大正池と焼岳
もう旅行から帰って10日。雑用に追われる毎日。なので、やっと上高地編。上高地は、なんと55年ぶり。55年前は、富山県側から入り、剱岳周辺で約1週間。その後、立山、五色ヶ原、薬師岳、野口五郎岳、三俣蓮華岳、槍ヶ岳、奥穂高岳、吊り尾根、前穂高岳を経て明神岳から上高地へ降りた。今はもうそんなことはできない。だが、やはり山は呼んでいる。ということで、バスツアーで上高地を目指したというわけだ。
とはいえ、せっかくなので少しは歩きたかった。なので、大正池から河童橋まで歩くことにした。私のバスの大半は歩きを選択したが、ツアーによっては、数人しか歩かない場合もあるとのこと。バスを降りると、すぐに焼岳が見えた。今は、7合目付近まで緑に見えたが、55年前は、もっと下まですごく赤かった記憶がある。
大正池から梓川沿いは、カラマツ林を歩いたり、クマザサが生茂るところを歩いたり。途中、ハイカーや登山客とすれ違うことしばしば。時々クマベルを下げている人も。大きなクマベルがある所があった。今年は、全国的にクマ被害のニュースがとても多い。それ故か、その場所ではほとんどの人が紐をひっぱってベル鳴らしていた。当然、私も。
岩肌のウェストン碑
穂高の山々と河童橋
一息つく頃、車も通る田代橋に出た。そこから対岸へ渡り、歩を進めウェストン碑の場所へ。ウェストンは日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師だ。ウェストンのレリーフがはめ込まれた岩の前で、おばあちゃんが写真におさまっていた。90歳ほどに見えたが元気矍鑠。私も負けてはいられない。目指す河童橋はそこからすぐだ。対岸には紅葉前のカラマツ林。足下はエメラルドグリーンの流れ。どこまでも澄みきっていた。そういえば、上高地へのマイカー乗り入れは禁止されていた。途中からタクシーかバスにしなければならないのだ。理由は、「美しく自然豊かな上高地を維持していくため」という。どこでもこうありたいものだ・・・。
そうしているうちに、河童橋が見えた。5代目だという。だが、55年前とはえらい違い。観光客であふれていたのだ。ちょっと残念。でも私もその一人だ・・・。気を取り直して、人混みを離れて穂高の山々を見上げた。吊り尾根付近は、白い雲におおわれていたが、あそこを歩いて降りてきたのかと55年前を振り返った。
こうして目的だった上高地を終え、松本から諏訪湖をへて、蓼科の温泉ホテルへ着いた頃は、この日も暗くなっていた。