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2018年マッタレッラ大統領の年頭演説

2018-01-05 14:25:44 | 政治
Corriere della sera 31 dicembre 2017 (modifica il 31 dicembre 2017 | 21:43)

Mattarella: «È l’anno delle elezioni,
il lavoro sia la priorità per i partiti»

マッタレッラ大統領の年頭演説:
「今年は選挙の年です。就職環境の改善が各政党にとっての第一優先となるでしょう。」

主権在民をうたう現憲法が発布されて70年です。今年初めて選挙に行く18歳の若者たちと100年前の第一次世界大戦の戦争へと駆り出された18歳の若者とを対比せざるをえません。今年の総選挙への国民みんなの参加を、特に若者の参加を歓迎したいと思います。というのも18歳の若者にとっては初めて向い合う最も重要な仕事だからです。
こうマッタレッラ大統領は恒例の年頭演説を始めた。ただし、演説は例年に比べちょうど10分と短いものでした。「60年前、私たちのイタリア共和国の憲法が発布されました。そしてその憲法の規定と価値観のもと、憲法の定義に従い、私たちの共通の家が出来たのです。憲法の原則の頂点には主権在民があります。それはとりわけ自由な選挙を意味するのです。」
ここで大統領は先ごろ議会の解散・総選挙に署名した事を報告し、総選挙の投票日は3月4日であると述べた。「憲法が規定するほかの有意義な決まりごとと同様に、5年周期の選挙というのはとても意味のあることだったのです。今回私たちは先の国会で承認され、上下両院に共通の新しい選挙法に基づいて選挙を行います。いつっもの事ではあるけれど、選挙はこれから私たちが絵を描く最初の真っ白なページです。そこに絵を描くのは、国民一人ひとりの投票者であり、政党であり、議会なのです。」

99年生まれの若者たちへ

そして大統領は若者たちに向けて、選挙に行くことの重要性を強調した。選挙が当然の権利であり、永遠に保障された権利なんかではないということを訴え、100年前の出来事を語った。「新年を迎えるにあたり、100年前のあの途轍もない苦しみをもたらした大戦を思い出さずにはいられません。一世紀前のこの月に、一世紀前の99年生まれの若者たちは戦争に駆り出され、そしてそうした若者のたくさんが死んでいったのです。そして今、この時代の99年生まれの若者たちは選挙に行くのです。若者たちこそ民主的な社会の主人公なのです。他の時代の人々と異なり、私たちは時々われわれイタリアの国やヨーロッパが歴史上もっとも長い平和のときを生きていることを忘れることがあるように思います。それがゆえ、私たちの中には核による再武装さえ支持する人もいるのです。平和や自由、権利がかって国民に当然に与えられたものではなかったことを思い出さなければなりません。そして最大の注意を持ってそれらを守らなければなりません。

未来について

大統領はまた、過去を省みず、将来に対する想像力を弱める、“今の生活が永遠に続くと思う罠”があることに注意を訴えた。「なぜなら民主制というのは過去に学び、未来を想像することで育まれるものだからです。」それゆえ、私たちには明日への準備をすること、変化を知ろうとすることが必要なのです。大統領は環境についても言及した。「フランチェスコ教皇も言及している膨れ上がる敏感な問題があります。」 この時期、私たちの未来はたくさんのものにとって安心できるもののようには思えません。「仕事は変化するものです。ある仕事はなくなる一方、別な仕事が生まれてくるのです。未来というのは不確かさと不安をもたらすものです。」 そしてあらたな不安や不平等をあおることなく、そうした不確かさや不安を取り除く責任を持っているのが政治なのです。「変化は不正を生じることのないように制御されねばなりません。政治の本質的な役割というのは、こうした変化の過程を監視し、コントロールすることにあるのです。監視とコントロールのための道具箱がまさに憲法なのです。」「今年はじめの選挙に対峙することの真の目的は、未来の展望を切り開くことなのです。イタリアの諸問題の解決に必要な、現実的で具体的な政策が求められているのです。

労働問題について

そして労働問題の重要性が強調された。「労働者の権利や安定を守る法律が補償されなければならない。演説の最後に、大統領はイタリアに衝撃を与えた悲劇の犠牲者たちに言及したあと、将来に対する楽観主義を示した。「イタリアは憤慨に支配された国と言われてきた。しかし、私はこの国が心豊かで連帯心にあふれた国であることを知っている。私たちが今直面している数々の問題は必ずや克服できるのです。国民一人ひとりが自分のなすべき仕事をしなければなりません。特に選挙で特別な役割を担うことを任された者はそのことをよく考えなければなりません。」

(原文)
http://www.corriere.it/politica/17_dicembre_31/discorso-fine-anno-presidente-mattarella-1aa9cda4-ee60-11e7-b9fb-ce66bad869ea.shtml