拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

6月15日キエフ(ウクライナ)

2008-06-19 | 旅メモ&旅日記(欧州)



2008年6月15日(日)

目が覚めると体が重い。
昨晩ずぶ濡れになったせいか風邪を引いたようだ。
体は重たかったが、でも心は昨晩の余韻で何だかすごく熱かった。

時間となりホテルをチェックアウトしタクシーで空港へ。
独立広場から空港までのタクシー代150rph(約20EUR)約50分。

KBP14:05/FRA15:45 LH3237


※写真:雨に濡れた聖ソフィア大聖堂

6月14日キエフ(ウクライナ)

2008-06-19 | 旅メモ&旅日記(欧州)



2008年6月14日(土)
FRA9:55/KBP13:15 LH3236
両替1EUR=7.15rph(クリヴナ)

エアポートバスを利用して市内中央駅まで。約50分。25rph(約3.5EUR)
中央駅前にバスが到着。メトロを探すがわからない。
通りがかりの人に聞くも英語が殆ど通じず。また数人に聞くと皆違うことを言う。
中央駅からメトロの駅は遠いのだろうか。こんなことなら1つ前のバス停がメトロ駅前で停車だったので、そこで降りておけばよかった。
駅のインフォメーションに行くが、外に行けとしか教えてくれずすごく不親切。
さすがは元ソ連。ああ社会主義国文化。

しかたなくタクシーで独立広場近くのホテルへ。100rphと言われるが値切ったら75rphになった。(約12EUR)
中央駅から独立広場まで約20分。

しかし独立広場近くまでくるも本日警官が封鎖しておりホテル近くまで車で入れない。タクシー運転手も何だこれはと怒っている。警官にウクライナ語で聞いているようだが、警官は完全無視。KGB時代の名残だろうか。

仕方なく聖ミハイルの黄金ドーム修道院前で降りて、歩いてホテルを目指す。
しかしガイドブックの地図がアバウトなのと、全てウクライナ語表示なので迷う。
道行く人に聞いてもやはり英語が通じない。ロシア語でも話せれば違うのかもしれないが。

それでも英語が話せる若者に出会い道を聞いてなんとかホテルまで到着。
レセプションで部屋があるかを聞くが、おしゃべりに夢中でなかなかこちらをかまってくれない。
適当にあしらわれてしまう始末。日本なら「こっちは客だ」という論理が通用するかもしれないが、そんなものは西洋諸国でも通用しないのだから、旧ソ連の東欧諸国では論外の考え方。
客はお願いして何とか宿泊させていただかなくてはいけないのがここのルール。(本当か?)

何とか食い下がってみると、別館があるからそこならとまれるという。
そこでいいからチェックインさせてくれと言うと、お前は部屋を見て決める必要があると言われ、それなら場所を教えてくれと聞くも、フロントも英語が片言でうまく通じない。
地図を書いてくれというが、マクドナルドのすぐ近くだから行けば分かるの1点張り。

じゃあ行ってみようかと外に出るが、それらしい建物はない。

レセプションに戻ってやっぱりなかったぞと言うが、同じことを繰り返されるだけ。
KGBを味方につけて極寒のシベリアへの強制連行をちらつかせないとちゃんと対応してくれないのだろうか。
(絶対そんなことはしたくないが)

仕方なくこちらでホテルと広場とマクドナルドを書いて、どこだ?と聞くと、ようやくここだと地図を指さしてくれた。マクドナルドの脇には2本道があり、自分は手前の道を探していたのだが、どうやら奥の細い道らしい。芭蕉か!と突っ込んでやりたいが、絶対通じないと思うのでやめておく。
部屋をチェックすると建物こそ少し古いが、結構豪華で2ベットとリビング付の2部屋で広々としている。


ようやくチェックインしたのが16時頃。
ホテルコザーツィキー別館ツイン(シングルなし)412rph(約58EUR)
旧ソ連だけあって宿代が高い。



ホテルに荷物を降ろしギターを持って歩いて5分のソフィア大聖堂へ。入場料2rph。(約0.17EUR)
今日は世界遺産のこの大聖堂の中で歌うことに決める。

しかし歌いはじめてわずか2曲で突然のスコール。
曲の切れ間で雨宿りできるところまで移動し雨があがるのを待つ。


きっといつか雨があがるだろうと思い待ち続けること30分。
しかし雨脚は強くなるばかり。
滝のような豪雨と雷が鳴り響き続く。本当についていない。

同じように雨があがるのを待っていた人達も少しずつ岐路につきはじめる。時計を見るともう5時だ。


しかし幸い大聖堂の敷地内に雨宿りできる場所があり、他にも雨宿りしている人達が何人かいるので、そこでギターを取り出し歌うことに。


「雨の日でも出来ることはきっと何かあるはず」だと思う。


ここで1時間半程歌う。

濡れた大聖堂に染み入るように歌声が響く。

それでも入れ替わり雨宿りにやってくる人達がよかったよと言って笑顔を返してくれる。
(ウクライナ語なのでよくわからないがたぶんそう言っていると思われる)

