連日メディアでは、中国の反日デモが取り上げられています。
報道を額面通り受け止めると、正直日本人としては、かなり気分が良くないです。
同じように多くの日本人に、反中感情が高まっているのではないかと思います。
一方で、現在の仕事でちょうど北京の導入案件を担当したり、上海や成都の案件を担当したりと、この夏~秋は中国の案件が続いています。
先週金曜日から北京の案件でトラブルが出ており、ひょっとして現地企業の担当者から、日系企業の依頼はほおっておけと、ぞんざいな扱いをされるのではないかと心配していましたが、誠意ある対応をしてくれ、事なきを得ました。
その件を昨日、顧客の北京オフィスの中国人担当者に報告すると、大変感謝され、明後日もその担当者と電話でやりとりをしながら、一緒に作業を進める予定です。
自分の東京のオフィスにも、上海のオフィスにも、一緒に仕事をする中国人の同僚がいます。
彼達をみていると、連日の報道はまったく別の国の出来事ではないのか?とそんな気持ちになります。
欧州で何年も生活をすると、たいていの日本人は愛国者になると言われますが、自分も例にたがわずそのうちの1人です。
ただ一方で10年以上かけて、世界の半分以上の国を旅する中で知ったことは、全ての物事には表と裏があり、我々の目に触れるのは、ほんの一部分にしか過ぎないということでした。
おそらく連日報道されている反日デモは、現実の出来事だと思います。
しかしそれは物事の一部分だけを切り取ったものにしか過ぎないと思います。
悪意や憎しみは、さらなる同じ感情を生み出します。
世の中はキレイごとだけでは片付けられませんが、とにかく黙って従えなどという聖人君子の考えには到底自分は至らないものの、ガンジーの非暴力非服従のように、自分達の意思は明確にしながら、冷静に対処することが必要だと思っています。
我々日本人にも色々な人間がいるように、中国の人達にもそれは当てはまります。
日本人の一部が犯罪を犯したからと言って、全ての日本人が犯罪者ではありません。
同じように一部の中国人の愚行は、全ての中国人に当てはめられるべきでは無いと自分は考えます。
残念なのは中国と言う国が、長い年月をかけて、国をあげて反日教育を行ってきたという事実があります。
仮想敵国という考え方があるように、一部の権力者にとって都合の悪いことは、あえて敵を作ることで、1つにまとまってきたという大国の歴史があります。
しかし時代は変わりつつあります。
インターネットが日々、世界をずっと小さく小さくしていて、今回の出来事にも、心を痛めている良識ある中国人も国内外に沢山います。
暴徒化している中国人に、我々日本人が今何を言っても火に油を注ぐだけでしょう。
一方で日本で暮らしたりして、親日感情を持っている中国人も多くいます。
そういった良識ある中国人の声を、ほんの少しでも本国で騒いでいる人々に伝えることができればと自分は思います。
ただ不満をぶつけたいだけ、暴れたいだけ、騒ぎに便乗して略奪行為を行いたいだけのバカもいると思います。
しかし全ての人がそうではないと自分は信じています。
悪意ある感情は、さらなるそれを生み出すように、善意もまた同じだと思います。
我々は決して服従せず、自分達の信念を貫き、そして降り注ぐ悪意に対して、善意で迎え撃つことはできないでしょうか。
悲しい事実ですが、これまでは中国政府によって踏み潰されてきた善意も多くあったと思います。
しかし暴徒を制御できない中国政府の映像をみてわかるように、中国も今、大きく転換期を迎えようとしています。
良識ある中国人と、インターネットと、我々日本人の善意の気持ちがうまく連鎖すれば、例え時間がかかっても、その負のスパイラルの鎖を、断ち切ることができないでしょうか。
インターネット規制のある中国なので、アラブの春のようにはいかないかもしれません。
ただ我々はそれを諦めずに、手立てを考える努力を続けるべきだと、自分は思っています。
※写真:中国で知り合った友人が送ってくれた九寨溝(四川省)の写真。中国にも美しいもの、素晴らしいものは沢山あります。