極楽、それは、地獄の中に生まれる。あわのようなものであり、生まれたかと思うと
たちまちにして消えてしまう。地獄に吹く1陣の快適な風とも言えるだろう。
この世は地獄であると思う人は多いのではなかろうか。
この世に生まれて、人生の荒波を乗り越えて、無事に此岸に渡りきることが、どれほど大変なことか。
ある年齢まで生きてきた人間には、骨身にしみる。辛苦があるから、多分そう思うのだろう。
地獄極楽の話が常識的には、えんまさんがいて、人々の生前の行いから判断して、
地獄・極楽行きが決められると、子供の時から聞かされてきた。
が、地獄へ行って帰ってきたものも、極楽へいって帰ってきたものもいない。
蓮の花の上に座ってきたものもいない。
それは地獄極楽が、死後の世界に、あるものだという先入観によるものだが、
現在住んでいるこの世にあることは実感できる。
果たしてそれが正確に、地獄・極楽と言えるのかどうかは別にして、
直接身に響いてくるだけに、この世の地獄極楽は分かりやすい。
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