雨にも少し濡れ、気温は肌寒い位だったが、何だか心が少し温かくなった気がした。


色んなことが思うようにいかないそんな日はあると思う。

例え激しく降り続く冷たい雨の中でも、あきらめずに頑張れば、きっと
「よかった」と思えることがあると、そう教えられているような気がした。


きっと人生の中では晴れの日ばかりではない。
雨降りの日、激しく吹雪く日だってあると思う。

そんな日でも1つ1つ積み重ねていくことが、明日への笑顔に繋がるのかな?と、ぼんやりとそんなことを考える。



夏は19時まで大聖堂は開いているが、さすが閉館間近になると殆ど人もいなくなったので、折り畳み傘を出してホテルへと駆け足で戻る。

しかし用水路が整備されていないのか、町は殆ど洪水状態。靴もズボンもびしょ濡れだ。



19時30分~21時。歩いてレストランへ。

キエフは東欧ではグルメの町ということで、ガイドブックに書いてあったレストランを探すが、しかし近くまできていると思われるものの一向に店が見つからない。

ようやく英語が通じる青年に出会い聞いてみると、その店はとっくに潰れてしまったとのこと。
近くの別のウクライナレストランを教わり入ってみる。

ホテルのカジノと併設されたレストランだが、それなりに高級な感じ。
何よりウェイトレスが英語が通じるのが良い。
ウクライナのお姉さんがキレイなのが更に二重丸。(おやぢか!?)


ロシア料理の代表格と思われているが、実はボルシチはここウクライナが発祥の地というので頼んでみる。

サワークリームがかかった赤カブのボルシチとガーリックパンがメチャウマ。35rph(約5EUR)

そのほか羊肉の特大蒸餃子?であるヴァレキ(これもサワークリームをかけて食べる。塩をふったらまあまあ)が58rph(約8EUR)


そして特筆すべきほど激ウマだったのが、キエフ風カツレツ。

さくっとした衣にフォークを入れると、中から肉の旨みと合わさったバタークリームソースがとろーりと出てくる。
そのソースと絡めて食べると超ウマイ。
これが53rph(約7EUR)


お腹が一杯になったので帰ろうと外にでるが相変わらずの大雨。
びしょ濡れになりながら独立広場へ足をすすめるとなにやら人だかりが。

エキシビジョンが設置されており、英語のトークもあったので足を止めて聞いてみると、今日ここでポールマッカートニーのフリーライブがあるという。
これはぜひ聞かねばと、大雨の中ずぶ濡れになりながら良席を求めて移動する。


当初の開演時間はとっくに過ぎているのか、他の観客がやきもきしている。
時計をみると21時半。

雨は更に激しく降り続き、もう上から下までびしょ濡れだ。


さらに待つこと15分。まもなく10時が近くなる頃ようやくライブ開始のカウントダウンの数字がエキシビジョンに表示される。


そして9時50分頃ポールとメンバーがステージに現れ独立広場でのフリーライブがスタート。

この広場はウクライナが民主化へと進んだオレンジ革命の舞台となった場所らしい。


最初はポールのソロ曲3~4曲に対して、1曲位の割合でビートルズの曲を歌っていたが、11時過ぎに雨があがって観客もヒートアップすると、後半からは殆どビートルズの名曲のオンパレード。

舞台の選出も派手になり、連発花火まで打ち上げられる始末。


ビートルズに多大な影響を自分も受けており、Let it beやYesterday、Hey Judeをポールやキエフ市民と一緒に大合唱したときはさすがに涙が出そうになる。

(後でわかったことだが、この日このフリーコンサートには約10万人が参加していたらしい。10万人の人達が一緒に自分の曲を歌ってくれるというのはとても幸せなことだったろうと、その時のポールの心情に思いはせてみる)


深夜12時過ぎに終わってみれば、全体の約3分の2、20曲以上がビートルズの曲だった。

この日のライブは、ポールマッカートニーのライブというより、明らかに「ビートルズ」のライブだったと思う。

実際は4分の1かもしれないが、ジョンやジョージの亡き後、まるでポールが新しいメンバーを連れて新生ビートルズとしてステージに立っているような気さえした。


冷たい雨が降り、さらに言葉が通じなかったり、文化の違いで「辛いな」と感じるそんな日でも、諦めずに前を向いて歩き続ければ、こんな素敵なことがあるのだと、そう教わっているような気がして、この世に神様がいるのだとしたら、心からお礼が言いたい気持ちになった。
(そう、雨降りだからと宿の中に閉じこもっていたら、自分はこのLiveを知らずにいたかもしれない)


この日のポールマッカートニーのライブは何年も前から構想を練り上げ、殆ど奇跡のようなライブだったと思う。

そこに何の予備知識も無く、本当に偶然この場に居合わせたということは、「幸運」という一言では片付けられない何かを感じる。


何だか「お前も頑張れ」と励まされたような気がした。


この日は中々興奮が覚めなかった。
熱いホットシャワーを浴びて就寝。


※写真:雨の中で歌った場所(聖ソフィア大聖堂内)