似た色が…
今の時季だからこうなりますが、この前までは〈オレンジの一両電車青田行く〉でしょう。だったらそう詠んでもいいんですよ。俳句は創作ですから。そうすると色が生きるでしょう。
また、つぶやいてね!
返信する
Unknown (ちわき)
2021-09-30 00:10:29
信州人さん、こんばんは!
こちらでも朝夕はめっきり冷えて?きましたが、信州はもっとでしょうね。
農業だけでなく今では何でも機械化されていますので、昔のままの季語では通用しないのが多くなりました。
田植機、耕耘機、稲刈機またはコンバインが季語になりますから、昔ながらの田植や稲刈などを詠むときには気をつけないといけません。
稲架などはまだ天日干しで、こちらも残っていますからいいのです……
<稲架掛けやついて来る子の国訛り>
わあ~惜しい!とってもいい句材なのに…。「掛け」「訛り」が名詞だから送りは付けなくてもいいからね。
俳句を詠むときはいつでも誰が?ということを考えましょう。稲架掛けるのが作者ならついてくる子とどういう関係?どこの国訛なの?ということになりますが、そこを…考える。
<刈田風ゼロ番線を通過せり>
これは刈田風が通過?それとも電車(乗ってる作者)が?もうお分かり?刈田風と0番線の取り合せはOK!下五で如何にでも変化できますからね。
宿題は…札揺れてよりは因果関係が薄い…その通り。風と揺れでは当たり前、面白くないし言わなくても分かりますもの。
東北は震災の跡を巡ってきたのですか?句材がたくさんあったでしょうね。10年が過ぎたといってもまだその爪痕はあちらこちらに残っているのでしょうから。
それにしても成長が早い!順調に伸びているのが見ていてよく分ります。先が楽しみですよ。
返信する
こんばんは (ミルク)
2021-09-29 23:05:11
この記事見逃していました。ごめんなさい。
私も 手間換、わりご飯 わかりませんでした(^-^;
<名詞の時は送り仮名を付けなければいい>
そうなんですね。難しくておぼえ切れませんが
少しづつ・とはいえ、危なくなっている頭ですから。
ちわきさんは、絶対大丈夫な方ですね~

きょうのつぶやき
この前の記事、田んぼアートを見て来た時のことですが
*縄文駅稲田に浮かぶキティちゃん
*オレンジの一両電車稲田行く
見たもの見たまんまです(^^;
返信する
Unknown (信州人)
2021-09-29 22:02:53
ちわきさま、こんばんは。

俳句教室のお話、また勉強になりました。
送り仮名、倒伏(漢詩ではない)手間換、わりご飯・・・
お写真、うちもベンチを置きたくなりましたよ。

稲刈りと田植えはもう機械ですので、季語の使い方も進化するのでしょうか。
残る手作業は稲運び、稲干しとその稲架を組むことでしょうか。
<稲架掛けやついて来る子の国訛り>
東北の旅、ほぼ刈田になっておりました。
<刈田風ゼロ番線を通過せり>
無人駅なので、番線もなにもという感じでした。
宿題、下5を推敲して、<青北風や商人宿の灯りたる>
札揺れてよりは因果関係が薄いかなあ。

旅に出ると近所にあるような風景もちょっと空気が変わり、新鮮におもえます。
ますます、旅に出たくなりました。
師匠のご指導と俳句に感謝です。
返信する

コメントを投稿

俳句」カテゴリの最新記事