今日のうた

思いつくままに書いています

夜と霧

2015-07-25 06:30:56 | ④映画、テレビ、ラジオ、動画
1955年公開のフランス映画、アラン・レネ監督の「夜と霧」を観る。
「夜と霧」とは、もともとはヒトラーによって出された命令の名称で、その目的は、
ユダヤ人を始め、ナチスに反対するあらゆる人間を、密かに夜間逮捕し、
強制収容所に送り込むことであった。
一夜で家族ぐるみ、まるで霧のように消え失せてしまったことから、この名前がつけられた。

ポーランドのアウシュヴィッツ強制収容所の、たった30分の映像である。
記録映画のモノクロ映像と、廃墟となって茫漠とした空間だけが支配する、
10年後のカラー映像。
アラン・レネは、死者の記念碑を建てることではなく、現在と未来を考えることを目的にした。

(人間の死体が、鶏よりも魚よりも材木よりも、荒荒しく扱われる。
 死体が人間であるという感覚が麻痺してくる)

ナチスの、カポも将校もいう。
「命令に従っただけ、責任はない」     

では誰が責任を。
今もカポが、将校が、密告者が、一緒にいる。

ここには、900万の霊がさまよう。
我々の中の誰が戦争を警戒し、知らせるのか、次の戦争を妨げるか。

次の言葉が重い。

  信じる人、あるいは信じない人
  廃墟の下に死んだ怪物を見つめる我々は
  遠ざかる映像の前で 希望が回復した振りをする
  ある国の ある時期における特別な話と言い聞かせ――
  消えやらぬ悲鳴に耳を貸さぬ 我々がいる




(画像はお借りしました)


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