kebaneco日記

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適正価格

2010年01月30日 | 折々の話題
去年から西武池袋本店の地下食品売り場の一角に、セブン&アイ・ホールディンググループ各社共通のプライベートブランド商品、セブンプレミアムを置くセクションができている。

どういうところが作っているのだろう?と商品を手にとって驚く。写真のたまごスープはキリン共和が、お茶漬けのもとは永谷園が、柿の種チョコはでん六が、それぞれ製造しているのだ。購入してないけど板チョコは森永だったし、チーズも明治が製造者だった。

揃いもそろって、誰でも知ってるブランドの確立したメーカーが供給しているのだ。広告宣伝費や流通経費を販売側が負担することだけで、これだけ安価にできたというのであろうか?それにしても自社ブランドに対するマイナスの影響は避けられないのでは?長期的に有効な戦略なんだろうか?などと余計な心配しつつ、でも買っちゃったぜ(苦笑)。

で、ふと、コムデギャルソンの創立者でチーフデザイナーである川久保玲さんの新聞記事を思い出した(全文はこちら)。若いころカラス族だったこともあるkebaは、川久保玲さんや山本耀司さんのデザインする洋服が今でも好きで、衣替えするときに仮にワンシーズン一度も袖を通さなかったとしても、この二人の洋服は捨てられないでいる。

川久保さんいわく「いい物は高いという価値観も残って欲しい」。「どこかの工程で誰かが泣いているかもしれない」、「いい物には人の手も時間も努力も必要だからどうしても高くなる」。価格下げ要求はあたしの業界にも蔓延していて苦々しく思うこともあり、川久保さんの意見に激しく同感。議論沸騰になることを知ってか知らずか、あいかわらずかっこいいなぁ、川久保さん。

だれだって自分の努力や配慮やプロとしてのサービスに対する評価が低ければ、モチベーションが下がるのは当然だ。いくら好きなことでもそれを生業とするには、生活が成り立つだけの収入が必要。生業として選んだ「好きなこと」に対する感性や知識を高めるための投資にもお金が必要。でも、プロとしてきちんと提供した仕事が、合意した条件に従って正当に金銭的に報われる形が崩壊してしまったら、生活が成り立たなくなるだけじゃなくて、向上心すら持てなくなる。

経済学者は今のデフレ状態を「経済に与える悪影響」という側面から心配しているけれど、あたしは「人の生産行動・創造行動に与える悪影響」のほうがよっぽど甚大なのではないかと心配だ。厳しい環境下にあって節約は必要だけど、誰かに無理を強いて自分が節約することはフェアではない。

セブンプレミアムの品物を手にとって「あ~たの適正価格っておいくら?」と尋ねてみるkebaです。

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2 コメント

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仰有る通り (itijouji1969)
2010-01-31 10:55:24
ある程度の価格を保たないと商品価値は下落しますよね。

昔、トヨタがセルシオを出した時、メルセデス・ベンツは
何故こんなに安く売れるのか驚嘆したそうです。
そして数こそ全てとクライスラーと合併し、車種を増やし
コストダウンに励みました。
しかし、その手法は破綻し、昔の道、価値の確立に
回帰しつつあります。

むやみやたらに価格を下げるトヨタ手法は、最終的には
購買層を縮めるといった方向に向かい、蟻地獄に陥っているようです。

もうそろそろ安さが全ての風潮を、不幸の始まりだと
気付かないといけませんよね。
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Unknown (keba)
2010-01-31 14:48:14
>itijouji1969さま
トヨタやユニクロがで薄利多売路線を突き進む一方で、
みんながそうしなければならないと思ってしまった「その他大勢(=メディアや消費者も含む)」の責任も決して小さくはないと思います。
濡れ手で粟はできなくなったと、価格を微調整するならまだしも
下請けいじめや社員にサービス残業させてまで安さに走ったツケは
数値換算できないような悪弊となって今後の日本が背負っていくのかも。
もはや、理念もなく値下げをに走った会社、それをあおった全員の問題でしょう。
まずは、頑張った結果(品質の高さや機能の良さなど)が正当に評価される
常識があたりまえに経済的に評価される状態に戻すべきですよね。
さもなければ、いつか「技術立国日本」「品質大国日本」の看板をおろさねばならなくなるでしょう。
だって開発投資は決して安くないのだから。
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