金匱要略雑療方第二十三 十三条の首をくくって死んだ人を助ける法です。これはなかなかよいことが書いてありますから、覚えておいた方がよいです。(大塚敬節著 金匱要略講話)
鯱君セブン野良猫さん
金匱要略という書物に今で云う『熱中症』の対処の仕方が書かれています、冷やしたり、冷たい物をやってはいけない、冷たい物をやったりすると死ぬぞ。臍を温めると生き返る。
の前の条文です。
荒木性次著 方術説話 第五巻
金匱要略 雑療方 第二十三
第十三條
救自縊死、旦至暮雖已冷、必可治。
暮至旦、小難也、恐此當言陰氣盛故也。
然夏時夜短於晝、又熱猶應可治。
又云、心下若微温者、一日以上、猶可治之。方
誦
みづからいししたるをすくふに、あしたよりくれにいたるは、すでにひゆるといへども、かならずぢすべし、
くれよりあしたにいたるは、すこしくかたきなり、おそらくはこれ、まさにいんきさかんのゆゑと、いふべきなり、
しかも、かじはよるひるよりもみじかく、またあつし、なほぢすべきにおうずべし、
またいふ、しんかもしびにあたたかきものは、いちにちいじゃうなるも、なほこれをぢすべきがごとしと、はうは。
自ら縊死したるを救ふに、旦(あした)より暮に至るは、已に冷ゆると雖も、必ず治す可し。
暮より旦に至るは、小し難き也、恐らくは此れ、當に陰氣盛んの故と言うべき也。然も、夏時(かじ)は夜晝よりも短く、又熱し、猶ほ治す可きに應ずべし。
又云ふ、心下若し微に温かき者は、一日以上なるも、猶ほ之れを治す可きがごとしと。方は。
徐徐抱解、不得截繩、上下安被臥之。
一人以脚蹈其兩肩、手少挽其髪常弦弦勿縱之。
一人以手按據胸上、數動之。
一人摩捋臂脛屈伸之、若已殭、但漸漸強屈之、并按其腹。
如此一炊頃、氣從口出、呼吸眼開、而猶引按莫置、亦勿苦勞之、須臾、可少桂湯及粥淸含與之、令濡喉、漸漸能嚥、及稍止。
若向令兩人以管吹其兩耳罙好。
此法最善、無不活者。
誦
じょじょに、いだいてとき、なはをきるをえず、じゃうげをあんぴしこれをねかす、
ひとりは、あしをもってそのりゃうけんをふみ、てにて、すこしくそのかみのけをひく、つねにげんげんとして、これをゆるむなかれ、
ひとりは、てをもって、きょうじゃうをあんきょし、しばしばこれをうごかす、
ひとりは、ひけいをまらつし、これをくっしんす、もしすでにこはばり居れば、ただぜんぜんにつよくこれをくっす、あはせてそのはらをあんず、
かくのごとく、いっすゐけいすれば、きくちよりいで、こきふし、めひらく、しかもなほいんあんして、おくなかれ、またこれをくらうとするなかれ、しゅゆにして、すこしのけいたうおよびじゅくせいを、ふくみてあたふべし、のどをうるほさしむ、ぜんぜんによくのむにおよびて、しだいにやむ、
もし、さきのりゃうにんをして、くだをもって、そのりゃうじを、ふかしむれば、いよいよよろし、
このはふもっともよし、いきざるものなし。
徐徐に、抱いて解き、繩を截(き)るを得ず、上下を安被し之れを臥(ね)かす。
一人は、脚を以て其の兩肩を蹈(ふ)み、手にて、少しく其の髪の毛を挽く、常に弦弦として、之れを縱(ゆる)むる勿れ。
一人は、手を以て、胸上を按據し、數ば之を動かす。
一人は、臂脛を摩捋(まらつ)し、之れを屈伸す、若し已に殭(こわば)り居れば、但だ漸漸に強く之れを屈す、并せて其の腹を按ず。
此くの如く、一炊頃すれば、氣口從り出で、呼吸し、眼開く、而も猶ほ引按して、置く莫れ、亦之を苦勞とする莫れ、須臾にして、少しの桂湯及び粥淸を、含みて與ふべし、喉を濡ほさしむ、漸漸に能く嚥むに及びて、稍(しだいに・読みはようやく)止む。
若し、向の兩人をして、管を以て、其の兩耳を、吹かしむれば、罙(いよいよ)好ろし。
此の法最も善し、活きざる者無し。
