◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇昨年度(2021年)問題の解説の時には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、まず解説をしていきます。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇財団のH.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
〔No.21〕 建築士法上の誤っている記述を選択する問題です。
正答 2
1.正しい。建築士法20条1項(業務に必要な表示行為):条文参照。
2.誤り。建築士法3条1項:一号から四号のいずれにも該当しないので、二級建築士でも設計できる。
3.正しい。建築士法19条(設計変更):条文参照。
4.正しい。建築士法10条の2第2項(報告検査等):条文参照。
5.正しい。建築士法22条の2(定期講習)、同施行規則17条の36(受講期間):条文参照。
講評:近年の重点ポイントである、建築士法3条の一級建築士と二級建築士の境界線を問う問題です。第3条1項で一級建築士でなければできない範囲を規定しています
が、一号の特殊建築物の規制用途には、共同住宅は含まれていない。二号の木造の規模では、建築物の高さ13m、軒の高さ9mを超える規模のものを規制しており、三
号は木造以外の建築物の規制で、四号の場合は2階建て以上で、かつ1,000㎡を超える規模のものが規制対象なので、肢問2のものは、いずれにも該当しないので、二級
建築士でも設計できることになる。
〔No.22〕 建築士事務所に関する記述で誤っているものを選択する問題です。
正答 1
1.誤り。建築士法22条の3の3第1項、同4項、令7条:重要事項を記載した書面に変えて、電磁的方法の種類及び内容を示したうえで、電子情報処理組織を使用する方
法により提供することを、建築主の承諾を得た場合には、その方法により提供することができる。
2.正しい。建築士法23条1項、同2項、規則18条(登録の有効期間と更新):条文参照。
3.正しい。建築士法22条の6(設計等の業務に関する報告書):条文参照。
4.正しい。建築士法23条(登録):登録をして行う業務に含まれている(条文参照)。
5.正しい。建築士法24条の4第2項、規則21条5項(図書の保存):条文参照。
講評:デジタル化の流れを促進する意図を感じる部分の肢問を正答としてきています。原則、デジタル化の対応ついては、「任意」というのがありますので、その趣旨に
沿った条文を打ち出し、今後の啓発の意味を感じます。その他の正しい記述の肢問については、よく出題される見慣れた条項ではないかと思います。
〔No.23〕 建築関係法令に関して誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
1.正しい。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第17条1項:条文参照。
2.正しい。都市の低炭素化の促進に関する法律第9条1項:条文参照。
3.正しい。建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律第12条1項:原則、適合性判定を受ける義務があるが、この場合の特定建築行為とは、非住宅建築物で、
令4条において、規模300㎡以上のものを指している。なお、3年後の改正で、全ての建築物への適合性判定義務が控えていることにも留意する。(条文参照)。
4.正しい。建築物における衛生的環境の確保に関する法律第5条:条文参照。
5.誤り。長期優良住宅の普及の促進に関する法律第5条:認定を申請する先は「所管行政庁」であって、建築主事又は指定確認検査機関ではない。
講評:難しい部分を含むものはないので、法令集の目次を利用して検索し、条文との照合で回答可能と思います。注意点は、正答(誤っている部分)の記述で、主管する行
政庁がどこなのか、他の法令の過去問でも散見されますので、法手続きをする主管行政庁がどこなのかを、把握しておく必要があります。「建築主事とか指定確認検査
機関」は、建築基準法上の重要な機関であり、他の法令では、建築基準法と関連する条項以外では出てきません。それと、建築物省エネ法の、適合判定、及び届け出制
度の対象建築物について把握が重要です。ただ、3年後の改正を控えていますので、この設問は、今回限りかもしれません。
〔No.24〕 建築関係法令に関して誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
1.正しい。都市計画法53条1項ただし書き一号、同令37条:原則、許可を必要とする行為であるが、許可を必要としない軽易な行為が、ただし書き一号に基づき、令
37条に定められており、木造2階建て以下の改築又は移転については、都道府県知事等の許可を受けなくてもよい。
