今日のうた

思いつくままに書いています

「自立路線」と呼ぶことへの違和感

2015-07-20 15:08:46 | ②一市民運動
2015年7月18日、NHKスペシャル「戦後70年 ニッポンの肖像-政治の模索-
第1回保守・二大潮流の系譜」を観る。
番組の冒頭、戦後の吉田茂と岸信介の相反する路線の違いを、吉田=「豊かさ路線」、
岸=「自立路線」と分けていたが、私はこれに違和感を覚える。
自主憲法や憲法改正を目指すことが、日本の「自立路線」とは思えないし、
誤解を招く恐れがある。
またコメンテーターとして出演されている方の発言を、アナウンサーがやや端折ろうとする
場面が見られた。この時点で岸信介を扱う事に対し、やはりNHKは? と、
どうしても感じてしまう。

気になる言葉を引用します。

(1)戦後、パージ(公職追放)された多くの人が戻ってきた。岸信介もその一人だが、
   多くは戦後の社会を本能的に嫌い、戦前の社会をめざす傾向があった。

(2)岸は安保反対運動を見据えて、警察官の権限の強化を目指す。
   1958年、「警察官職務執行法改正案」を提出するが、治安維持法の復活との
   反対が根強く、自民党内からも反対が続出し、廃案になる。
   ここから岸の目論見はほころび始める。

(法案を成立させる前に、権限の強化と反対を抑え込む目的で、岸は
 「警察官職務執行法改正」を、安倍は「特定秘密保護法」を出している)

(3)1960年5月19日、会期延長して衆議院で単独で、安保改定を強行採決する。
   このことで、くすぶっていた安保反対運動に火をつけることになる。
   それまでの労働組合を中心とした縦型の運動から、全く国民的な横の社会構造の運動へと
   変わっていく。この日を境に、民主主義の危機と、1週間後には全国各地で54万人
   にふくれあがった。樺美智子さんの死で、運動は更に激化していく。
   
   「岸内閣は警職法や安保をふくめて、非常に強権的な性格だった。
    国民は『こりゃまずい』と、いろんな不満とか不安とかが、あの時に爆発した」

   岸内閣の支持率は26%まで下落した。岸は政権を維持できなくなり、
   6月23日に退陣表明する。

   「岸は国民をつないでいるメディアに対して、一顧だにしなかった。メディアに対しても
    強硬路線を打ち出した。
    安保改定から一気に憲法改正へという、岸の目論見は否定された。
    まさに1960年が憲法改正の分水嶺だった」

   これ以降、岸は水面下で、80歳を過ぎても自主憲法制定を目指し
   孤軍奮闘することになる。

(衆議院での単独強行採決、メディアを一顧だにしない強硬姿勢、支持率の急落、
 今の安倍政権は、まるでデジャビュのようだ)

(4)岸は憲法改正に取り組まない自民党に対して、アメリカの雑誌で次のように批判する。

   「憲法改正は日本が真に戦後から脱却し、日本人としての自信と誇りを持つのに必要だ。
    あまりにも池田(勇人)および私の弟(佐藤栄作)が、
    『憲法はもはや定着しつつあるから憲法改正はやらん、やらん』と
    非常に後退したからね。
    もういっぺん俺が総理大臣になってだ、憲法改正を政府としてやるんだと、
    まあ、密かにそう思ったことは随分ありますよ。完全燃焼しないと未練が残る」

(5)「これ正に先生のご初心であり、小生の初心であります」と憲法改正について語っていた
    中曽根康弘は、総理大臣に就任した1982年には、次の言葉を残している。

   「現行憲法の民主主義、平和主義あるいは基本的人権の尊重、国際協調主義等は、
    優れた理念であって、憲法改正を政治日程にのせる考えは、目下のところありません」

(自民党結成時は自主憲法制定が党是だったようだが、それ以後に引き継いだ政治家は、
 安倍晋三までいないようだ。岸は「自主憲法制定」のたすきをかけて孤軍奮闘、訴え続けた)

