暮らす、生きる、繋がる、持続可能な未来

人も社会も、成長と負荷を切り離して、落としどころを考える。

2022(R4)年二級建築士試験問題解説③

2022-10-09 09:28:21 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇昨年度(2021年)問題の解説の時には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、今回は、まず解説をしていきます。
◇傾向分析については、年明けにリアル講座のオファーが来た時には、傾向分析を公表していきます。
◇オファーが無い場合には、今回の解説まででご容赦ください。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇財団のH.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
 もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
 2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

〔No. 6 〕 構造耐力上必要な軸組の長さを算定する図形問題です。
正答 1
 令46条4項の表1より、図形要素の軸組種類別の軸組倍率を求めます。
 軸組倍率:黒塗壁(木ずり両面)「1」
      白抜き壁(木ずり片面)「0.5」
      黒三角筋交い(4.5×9㎝たすき掛け)「4」
      白三角筋交い(4.5×9㎝)「2」
 表1の(9)項より、木ずり壁と筋交いの併用の場合は、それぞれの「和」とするとしている。
 桁行方向の構造耐力上必要な軸組の長さ:[(1+2)×2m×4ヶ所]+[0.5×2m×2ヶ所]=26m
 張間行方向の構造耐力上必要な軸組の長さ:(1+4)×2m×4ヶ所=40m
◇講評:H29年度問題の類似問題です。図形要素の組み合わせが少々異なりますが、ほとんど同じ問題です。図形要素の軸組倍率を足して要素別の壁倍率を求め、それに
  壁の長さをかけ、それが何か所あるかを加算して算出します。もともとこの種類の問題は、学生が易しいとしていた問題ですし、短時間で回答できたことと推察して
  います。

〔No. 7 〕 構造規定に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
 1. 正しい。法20条2項、令36条の4:エキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接する形の場合、それぞれ別の建築物とみなすと
  規定している(条文参照)。
 2. 正しい。法20条1項四号イ、令36条3項、令42条1項ただし書き三号:令42条において、原則、構造耐力上主要な部分である柱で最下階に使用するものの下部に
  は、土台を設けなければならないが、ただし書き三号で、土台を設けなくてもよい要件に、設問の記述がある(条文参照)。
 3.正しい。法20条1項四号イ、令36条3項、令46条3項:木造建築物の床組み、小屋ばり組みに関する規定で、条文通りの記述(条文参照)。
 4.正しい。法20条1項四号イ、令36条3項、令39条3項:屋根ふき材等の規定(条文参照)。
 5.誤り。法37条一号、法85条2項:原則、主要構造部等に使用する建築材料については、法37条一号において、日本産業規格等への適合が求められているが、法85条
  2項において、工事現場事務所等の仮設建築物に対しては、法37条の規定は、適用しないとしている。
◇講評:構造計算の有無にかかわらず、原則適用する、令36条から令80条の3(第7節の2)までに規定する、構造強度に関する技術的基準(通称:仕様規定)の記述の設問の正
 誤を問う問題ですが、正答の諮問5については、最近の傾向で、過去問で馴染みのない条文から出題されています。法37条の建築材料に品質規定は、一度、出題実績が
 ありますが、今回は法85条2項の現場の仮設事務所への規定適用の有無を問う問題として出題されています。他の分野の問題でも適用の有無を問う問題では、適用範囲
 の条文が列記されますので、その条文が何の条文であるかを理解するする必要があり、過去問を解く練習をしているか否かを問う問題と考えるのが妥当だと思っていま
 す。

〔No. 8 〕 構造強度に関して構造計算規定の誤っている記述を選択する問題です。
正答 4
 1.正しい。令87条3項:風圧力低減の規定(条文参照)。
 2.正しい。令86条6項:積雪荷重低減の規定(条文参照)。
 3.正しい。令93条表:地盤調査を行わない場合の地盤の許容応力度の規定(条文の政令の表を参照)。
 4.誤り。令84条表:設問の固定荷重は、当該部分の床面積に200kN/㎡(仕上げ厚さ1㎝ごとに、その㎝の数値を乗ずるものとする。)とする必要があり、150kN/㎡では
  適合しない(条文の政令の表を参照)。
 5.正しい。令82条二号表:多雪地域の場合、構造計算に用いる地震時(短期)の荷重は、0.35Sを加えた値とする(条文の政令の表を参照)。
◇講評:数値が絡む問題ですので、日ごろから、法令集のどこに記載があるかの認識が必要で、法令集を開く訓練ができているか否かを問う問題と考えるのが妥当だと思
 っています。勿論、数値を暗記することも方法論の一つですが、やはり、法令集と照合して確認する訓練が必要とする分野の問題だと思っています。特に、二級建築士
 の試験では、法令集で表に整理されている数値(許容値等)を問う問題が「王道」になっていることに注意です。

2022年10月9日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする