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家老屋敷跡から出土した佐土原人形


9月30日、「佐土原城が語る歴史とこれから」の記念講演に出かけた。佐土原城発掘調査報告に合わせた講演だ。主講演に先立ち、過去の城域での調査と家老屋敷跡の発掘調査の成果が報告された。次の日は佐土原城跡発掘調査現地説明会だった。主講演と現地説明会のことは後日書いてみたい。

この講演会の関連資料として、家老屋敷跡から出土した一部がロビーに展示してあった。その中には佐土原人形も、顔(首)のみだったが展示されていた。端正な顔立ちの人形だったが、私の関心を引いたのは、展示コーナーを示すパネルに写っていた2体の佐土原人形だった。出土した人形片を丹念につなぎ合わせて復元したものだ。写真の人形は、柔らかな流れを持つフォルム、「挿し手・挿し首」、底のないことなどからまぎれもなく佐土原人形である。江戸期末期のものと考えられるが、写真右側の人形は、担当者の説明では高さ約50cmほどの人形という。ただ正確ではない。歌舞伎人形のようだが、独特な髷のスタイルから類推すれば、仁木弾正( にっきだんじょう)人形とも考えられる。仁木弾正人形とすれば、歌舞伎事典によれば、「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」に登場する敵役で、妖術を使いお家乗っ取りを企む大悪人で、実悪の代表例のようだ。顔を白く塗り、燕手(えんで)と呼ばれる鬘をつけるのが特徴とある。相手役人形もあったはずだが、これは出土しなかったのだろう。
それにしても、想像力を刺激する新たな人形に出会い、佐土原人形への関心がさらに増してきた。人形名やつくられた年代が特定できるなら、創成期の佐土原人形のことが少し分かってくるかもしれない。
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