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2022(R4)年一級建築士試験問題解説①

2022-10-24 10:04:52 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の一級建築士試験問題について、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇一級建築士の来年度(令和5年度)試験を受験される方のお役に立てればと思っております。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇H.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:一級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
 もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(建築法規だけです)。
 1k-2022-1st-gakka3.pdf (jaeic.or.jp)

〔No. 1 〕 図形問題で、延べ面積、高さ、階数の算定等に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 1
 1.誤り。令2条1項四号、法52条6項、令135条の16
   昇降機塔、地階防災センターは、法52条の控除対象となる床面積とはならず、エレベーターの昇降路部分の床面積は、法52条6項において控除対象と規定してお
  り、エレベーターの昇降路部分の床面積は、問題文で合計を40㎡としているので、(600×4+75+30)-40=2,465㎡が正しい。
  延べ面積を控除する規定は基本的には無く、木造建築士、二級建築士試験でも散見される出題部分です。ただ法52条(容積率算定)においては、容積率を算定する場合 
  の控除が認められており、本設問では、第6項における、昇降路の床面積について、容積率算定の床面積から控除できる規定としています。この第6項の規定の意図
  は、建築物のリノベーションで、バリアフリー化を図ろうとしたときに、建物の外付けでエレベーターを増床することにより、容積率違反でエレベーターが設置でき
  ないことを回避する意図のようで、建築物の用途を制限していません。高齢社会に向けてバリアフリー化促進を阻害しないように、建築物の用途に関係なく、容積率
  算定の基礎となる床面積の控除ができる規定となっています。一方、共用廊下等の床面積を容積率算定の面積から控除する規定は、共同住宅、老人ホーム等の用途に
  限定していることに注意が必要です。
 2.正しい。令2条2項、同1項六号:地盤面は周囲の地面と接する平均の高さなので、建築物の高さは、3×1/2+3×3+1.5+3=15mで正しい。
  なお高さが20m以下の場合、避雷設備設置義務はない(法33条)にも注意する。
 3.正しい。令1条二号、令2条1項八号:建築面積の1/8以下のものは、階数に算入しない。
  ・地階の定義(令1条二号):床面から地盤面までの高さが天井高の1/3以上のもの
   最下階の事務室は地階である⇒床面から地盤面までに高さ=1.5m≧天井高3m×1/3=1m
  ・昇降機塔(階数に算入しない)30㎡≦600×1/8=75㎡
 4.正しい。令2条1項八号:地階事務室、地階防災センターについては、地階部分の階数を2として算定する。

〔No. 2 〕 誤っている記述を選択する問題です。
正答 4
 1.正しい。法2条一号、同六号:屋根、壁等を有する土地に定着する工作物である建築物に附属する塀も建築物であり、道路中心線から3m以下の1階部分は、該当す 
  る。
 2.正しい。法2条四号、令19条2項五号:娯楽その他これらに類する目的のために継続して使用する室であり、法28条1項に基づき、令19条2項五号において採光を必
  要とする居室として定義されている。
 3.正しい。令126条の2第1項かっこ書き:防炎壁の定義(条文参照)。
 4.誤り。法2条五号、十五号:「大規模の模様替」とは、「主要構造部」の一種以上について行う過半の模様替をいい、屋外階段は「主要構造部」ではないので、
  「大規模の模様替」に該当しない。
   主要構造部の定義と、大規模修繕・大規模模様替の定義を複合させた設問は、木造建築士、二級建築士試験でも散見される、基礎的な問題です。読み込みの間違い
  をしないように注意したいところです。

2022年10月24日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
コメント
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