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アカウミガメ/2017(宮崎二ッ立海岸)


数十年前とまではいかないが、一ツ瀬川河口右岸(二ッ立海岸)にアカウミガメの上陸が続いている。

宮崎市の最北端になる一ツ瀬川から、市の中心部を流れる大淀川までの海岸を、最近は宮崎海岸と呼ぶようになった。しかし、地元には地元の名前がある。宮崎海岸は北から南へ、二ッ立海岸、大炊田海岸、石崎海岸(明神山海岸)、住吉海岸、阿波岐原海岸、一ツ葉海岸となる。二ッ立海岸から石崎海岸までは佐土原海岸だ。以前は「海岸」などと言わず、「浜」と言っていた。二ッ立海岸は「二ッ立ん浜(二ッ立の浜)」という具合だ。
二ッ立海岸の大部分は数十年前から直立護岸(垂直護岸)だ。その前には巨大なテトラポット(消波ブロック)が並んでいる。数年前までは、直立護岸に直接波がぶつかり、波しぶきが護岸の陸側まで打ち上がっていた。「護岸が倒れるのは時間の問題」と言う専門家さえいたが、どういう理由からか、ここ数年一ツ瀬川河口側(北側)から次第に砂が付き始めている。

ところで、忙しさ等もあり、昨年からアカウミガメの産卵観察会を止めにしているが、産卵シーズンになると気にはかかる。そのため、浜の状態を見ておきたいこともあり、時間をみつけて浜に出かけた。
今年の二ッ立海岸は、護岸の前、北半分ほどは産卵できるほど砂が付いている。アカウミガメは期待にたがわず、思ったよりたくさん上陸していた。この2、3日前に産卵したと思える個所も何カ所かあり、全部で15、6数カ所。(注/しっかり数えたわけではない)。しかし、南に行くほどテトラポットが目に入るようになり、何カ所かは、上陸したアカウミガメはその手前で引き返していた。
大炊田海岸は、現在、見た目は自然の浜に近い。一昨年より少し前は、養浜と巨大なサンドパックが埋められたばかりで、サンドパックが侵食でむき出しになり、近づく事もできないほど危険な状態だった。今年は、傾斜が少し人工的な感じはするが、そこにも2、3のアカウミガメが産卵していたが、やはり何かが違うのだろう。養浜部分は、よそから持ってきた土砂が固められている。砂ではなく土砂だ。その土砂が少しずつ波に洗われるという寸法のようだが、陸の松林に近づくほど地面は堅く、産卵には適さない。数年前の観察会では、松林のすぐ近くまで這い上がり、穴を掘り始めたが、堅くて掘れず、4カ所も産卵場所を替えたアカウミガメがいた。

宮崎海岸には、直立護岸、テトラポット、養浜、サンドパック、傾斜護岸、ヘッドランド、人工ビーチ、港湾施設と防波堤という様に人工構造物が見本市よろしく並んでいる。「侵食」と「浸食」は違う。人の行為が生んだ末の対症療法、今後の成り行きをアカウミガメと共に見守りたい。


護岸前の産卵(二ッ立海岸)


テトラポットで産めず(二ッ立海岸)


これもテトラポットで産めず(二ッ立海岸)


砂浜には巨大なサンドパックが埋まっている(大炊田海岸)


養浜の砂浜に産卵(大炊田海岸)
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