中には自転車が車道の左側を自動車と対面するように逆走行する者も多い。自転車同士が対面し、右によけるのか左によけるのかお見合いが続くこともある。当然双方左側を走り離合する。歩行者優先道路ではまずは人が優先であるので、歩行者の安全を確かめ、場合によっては最小限ベルを鳴らし、自転車の存在を知らせ、または、自転車から降りて人を優先させなければならない。十字路での自転車の右折はできないが、十字路の中央付近でうろうろする自転車を見かけることがあり、これも危険この上ない。自転車の十字路通行は直線走行である。つまり、歩行者信号に従うことになる。
小・中学校で、交通安全教室を行っているにもかかわらず、交通ルールを守れない自転車運転者が多いのはどうしてなのか不可思議さが先に立つ。危険予知訓練ではヒヤリ、ハットする事象が重大事故の前兆として300:29:1の確率を持つというハインリッヒの法則というのがある。実際の自転車事故の確率と同様なことが言えるのではないか。つまり、1つの重大事故発生の裏には29回のハットすることが前兆としてあり、その前には300回のヒヤリがあるという。自転車の重大事故に繋がる多くの因子があり、もう十分すぎるほどヒヤリ・ハットは経験している。重大事故が起きた報道を眼にするとやっぱり起きてしまったかと感じる。
古い話で申し訳ないが、初めて自転車を購入してもらい、交通ルールを知らなかった子供の頃、車道も歩道も区別がない道路で、筆者は道路の右側を走っていたときに対面したブリキ屋の自転車に、積んでいた丸めたブリキ板と接触し、左手にひどい傷を受けた。10針を縫う大手術であったが、当時は泣き寝入りで、左側を走らないことが悪いとのことであった。今であれば自転車の幅の4~5倍もあるブリキ板を裸のままで積んでいた危険物積載に当たり、大変な問題になるが、当時は謝罪一つ無かった。幸い、傷の跡はあるが神経まで達していなかったため左手は今でも健在である。事故の発生は双方の不注意が大いに関係する例としてお示しした次第である。(次回へ続きます)