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2022(R4)年二級建築士試験問題解説①

2022-10-07 10:09:44 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇2021年度問題の解説乗り気には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、今回は、まず解説を優先していきます。
◇傾向分析については、年明けに、リアル講座のオファーが来た時には、解説を整理公表していきます。
◇オファーが無い場合には、今回の解説まででご容赦ください。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇H.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
 もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
 2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

〔No.1〕 建築面積を算出する図形問題です。
正答 2
 建築面積。令2条1項二号:地盤面上1m以下の部分を除く水平投影面積で、水平距離1m以下のはね出し部分を除く。
 ・地盤面上1.2mの地階部分:8×1=8㎡
 ・出幅が1.5mの左側の庇は算定部分が、1mを超える地階屋上部分に含まれ、庇は算定しない。
 ・右側の庇は、地盤面上1m以下の地階屋上部分にあるが、出幅が1m以内なので、庇は算定しない。
 ・1階、2階の事務室の建築面積:8×8=64㎡
 ∴建築面積:8+64=72㎡・・・「2」が正答
◇講評:建築面積だけ算出する問題で、回答時間の省エネ問題でしょうか?特段、難しい要素を含むわけでもなく、少々手間が省ける問題だったと思っています。受験生 
 へのコロナ対策としての忖度なのでしょうか?久々の面積計算の図形問題ですが、ちょっと、易しすぎる!

〔No. 2 〕 全国どの場所においても確認済証の交付を受ける必要がある建築物を選択する問題です。
正答 5
 1.不要。法88条、令138条1項五号:確認済証を必要とする擁壁の高さは、2mを超えるものであり、設問の2mの擁壁には、確認の必要はない。令138条の工作物
  の確認を必要とする境界線を問う問題です。
 2.不要。法6条1項一号、同三号:飲食店は、令115条の3第三号において、別表第1(4)項に類する、法2条二号に規定する特殊建築物であるが、確認申請を必要とす
  るのは、法6条1項一号において、床面積の合計が200㎡を超えるものを対象としており、また、同三号において、鉄骨造で平家建ての場合、200㎡を超えるものが確
  認申請を必要とする建築物としており、いずれにも該当しない。前肢問同様に、確認対象とする面積の境界線を問う問題です。
 3.不要:防火地域内、準防火地域内においては、法6条2項の除外規定には該当しないので、建築確認を必要とするが、それ以外の区域では、同項に該当し、建築確認
  を必要としないので、10㎡以内の増・改築・移転については、「全国どの場所においても」建築確認が必要というわけではない。本条項では、あくまで、防火地域
  内、準防火地域内は、10㎡以内の緩和を適用しないといっているのであって、全国どこでもといっている設問の表現に注意が必要。
 4.不要:法6条1項一号、同二号:旅館は、別表第1(2)項に該当し、法2条二号に規定する特殊建築物であるが、確認申請を必要とするのは、法6条1項一号において、
  床面積の合計が200㎡を超えるものを対象としており、また、同二号において、木造で2階建ての場合、500㎡を超えるもの、高さが13mを超えるものが確認申請を必
  要とする建築物としており、いずれにも該当しない。これも肢問1と2同様に、確認対象とする面積の境界線を問う問題です。
 5.確認済証が必要:法87条、法6条1項一号:事務所は、法2条二号に規定する特殊建築物ではなく、物品販売業を営む店舗が、令115条の3第三号において、別表第
  1(4)項に類する、法2条二号に規定する特殊建築物としており、200㎡を超えている。用途変更後に、法6条1項一号に該当する特殊建築物とする場合、法87条に基づ
  く、特殊建築物への用途変更の建築確認を必要とすると規定している。
  なお、用途変更は、法87条の規定で、法6条1項一号に該当する建築物の相互間の用途変更に関して、令137条の18において、確認を要しない類似用途を認めているこ
  とにも注意する必要がある。
◇講評:過去の出題傾向で一番多いのは、四号建築物なのに、そうではないと見せかける文言の出題が多いのですが、今年は、一号建築物の境界線を問う問題でした。今
 年は出題要素に含まれていませんでしたが、この手の問題で多いのが、類似用途を問う問題ですので、重要な事項として、令137条の18はしっかり理解しておく必要が
 あります。

〔No. 3 〕 検査規定を軸とした制度手続きに関する問題で、誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
 1. 正しい。法7条の3第1項一号、令11条、法7条の4:中間検査をする特定工程については、第1項一号において、設問のような規定(条文参照)としており、同二号
  において、特定行政庁が指定する工程としている。
 2.正しい。法87条1項:用途変更確認申請の場合、完了検査ではなく、建築主事への届け出制度となっている、したがって、完了検査ではないので、指定確認検査機
  関の業務としての規定はない。
 3.誤り。法7条2項:原則、4日以内に建築主事に到達するようにしなければならない。
 4.正しい。法15条:建築工事届(建築主から建築主事を経由し都道府県知事に届出)、及び建築物除去届(工事施工者から建築主事を経由し都道府県知事に届出)は、床
  面10㎡を対象として規定している。
 5.正しい。法7条の6第1項ただし書き二号:原則、設問のような、法6条1項一号から三号に該当する建築物については、検査済証交付前の使用制限をしているが、た
  だし書きで仮使用を認めており、一号で特定行政庁が認めた場合、二号で設問の記述にある、確認検査機関が認めた場合を規定している。
◇講評:このところ、検査規定の出題が少なかったせいか、法87条の用途変更の場合の措置を含めて、検査規定を出題していますが、相変わらず、出題率が高い「法15
 条」の規定を外していないところに注目しています。あと、法87条の用途変更の場合の検査に関しては、検査という業務をしないので、確認検査機関が関与しない、建
 築主事への届出制度になっていることへの注意が必要です。これは、二級だけでなく、木造、一級という、級種別に関係なく注意すべき条文です。

2022年10月7日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
コメント
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