3のつづき
(4)2014年1月――イスラム教スンニ派の過激派「イラク・シリアの
イスラム国(ISIS)」が、シリアから侵入してきてファルージャを掌握!
恐るべき武装勢力が台頭してきた。
ISISはアルカイダから排除されるほど過激で残忍な集団である。
3月――ISISがサマラを襲撃。
ISISはシーア派勢力の強いマリキ政権に反発するスンニ派の住民を味方につけ、
急激に勢力を拡大してきた。
厭戦(えんせん)気分の高まったアメリカの期待を担うオバマ大統領は、
2016年のアフガン撤退を視野に入れ、「イラク・アフガン戦争の完全終結を」を
目指していた。そのシナリオが狂い始めたのである。
6月――ISISは、モースル、ティクリート、タルアファル、西部カイムの
シリア国境検問所や北部アジールの油田など重要インフラを制圧。
首都バグダッドに迫り、政府軍と激戦になる。
ISISはシリア北部からイラク中部にまたがる「イスラム国」の樹立を宣言した!
オバマ大統領はイラク軍を支援するために1400人の兵力を駐留させたが、
11月にはさらに1500人の追加派遣を承認。
イラク軍の戦闘能力次第では、地上軍派遣もありうると米軍首脳は見ている。
一方、クルド自治政府の治安部隊は北部の油田地帯キルクークを制圧。
イラクはシーア派支配地域、スンニ派支配地域、クルド人支配地域の
3つに分裂する可能性が高くなっている。
イラク戦争開戦以来のイラク人の犠牲者は「控えめな推定」で50万人。
7割以上が民間人で、今も年間1万人の死者を出している。
イラクは圧倒的な男権を誇示する独裁者がいたから、国としてまとまりがあったんだ。
民主主義が万能の価値観だなんて、間違いだとしっかり学べ!
(5)防衛省は2007年11月13日、「テロ対策特措法」または「イラク特措法」に基づき
派遣された自衛隊員のうち、在職中に死亡した者が2007年末の段階で
35人いると発表した。
内訳は、
陸上自衛隊14人。うち自殺7人。病死1人。死因が事故、または不明6人。
海上自衛隊20人。うち自殺8人。病死6人。死因が事故、または不明6人。
航空自衛隊1人。うち自殺1人。
2014年4月16日の報道によると、イラク派遣から帰還した自衛隊員の自殺は
さらに増えて28人になっていた!
これは人口比で換算すると日本平均の18倍の自殺率である。
この自殺の多さは明らかに戦場でのストレスから、帰国後、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した結果だろう。
陸上自衛隊はサマワに行ったが、深夜、就寝中でも、ロケット弾が宿営地内に
着弾したことが13回計22発あった。
陸自は住民に概(おおむ)ね受け入れられたが、2006年6月の撤収決定時調査では、
「自衛隊は占領軍である」と言う住民も約12%はあった。
隊員が油断できない環境ではあっただろう。
海上自衛隊はテロ特措法でインド洋に行き、米軍などの艦船に洋上補給をしていたが、
アフガニスタンの作戦に対する支援だったのに、イラク向け作戦にも
転用された疑惑がある。
洋上での海賊やテロにも警戒が必要だろうし、酷暑も苛酷だっただろう。
航空自衛隊もイラクに行ったが、C-130輸送機による人道復興物資を
運ぶ任務だった。
輸送機は地上からのミサイル攻撃に狙われる恐れがあるので、ストレスは
大きかっただろう。
武装兵員を空輸した行動は憲法違反であるとする名古屋高裁の判決が出ている。
非戦闘地域に派遣するという当時の小泉政権の方針だったが、実態はそんなに甘くない。
平成26年7月1日、安倍政権によって集団的自衛権の行使容認が閣議決定された。
「日本が他国の戦争に巻き込まれることはない。
自衛隊が、かっての湾岸戦争やイラク戦争のような戦争に参加することはない」・・・
などと安倍首相は以前と何ひとつ変わらないかのような詭弁(きべん)を弄するが、
【法理上はそうではない】
個別的自衛権しかなかった時でさえ、特措法を作って占領地に行ったり、
憲法違反をしてまで米軍の後方支援をやってしまっている。
【集団的自衛権が行使できたら、もっと堂々と米軍と一体化できるだけだ】
そもそも集団的自衛権は自国が攻撃されてなくても、他国の軍隊を支援する
【権利】なのだから、他国の戦争に巻きこまれるのは当たり前である。
安倍首相が現時点で「戦争には巻き込まれない」といくら言っても、
日本は「人治主義」の国ではない。
【法治国家】である。
「法理上」の保証がなければ、首相の言葉など信じられるわけがない。
集団的自衛権が行使できるようになって、またアメリカからの強い要請があった場合、
【今度こそ断れまい】
Show the flag!