2.正しい。消防法9条の2第1項、同2項:政令5条の6において、設問の防災機器が定義され、政令5条の7において、条例の定める基準に従う旨が定義されている(条
文参照)。
3.誤り。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第2条十九号、令5条:特別特定建築物とは、主に障害者、高齢者等が利用する特定建築物として定義
され、具体には、政令5条に定められているが、「工場」は該当しない。
4.正しい。宅地建物取引業法第3条:条文参照。
5.正しい。建設業法3条3項:条文参照。
講評:肢問1の都計法53条、同令37条は、よく出る設問ですね。正答(肢問3の誤っている部分)の記述では、用語の定義を、しっかり把握することだと思います。
〔No.25〕 建築関係法令に関して誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
1.正しい。土地区画整理法第76条、第103条4項:許可を受ける「都道府県知事等」とは、市の区域内において個人施行者が施行する場合には、法76条かっこ書きに
おいて、市の長を「都道府県知事等」というとしており、第103条4項による換地処分について、その旨の公告のある日までの制限としての規定であり、設問は正しい
(条文参照)。
2.正しい。建築物の耐震改修の促進に関する法律第17条10項:条文参照。
3.誤り。宅地建物取引業法第2条二号:「業」として行うものを対象として規定しており、自ら所有する不動産の賃貸及び管理をする行為については、「業」に該当
しない。
4.正しい。消防法第8条の3第1項、同令4条の3第4項、別表第1(5)項イ:防火対象物(別表第1(5)項イで定義)である旅館で使用するカーテンは、防炎対象物品は、政令4
条の3第4項において、防炎性能の基準が定められている。
5.正しい。建設業法第22条3項、同令6条の3:共同住宅を新築する建設工事は、重要な建設工事として、あらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合の一括下請け
禁止規定の除外項目から除外されている(条文参照)。
講評:宅地建物取引業法に限らず、業法(建築士法等)は、報酬を得て業務をすることに関して規制する法律なので、自己所有のものには規制されていない。建築士法で
も、自己所有の自分の家については、原則、規制をかけることはしていないことに注意です。
2022年10月17日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇昨年度(2021年)問題の解説の時には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、まず解説をしていきます。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇財団のH.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
〔No.21〕 建築士法上の誤っている記述を選択する問題です。
正答 2
1.正しい。建築士法20条1項(業務に必要な表示行為):条文参照。
2.誤り。建築士法3条1項:一号から四号のいずれにも該当しないので、二級建築士でも設計できる。
3.正しい。建築士法19条(設計変更):条文参照。
4.正しい。建築士法10条の2第2項(報告検査等):条文参照。
5.正しい。建築士法22条の2(定期講習)、同施行規則17条の36(受講期間):条文参照。
講評:近年の重点ポイントである、建築士法3条の一級建築士と二級建築士の境界線を問う問題です。第3条1項で一級建築士でなければできない範囲を規定しています
が、一号の特殊建築物の規制用途には、共同住宅は含まれていない。二号の木造の規模では、建築物の高さ13m、軒の高さ9mを超える規模のものを規制しており、三
号は木造以外の建築物の規制で、四号の場合は2階建て以上で、かつ1,000㎡を超える規模のものが規制対象なので、肢問2のものは、いずれにも該当しないので、二級
建築士でも設計できることになる。
〔No.22〕 建築士事務所に関する記述で誤っているものを選択する問題です。
正答 1
1.誤り。建築士法22条の3の3第1項、同4項、令7条:重要事項を記載した書面に変えて、電磁的方法の種類及び内容を示したうえで、電子情報処理組織を使用する方
法により提供することを、建築主の承諾を得た場合には、その方法により提供することができる。
2.正しい。建築士法23条1項、同2項、規則18条(登録の有効期間と更新):条文参照。
3.正しい。建築士法22条の6(設計等の業務に関する報告書):条文参照。
4.正しい。建築士法23条(登録):登録をして行う業務に含まれている(条文参照)。
5.正しい。建築士法24条の4第2項、規則21条5項(図書の保存):条文参照。
講評:デジタル化の流れを促進する意図を感じる部分の肢問を正答としてきています。原則、デジタル化の対応ついては、「任意」というのがありますので、その趣旨に
