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2022(R4)年二級建築士試験問題解説⑤

2022-10-14 10:43:35 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇昨年度(2021年)問題の解説の時には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、まず解説をしていきます。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇財団のH.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
 もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
 2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

〔No.12〕 都市計画区域内における道路等に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
 1.正しい。法43条1項一号:敷地は、道路に2m以上接しなければならず、自動車専用道路は、その対象道路として除かれている。
 2.正しい。法43条2項一号、規則10条の3第1項一号、同3項:原則、建築基準法上の道路として認められていない農道に対して、幅員4m、農道等の公共の用に供す
  る、200㎡以内の一戸建て住宅等の認定条件を満たすものに認められている。
 3.誤り。法85条:仮設建築物に対する制限の緩和規定で、防火地域外という条件付きだが、災害があった場合の非常災害区域等において、国、地方公共団体等が建築
  するものは、災害が発生した日から1月以内にその工事に着手する応急仮設建築物について、建築基準法の規定は適用しないとしているので、2mの接道義務はない。
 4.正しい。法42条1項二号、法44条1項一号:土地区画整理法による幅員8mの道路は、建築基準法上の道路であり、法44条1項の道路内の建築制限の規定で、同一号
  において規制から除外されているので、特定行政庁の許可を受けることなく建築することができる。
 5.正しい。法44条1項二号:建築審査会の同意を得て許可した場合に、道路内に建築することができる。
講評:法43条2項において、原則、道路として認めていない「農道等」の接道を認める認定制度を問う問題が挿入されています。規則10条の3を参照する必要があるの
 で、注意です。
  また、法85条の仮設建築物に関する設問が、No.7の構造規定の正答の肢問として出題され、本問でも正答の肢問として出題されていますし、本年の一級建築士試験問
 題では、法85条に関する問題「NO.8」において仮設建築物への対応を問う問題(4肢問の全部)となっています。過去問でも、よく見かける条項ですので、今後、仮設建
 築物に限った話ではないのですが、建築基準法の基準に関する適用の有無を問う問題が増えるのではないかとの懸念がありますので、注意が必要だと思っています。

〔No.13〕 新築することができる建築物を選択する問題です。
正答 4
 1.新築できない。法48条1項、別表第2(い)項九号、令130条の4第二号:延べ面積600㎡以内のものは、建築できるが、700㎡のものは、建築してはならない。
 2.新築できない。法48条2項、別表第2(ろ)項、同(は)項五号かっこ書き、令130条の5の3第三号:第二種低層住居専用地域内において、建築できるものに該当しない
  ので、建築してはならない。なお、第一種中高層住居専用地域内において、2階建て床面積の合計が500㎡以内であれば、建築できる。
 3.新築できない。法48条3項、別表第2(は)項、同(に)項四号:第一種中高層住居専用地域内において建築できるものに該当しないので、建築してはならない。なお、
  第二種中高層住居専用地域内においても、別表第2(に)項四号に該当し、建築してはならない建築物となり、第一種住居地域内であれば、建築できる。
 4.新築できる。法48条12項、別表第2(を)項七号、令130条の8の2第一号:工業地域内においては、床面積1万㎡を超えるものは建築できないとしており、設問の食堂
  兼用住宅は、建築できる。
 5.新築できない。法48条13項、別表第2(わ)項七号、令130条の6の2:バッティング練習場は、建築してはならない運動施設に該当し、建築してはならない。
講評:政令との参照で、特段難しい部分は含んでいないと思います。床面積と用途に関して、政令との参照で解答してゆくことを、こまめにすることが解決策であると思っています。

〔No.14〕図形問題で、新築してはならない建築物を選択する問題です。
正答 5
 法91条:過半の敷地の用途地域規制による。
 準住居地域の敷地面積:20×20=400㎡
 第一種住居地域の敷地面積:20×10=200㎡
 従って、法48条7項、別表第2(と)項の準住居地域の用途規制を受ける。
 1.新築できる。別表第2(と)項の建築できない用途の建築物には、該当しない。
 2.新築できる。別表第2(と)項の建築できない用途の建築物には、該当しない。なお、(へ)項五号に該当するので、第二種住居地域内においては、建築できないことに
 なる。
 3.新築できる。別表第2(と)項の建築できない用途の建築物には、該当しない。なお、別表第2(い)項、同(ろ)項には該当せず、第一種低層住居専用地域内、第二種低層
  住居専用地域内では建築できない。また、(を)項六号、(わ)項一号に該当するので、工業地域内、工業専用地域内においても建築できない。
 4.新築できる。別表第2(と)項の建築できない用途の建築物には、該当しない。なお、(い)項(ろ)項(は)項には該当せず、これらの用途地域では建築できない。また、第
  二種中高層住居専用地域内においても、別表第2(に)項四号に該当し、建築してはならない建築物となり、第一種住居地域内であれば、建築できる。かつ、(を)項二
  号、(わ)項一号に該当するので、工業地域内、工業専用地域内においても建築できないことになる。
 5.新築できない。別表第2(と)項五号:客席の床面積が200㎡以上のものは、建築できないとしており、設問のものは、建築できない。
講評:二級建築士試験の特有の問題なのか、同様の図形問題が、毎年出題されています。一番のポイントは、法91条に規定する「過半の敷地の用途地域規制による」という条件で選択することです。その時に、敷地面積の計算を間違えないようにすることではないでしょうか。