解 ○縊いくびる。 ○自縊死は自分で頸をくくって死ぬこと。 ○旦たんあした、あさ。 ○暮ぼ くれ、日の暮れ。 ○已冷は身體が冷くなって居る。 ○小難は一寸六ヶ敷いと謂ふこと。 ○旦至暮は明方から日の暮れ迄の間に縊死した者。 ○暮至旦は日のくれから翌朝迄に縊死した者。 ○夏時は舊の四五六の三ヶ月、夏は晝長く夜短し故に夜短於晝と謂ふ、夏は氣温高し故に又熱と謂ふ。 ○猶應可治とは暮より夜明け方の間に縊死したものでも生かせそうな理屈だと云ふこと。 ○又云とは斯ふ云ふものもと云ふこと。 ○一日以上とは夜を通り越したものでもと謂ふこと。
自縊死の者で明方から日暮迄の間に縊死した者は既に冷くなって居る者でも必ず甦らせるものであるが、日暮から明方迄の間にぶら下ったものは一寸むづかしい、其の理由は恐らく夜間は陰氣が盛んであるが爲なのであらふ、併し夏は夜も短くそれに陽氣も熱いので夜やった者でも生かせる譯になる。それから又縊死者の心下に少しでも温みの有る者は一日以上經っても猶生かせるものであると謂ふこと。
○徐徐はそろそろ又は靜に。 ○抱解はかかへて繩から首を外してやる。 ○不得截繩とは繩が切れられないと云ふこと。 ○徐徐抱解不得截繩とは切れかかって居る繩でも切れられない樣にしづかにそろそろ抱へ外して下してやると謂ふこと。 ○上下安被臥之とは柔な敷物の上にねかせて柔な物をかぶせてやること。 ○上下は敷物と掛け物。 ○一人以脚蹈其兩肩手少挽其髪常弦弦勿縱之とは一人が縊者の頭上に廻り坐して兩足を投げ出し其の兩足で縊者の兩肩を蹈むやうに押さへ手で縊者の頭髪を輕く引っぱり絶えず緩まぬ樣にぴんとさせてをくこと、弦弦は弓のつるの樣にぴんとはること。 ○一人以手按據胸上數動之とは一人が縊者の上に跨って兩手で其の胸の上を押したり引いたりする樣になでさすってうごかすこと、按は押しなづる據は引きなづる。 ○一人摩捋臂脛屈伸之とは一人が縊者の腕や足を揉みさすり乍ら曲げたり伸ばしたりすること、摩はさする捋らち(らつ)指にて揉む。 ○若已殭とはもしも身體や手足が堅くなってしまって居たなら、殭きやう堅い。 ○但は屈伸の方だけは。 ○漸漸強屈之とは始めはそろそろとやり乍ら段々と力を入れて折りまげてやること、漸漸はじわじわの意。 ○并按其腹とは其の場合には腹もよくさすってやると謂ふこと。 ○如此一炊頃とは斯ふやって居て三十分もすると。 ○氣從口出、息が口からふーっと出て。 ○呼吸眼開、呼吸が始まり眼が開いて來る。 ○而猶引按莫置とはそれでもなほ今迄通りの處置を續けて止めるなと謂ふこと。 ○亦勿苦勞之、もう好い加減で好いぢゃないか等と言ってはいけない。 ○須臾は少し間を置いて、呼吸眼開したら少し間を置いて。 ○桂湯は桂枝湯。 ○粥淸はおもゆ。 ○含與之は含んで呑ませる俗に言ふ口移しに飮ませること。 ○令濡喉は口中を濕す程度に始めは少し入れてやる。 ○漸漸能嚥及稍止、段々のどへ通るやうになったら次第に止める。 ○若向令兩人の兩人は胸上を按據した人と臂脛を摩捋した人のこと。 ○向は前と同じさっきのと云ふ義。 ○管は筆軸又は火吹竹の類。 ○罙び あまねし、彌と同じくいよいよ。
大塚敬節著金匱要略 雑療方 第二十三
救自縊死。旦至暮。雖已冷。必可治。暮至旦。小難也。恐此當言忿氣盛故也。○趙本。忿作陰。然夏時夜短於晝。又熱。猶應可治。又云。心下若微温者。一日以上。猶可治之。方。
徐徐抱解。不得截繩。上下安被臥之。一人以脚蹈其兩肩。手少挽其髪。常弦弦勿縱之。一人以手按據胸上。數動之。一人摩捋臂脛。屈伸之。若已殭。但漸漸強屈之。并按其腹。如此一炊頃。氣從口出。呼吸眼開。而猶引按莫置。亦勿苦勞之。須臾可少桂湯及粥淸含與之。令濡喉。漸漸能嚥。及稍止。○外臺。及作乃。若向令兩人以管吹其兩耳。罙好。○外臺。罙作彌。此法最善。無不活者。
〔訓〕
自(みずか)ら縊死(いし)したるを救う。
旦(あした)より暮(ゆうべ)に至るは、已(すで)に冷(ひ)ゆると雖(いえど)も、必ず治(ち)す可(べ)し。