沿った条文を打ち出し、今後の啓発の意味を感じます。その他の正しい記述の肢問については、よく出題される見慣れた条項ではないかと思います。
〔No.23〕 建築関係法令に関して誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
1.正しい。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第17条1項:条文参照。
2.正しい。都市の低炭素化の促進に関する法律第9条1項:条文参照。
3.正しい。建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律第12条1項:原則、適合性判定を受ける義務があるが、この場合の特定建築行為とは、非住宅建築物で、
令4条において、規模300㎡以上のものを指している。なお、3年後の改正で、全ての建築物への適合性判定義務が控えていることにも留意する。(条文参照)。
4.正しい。建築物における衛生的環境の確保に関する法律第5条:条文参照。
5.誤り。長期優良住宅の普及の促進に関する法律第5条:認定を申請する先は「所管行政庁」であって、建築主事又は指定確認検査機関ではない。
講評:難しい部分を含むものはないので、法令集の目次を利用して検索し、条文との照合で回答可能と思います。注意点は、正答(誤っている部分)の記述で、主管する行
政庁がどこなのか、他の法令の過去問でも散見されますので、法手続きをする主管行政庁がどこなのかを、把握しておく必要があります。「建築主事とか指定確認検査
機関」は、建築基準法上の重要な機関であり、他の法令では、建築基準法と関連する条項以外では出てきません。それと、建築物省エネ法の、適合判定、及び届け出制
度の対象建築物について把握が重要です。ただ、3年後の改正を控えていますので、この設問は、今回限りかもしれません。
〔No.24〕 建築関係法令に関して誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
1.正しい。都市計画法53条1項ただし書き一号、同令37条:原則、許可を必要とする行為であるが、許可を必要としない軽易な行為が、ただし書き一号に基づき、令
37条に定められており、木造2階建て以下の改築又は移転については、都道府県知事等の許可を受けなくてもよい。
2.正しい。消防法9条の2第1項、同2項:政令5条の6において、設問の防災機器が定義され、政令5条の7において、条例の定める基準に従う旨が定義されている(条
文参照)。
3.誤り。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第2条十九号、令5条:特別特定建築物とは、主に障害者、高齢者等が利用する特定建築物として定義
され、具体には、政令5条に定められているが、「工場」は該当しない。
4.正しい。宅地建物取引業法第3条:条文参照。
5.正しい。建設業法3条3項:条文参照。
講評:肢問1の都計法53条、同令37条は、よく出る設問ですね。正答(肢問3の誤っている部分)の記述では、用語の定義を、しっかり把握することだと思います。
〔No.25〕 建築関係法令に関して誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
1.正しい。土地区画整理法第76条、第103条4項:許可を受ける「都道府県知事等」とは、市の区域内において個人施行者が施行する場合には、法76条かっこ書きに
おいて、市の長を「都道府県知事等」というとしており、第103条4項による換地処分について、その旨の公告のある日までの制限としての規定であり、設問は正しい
(条文参照)。
2.正しい。建築物の耐震改修の促進に関する法律第17条10項:条文参照。
3.誤り。宅地建物取引業法第2条二号:「業」として行うものを対象として規定しており、自ら所有する不動産の賃貸及び管理をする行為については、「業」に該当
しない。
4.正しい。消防法第8条の3第1項、同令4条の3第4項、別表第1(5)項イ:防火対象物(別表第1(5)項イで定義)である旅館で使用するカーテンは、防炎対象物品は、政令4
条の3第4項において、防炎性能の基準が定められている。
5.正しい。建設業法第22条3項、同令6条の3:共同住宅を新築する建設工事は、重要な建設工事として、あらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合の一括下請け
禁止規定の除外項目から除外されている(条文参照)。
講評:宅地建物取引業法に限らず、業法(建築士法等)は、報酬を得て業務をすることに関して規制する法律なので、自己所有のものには規制されていない。建築士法で
も、自己所有の自分の家については、原則、規制をかけることはしていないことに注意です。
2022年10月17日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士