2022年10月14日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
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2022(R4)年二級建築士試験問題解説④

2022-10-10 09:06:41 | ビジネス・教育学習
〔No. 9 〕 防火区画、防火壁、間仕切壁に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
 1.正しい。法36条、令112条11項ただし書き二号:原則、主要構造部を準耐火構造とした3階建ての建築物(3階部分に居室を有するもの)においては、竪穴区画を必
  要とするが、ただし書き二号において、階数が3以下、延べ面積200㎡以内の住宅(共同住宅の住戸を含む)の場合、適用が除外されている。
 2.正しい。法36条、令112条20項:防火区画を貫通する配管等の防火措置の規定(条文参照)。
 3.正しい。法36条、令112条20項、令114条5項:配電管が防火壁を貫通する場合には、令112条20項の規定を準用するとしている(条文参照)。
 4.正しい。法36条、令112条16項:令112条11項に規定する防火区画を構成する床、壁、防火設備に接する外壁の防火規制に関する規定(条文参照)。
 5.誤り。法36条、令114条2項、令112条4項一号:天井の全部を強化天井(令112条4項一号)とした場合には、間仕切り壁を小屋裏又は天井裏に達せしめる必要はない。
  ただし、自動スプリンクラーを設置した場合を除き、間仕切り壁は、準耐火構造としなければならないことへの注意が必要。
講評:正しい記述で、防火区画(令112条)の規定を列記し、誤っている記述で、防火間仕切りの規定(令114条)を持ってきています。内容的には、過去問でもよく出てきま
 すし、法令集参照ですぐに理解できたと思っています。注意点は、令114条の適用に関して、強化天井の場合は、小屋浦天井裏までの措置を要求しておらず、加えて、 
 自動スプリンクラー設置の場合は、間仕切り壁自体に準耐火構造を要求していないことだと思います。本問では、この部分への追及はないですが、今後の注意事項とし
 ていただければと思います。

〔No.10〕 避難施設等に関するに関する、誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
 1.正しい。令117条、令118条:別表第1に掲げる特殊建築物であり、第2節の規定は適用され、設問は正しい(条文参照)。
 2.正しい。令117条、令126条の5第一号ハ:別表第1に掲げる特殊建築物であり、非常用の照明設置規定が適用になる(条文参照)。
 3.誤り。令117条、令120条1項表:特殊建築物ではないが、令116条の2第1項第一号の規定に該当する「窓その他の開口部を有しない居室」を有するので、表(1)に記
  載がある、歩行距離の規定が適用になる。
 4.正しい。令117条、令126条1項:特殊建築物ではないが、令116条の2第1項第一号の規定に該当する「窓その他の開口部を有しない居室」を有するので、屋上広場
  等の規定が適用になる(条文参照)。
 5.正しい。令117条、令119条表:特殊建築物ではないが、令116条の2第1項第一号の規定に該当する「窓その他の開口部を有しない居室」を有するので、原則、令
  119条の規定は適用されるが、床面積が200㎡を超える階への適用であり、設問の住宅は、適用範囲外である(条文の表を参照)。
講評:過去、二級建築士試験で、無窓居室が絡む問題は、正答として出題された記憶がありません。特に難しいわけではありませんが、過去問を演習してきて、割と無視 
 しがちな部分だと思いますので、頭を抱えてしまった受験生も、中にはいたのではないかと思います。でも、落ち着いて考えれば特に難しいわけでもなく、無窓居室
 と判断した場合には、法規制の適用の有無について注意する必要があります。