Boots on the ground!
今後はサマワでの自衛隊のように、他国の軍に守ってもらうことはない。
殺し殺される戦闘を初めて体験することになろう。
帰国したらPTSDになって自殺する者ももっと増えるだろう。
イラクへの自衛隊の派遣時には、防衛大学の退校者や、任官後の早期退職者が急増した。
ピーク時の2005年には入校者の38・4%が防大や自衛隊から消えている。
これからは自衛隊の応募者が減るかもしれない。
「恐米ポチ」は、日米同盟がに日本の命綱と思っていて、米軍と自衛隊を一体化させる。
日本をアメリカの属国にする。
「恐米ポチ」は、好戦国・アメリカとの同盟関係が、国連決議より重要だと
イラク戦争で主張した。侵略戦争を肯定することは絶対に許されない!
保守とは本来、歴史から学ぶことであり、歴史を無視する「設計主義」を否定する
態度のことである。 国の歴史・文化にふさわしい民主主義があるのであって、
国の数だけ民主主義はあると考えるべきである。
(2015年1月30日第1刷発行)
(こうしたアメリカに付いて地球の裏側まで行き、ともに闘うリスクは計り知れないものがある。
一度、踏み出してしまったら、もう取り返しがつかなくなるのだ。
安倍首相はその危険性を、どれだけ理解しているのだろうか。
私は安保法案に断固反対します!)
(4)2014年1月――イスラム教スンニ派の過激派「イラク・シリアの
イスラム国(ISIS)」が、シリアから侵入してきてファルージャを掌握!
恐るべき武装勢力が台頭してきた。
ISISはアルカイダから排除されるほど過激で残忍な集団である。
3月――ISISがサマラを襲撃。
ISISはシーア派勢力の強いマリキ政権に反発するスンニ派の住民を味方につけ、
急激に勢力を拡大してきた。
厭戦(えんせん)気分の高まったアメリカの期待を担うオバマ大統領は、
2016年のアフガン撤退を視野に入れ、「イラク・アフガン戦争の完全終結を」を
目指していた。そのシナリオが狂い始めたのである。
6月――ISISは、モースル、ティクリート、タルアファル、西部カイムの
シリア国境検問所や北部アジールの油田など重要インフラを制圧。
首都バグダッドに迫り、政府軍と激戦になる。
ISISはシリア北部からイラク中部にまたがる「イスラム国」の樹立を宣言した!
オバマ大統領はイラク軍を支援するために1400人の兵力を駐留させたが、
11月にはさらに1500人の追加派遣を承認。
イラク軍の戦闘能力次第では、地上軍派遣もありうると米軍首脳は見ている。
一方、クルド自治政府の治安部隊は北部の油田地帯キルクークを制圧。
イラクはシーア派支配地域、スンニ派支配地域、クルド人支配地域の
3つに分裂する可能性が高くなっている。
イラク戦争開戦以来のイラク人の犠牲者は「控えめな推定」で50万人。
7割以上が民間人で、今も年間1万人の死者を出している。
イラクは圧倒的な男権を誇示する独裁者がいたから、国としてまとまりがあったんだ。
民主主義が万能の価値観だなんて、間違いだとしっかり学べ!