(6)岸は民主政治について、次のように述べている。

   「反対運動は一部である。大衆に追随し、大衆に引きずり回される政治が
    民主政治ではない。
    民衆の2、3歩前に立って、民衆をひきいて、民衆とともに歩むのが、
    本当の民主政治のリーダーシップだ」

   それに対して「自分についてくるのが民主主義だと思っている」との批判がある。
   (引用ここまで)

(こうした岸の政治的野心が、安倍に受け継がれていったことがよく分かる。
 1960年に岸が行い、それによって民意が離れていったと同じことを、なぜ今、
 安倍はしようとするのだろう。
 メディアを一顧だにしないこと、自分についてくるのが民主政治だと勘違いしていること。
 私は55年前のデジャビュにつき合わされ、そこまで遡るのはごめんです!
 もう一つの私の疑問は、岸は対米従属構造を徹底して嫌った。だが安倍は、
 アメリカへの従属をより深めようとしている。私にはそこがどうしても理解できない)
 (敬称略)
    
※8月4日号の「女性自身」に、内田樹さんの言葉が載っています。
 「安倍首相は全能感と快感を覚え、独裁者の快感に深々と酔っている」とありました。
 同感です。
 
「●【あかりちゃん】ヒゲの隊長に教えてあげてみた (YouTube)」
 この動画はよく出来ています。
 安保法制の矛盾が解ります。(自民党が作った動画のパロディー版です)
 あかりちゃん(パロディー版)のような若者が増えると、日本は絶対に変わります。
 ブックマークに入れましたので、是非、ご覧ください。
 どういうわけか、閲覧回数が表示されなくなりました。恐れをなした?
                    ↓
https://www.youtube.com/watch?v=L9WjGyo9AU8
 

「●(動画)総統閣下は、『安保法制』審議にお怒りのようです」といい、才能がある方が
 いらっしゃるのですね。

https://www.youtube.com/watch?v=WSroOlr3KyQ

【あかりちゃん】パロディー版は、7月23日の[NEWS23」や朝日新聞夕刊でも
取り上げていました。
再生回数は本家を大幅に引き離して、40万回を超えています。
(2015年7月24日 記)
 


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自分のことばで言ってごらんよ

2015-07-20 10:01:33 | ②一市民運動
紋切り型の政治家の言葉を聴いていると、暑苦しさが増してくる。
国立大学の教員養成系や人文社会科学系の学部・大学院の廃止や転換に取り組めなんて、
冗談じゃない。企業に最大限奉仕するロボット人間を養成したいのかと、勘ぐりたくなる。

それよりも政治家は「安保関連法案」を早く廃案にして、大学の夏期講習で、
「ことば」のお勉強をされたらいかがですか。
自分で考えて、自分のことばで言う訓練、これからの日本には一番必要なことだと思いますが。

京大有志の会「声明書」は、読んでいて清々しくなるほど的確で解りやすい。
おじい様の写真の替わりに、壁に貼ったらいかがでしょう。
全文を引用させて頂きます。

 戦争は、防衛を名目に始まる。

 戦争は、兵器産業に富をもたらす。

 戦争は、すぐに制御が効かなくなる。

 戦争は、始めるよりも終えるほうが難しい。

 戦争は、兵士だけでなく、老人や子どもにも災いをもたらす。

 戦争は、人々の四肢だけでなく、心の中にも深い傷を負わせる。

 精神は、操作の対象物ではない。

 生命は、誰かの持ち駒ではない。

 海は、基地に押しつぶされてはならない。

 空は、戦闘機の爆音に消されてはならない。

 血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、

 知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい。

 学問は、戦争の武器ではない。

 学問は、商売の道具ではない。

 学問は、権力の下僕ではない。

 生きる場所と考える自由を守り、創るために、

 私たちはまず、思い上がった権力にくさびを打ちこまなくてはならない。

(自由と平和のための京大有志の会「声明書」) (引用ここまで)

彼らのこころが伝わってきて、涙がでた。
こういう若者が育つ今の教育は、決して間違ってはいない。
教育現場を知らない門外漢が、「教育」をいじくり回さないで欲しい。
まして政権の教育への圧力は、日本を間違った方へ導いてしまうと、大いに危惧を抱きます。
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