暮(ゆうべ)より旦(あした)に至るは小(すこ)しく難(かた)し。
恐らくは、此れ当(まさ)に忿気(ふんき)(趙本は「忿」を「陰」に作る)盛んなるが故を言うなるべし。
然れども夏の時は夜は昼よりも短く、又熱(またねっ)す、猶応(なおまさ)に治(ち)すべし。
又云う。心下若(も)し微温なる者は一日以上なるも猶(なお)之(これ)を治(ち)すべし。方は、
徐々(じょじょ)に抱(いだ)き解(と)き、繩(なわ)を截(き)ることを得ず。
上下被(ひ)を安(やる)んじて之(これ)を臥(が)さしめ、一人は脚(あし)を以って其の両肩を蹈(ふ)み、手にて少しく其の髪(かみ)を挽(ひ)き、常に弦々(げんげん)として之(これ)を縱(けな)つこと勿(なか)れ。
一人は手を以って胸上を按拠(あんきょ)し、數(しばしば)之(これ)を動かし、一人は臂脛(ひけい)を摩(なで)捋(ひき)て之(これ)を屈伸(くっしん)す。
若し已(すで)に殭(かた)ければ、但(ただ)漸々(ぜんぜん)に強く之(これ)を屈(くっ)し、并(なら)びに其の腹を按(あん)ず、此の如きこと一炊頃(いっすいけい)にして、気(き)口(くち)より出て、呼吸し、眼開く、而(しか)も猶(なおほ引按(いんあん)して置(お)くこと莫(なか)れ。
亦(また)之(これ)を苦勞すること勿(なか)れ。須臾(しゅゆ)にして、少しの桂湯(けいとう)及び粥淸(じゃくせい)、含(ふく)んで之(これ)を与(あた)えて喉(のど)を濡(うるお)さしむべし。
漸々(ぜんぜん)に能(よ)く嚥(の)み、及び稍(やや)止む(外台は「及」を「乃」に作る)。
若(も)しくは、向かって両人をして管(くだ)を以って其の両耳を吹かしめば罙(いよいよ)好(よ)し(外台は「罙」を「弥」につくる)。
此の法最「もっと」も善「よ」し、活(い)きざる者なし。
〔解〕
大塚 首をくくって死んだ人を助ける法です。
これはなかなかよいことが書いてありますから、覚えておいた方がよいです。
朝、首を吊って、夕方まで放ってあった者は、冷たくなっていても助かる。
夕方、首を吊って、朝になったものは治りにくい。
これは夜の陰の気が盛んであるためである(原文は「忿気盛んなるが故」となっていますが、忿気では意味をなさないので、趙本の如く「陰気」とすべきだと思います)。
しかし夏は夜が短いし暑いからよい。
また心下(みずおち)をおさえてみて温かい者は、一日以上経(た)っていても治る。
方法は、繩を切らないで、抱いて、徐々におろさなければいけない。
着ているものの上下を脱がして横にする。
その項書いてあるのは人工呼吸の方法です。
「弦々として縦(はな)つこと勿れ」というのは、引っ張って、ゆるめてはいけない。
つまり、一人は足で両肩を踏み、手で髪をもってひっぱる。
決してゆるめてはいけない。
もう一人は、手を胸の上において揉(も)み、更に一人は、臂脛(ひけい)をなでながら屈伸さす。
もし、すでに硬直を起こして硬くなっていれば、少しずつ硬いところを曲げて、腹をなでてやる。
このようにして一炊頃(御飯をたく時間)ぐらいやると呼吸して眼が開く。
それでもなおしばらくは、ひっぱるのをやめてはいけない。
これを苦労にして(面倒がって)はいけない。
しばらくして、桂湯とおもゆ(粥清)を与えて、咽をうるおさしめる。
または、二人の人が向き合って管で両方の耳を拭くと好い。
空気を吹き込むわけでしょうね。
細野史郎先生が漢方をやりはじめた頃に、喘息の患者に神秘湯をやったところ、すごい呼吸困難を起こして、私にすぐに来てくれというので、行きまして、この方法を必死になってやりまして、やっと生き返ったことがあります。
あんな恐ろしいことはなかったですよ。
神秘湯は効くけれど、こういうこともありますよ。
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