(5)防衛省は2007年11月13日、「テロ対策特措法」または「イラク特措法」に基づき
派遣された自衛隊員のうち、在職中に死亡した者が2007年末の段階で
35人いると発表した。
内訳は、
陸上自衛隊14人。うち自殺7人。病死1人。死因が事故、または不明6人。
海上自衛隊20人。うち自殺8人。病死6人。死因が事故、または不明6人。
航空自衛隊1人。うち自殺1人。
2014年4月16日の報道によると、イラク派遣から帰還した自衛隊員の自殺は
さらに増えて28人になっていた!
これは人口比で換算すると日本平均の18倍の自殺率である。
この自殺の多さは明らかに戦場でのストレスから、帰国後、
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した結果だろう。
陸上自衛隊はサマワに行ったが、深夜、就寝中でも、ロケット弾が宿営地内に
着弾したことが13回計22発あった。
陸自は住民に概(おおむ)ね受け入れられたが、2006年6月の撤収決定時調査では、
「自衛隊は占領軍である」と言う住民も約12%はあった。
隊員が油断できない環境ではあっただろう。
海上自衛隊はテロ特措法でインド洋に行き、米軍などの艦船に洋上補給をしていたが、
アフガニスタンの作戦に対する支援だったのに、イラク向け作戦にも
転用された疑惑がある。
洋上での海賊やテロにも警戒が必要だろうし、酷暑も苛酷だっただろう。
航空自衛隊もイラクに行ったが、C-130輸送機による人道復興物資を
運ぶ任務だった。
輸送機は地上からのミサイル攻撃に狙われる恐れがあるので、ストレスは
大きかっただろう。
武装兵員を空輸した行動は憲法違反であるとする名古屋高裁の判決が出ている。
非戦闘地域に派遣するという当時の小泉政権の方針だったが、実態はそんなに甘くない。
平成26年7月1日、安倍政権によって集団的自衛権の行使容認が閣議決定された。
「日本が他国の戦争に巻き込まれることはない。
自衛隊が、かっての湾岸戦争やイラク戦争のような戦争に参加することはない」・・・
などと安倍首相は以前と何ひとつ変わらないかのような詭弁(きべん)を弄するが、
【法理上はそうではない】
個別的自衛権しかなかった時でさえ、特措法を作って占領地に行ったり、
憲法違反をしてまで米軍の後方支援をやってしまっている。
【集団的自衛権が行使できたら、もっと堂々と米軍と一体化できるだけだ】
そもそも集団的自衛権は自国が攻撃されてなくても、他国の軍隊を支援する
【権利】なのだから、他国の戦争に巻きこまれるのは当たり前である。
安倍首相が現時点で「戦争には巻き込まれない」といくら言っても、
日本は「人治主義」の国ではない。
【法治国家】である。
「法理上」の保証がなければ、首相の言葉など信じられるわけがない。
集団的自衛権が行使できるようになって、またアメリカからの強い要請があった場合、
【今度こそ断れまい】
Show the flag!
Boots on the ground!
今後はサマワでの自衛隊のように、他国の軍に守ってもらうことはない。
殺し殺される戦闘を初めて体験することになろう。
帰国したらPTSDになって自殺する者ももっと増えるだろう。
イラクへの自衛隊の派遣時には、防衛大学の退校者や、任官後の早期退職者が急増した。
ピーク時の2005年には入校者の38・4%が防大や自衛隊から消えている。
これからは自衛隊の応募者が減るかもしれない。
「恐米ポチ」は、日米同盟がに日本の命綱と思っていて、米軍と自衛隊を一体化させる。
日本をアメリカの属国にする。
「恐米ポチ」は、好戦国・アメリカとの同盟関係が、国連決議より重要だと
イラク戦争で主張した。侵略戦争を肯定することは絶対に許されない!
保守とは本来、歴史から学ぶことであり、歴史を無視する「設計主義」を否定する
態度のことである。 国の歴史・文化にふさわしい民主主義があるのであって、
国の数だけ民主主義はあると考えるべきである。
(2015年1月30日第1刷発行)
(こうしたアメリカに付いて地球の裏側まで行き、ともに闘うリスクは計り知れないものがある。
一度、踏み出してしまったら、もう取り返しがつかなくなるのだ。
安倍首相はその危険性を、どれだけ理解しているのだろうか。
私は安保法案に断固反対します!)