〔No.11〕 内装の制限に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
 1.正しい。法35条の2、別表第1(3)項、令128条の4第1項、同第2項、同3項かっこ書き:中学校は、特殊建築物としても、一般建築物としても、いずれの場合にも、
  内装制限の対象建築物ではない。
 2.正しい。法35条の2、令128条の5第6項、同1項二号イ:内装の制限を受ける調理室等には、準不燃材以上の性能を要求している(条文参照)。
 3.誤り。法35条の2、別表第1(6)項、令128条の4第1項二号:自動車車庫は、用途上、別表第1(6)項に規定する特殊建築物として、面積に関係なく、令128条の4第1項
  二号に規定する内装制限の対象である。
 4.正しい。法35条の2、令128条の5第1項かっこ書き:天井の回り縁、窓台等は、内装制限の対象外である(条文参照)。
 5.正しい。法35条の2、令128条の5第1項:内装制限の対象となる居室の部分は、壁、天井であり、床は対象外である(条文参照)。
講評:内装制限と、制限が適用になった場合の適用部分の仕様を問う問題が列記されています。特に、駐車場が、面積に関係なく内装制限対象であるという肢問は、出題
 率の高い問題ですので、ある意味で、易しかったのではないでしょうか?

2022年10月10日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
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2022(R4)年二級建築士試験問題解説③

2022-10-09 09:28:21 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇昨年度(2021年)問題の解説の時には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、今回は、まず解説をしていきます。
◇傾向分析については、年明けにリアル講座のオファーが来た時には、傾向分析を公表していきます。
◇オファーが無い場合には、今回の解説まででご容赦ください。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇財団のH.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
 もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
 2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

〔No. 6 〕 構造耐力上必要な軸組の長さを算定する図形問題です。
正答 1
 令46条4項の表1より、図形要素の軸組種類別の軸組倍率を求めます。
 軸組倍率:黒塗壁(木ずり両面)「1」
      白抜き壁(木ずり片面)「0.5」
      黒三角筋交い(4.5×9㎝たすき掛け)「4」
      白三角筋交い(4.5×9㎝)「2」
 表1の(9)項より、木ずり壁と筋交いの併用の場合は、それぞれの「和」とするとしている。
 桁行方向の構造耐力上必要な軸組の長さ:[(1+2)×2m×4ヶ所]+[0.5×2m×2ヶ所]=26m
 張間行方向の構造耐力上必要な軸組の長さ:(1+4)×2m×4ヶ所=40m
◇講評:H29年度問題の類似問題です。図形要素の組み合わせが少々異なりますが、ほとんど同じ問題です。図形要素の軸組倍率を足して要素別の壁倍率を求め、それに
  壁の長さをかけ、それが何か所あるかを加算して算出します。もともとこの種類の問題は、学生が易しいとしていた問題ですし、短時間で回答できたことと推察して
  います。

〔No. 7 〕 構造規定に関する誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
 1. 正しい。法20条2項、令36条の4:エキスパンションジョイントその他の相互に応力を伝えない構造方法のみで接する形の場合、それぞれ別の建築物とみなすと
  規定している(条文参照)。
 2. 正しい。法20条1項四号イ、令36条3項、令42条1項ただし書き三号:令42条において、原則、構造耐力上主要な部分である柱で最下階に使用するものの下部に
  は、土台を設けなければならないが、ただし書き三号で、土台を設けなくてもよい要件に、設問の記述がある(条文参照)。
 3.正しい。法20条1項四号イ、令36条3項、令46条3項:木造建築物の床組み、小屋ばり組みに関する規定で、条文通りの記述(条文参照)。
 4.正しい。法20条1項四号イ、令36条3項、令39条3項:屋根ふき材等の規定(条文参照)。
 5.誤り。法37条一号、法85条2項:原則、主要構造部等に使用する建築材料については、法37条一号において、日本産業規格等への適合が求められているが、法85条
  2項において、工事現場事務所等の仮設建築物に対しては、法37条の規定は、適用しないとしている。
◇講評:構造計算の有無にかかわらず、原則適用する、令36条から令80条の3(第7節の2)までに規定する、構造強度に関する技術的基準(通称:仕様規定)の記述の設問の正
 誤を問う問題ですが、正答の諮問5については、最近の傾向で、過去問で馴染みのない条文から出題されています。法37条の建築材料に品質規定は、一度、出題実績が
 ありますが、今回は法85条2項の現場の仮設事務所への規定適用の有無を問う問題として出題されています。他の分野の問題でも適用の有無を問う問題では、適用範囲
 の条文が列記されますので、その条文が何の条文であるかを理解するする必要があり、過去問を解く練習をしているか否かを問う問題と考えるのが妥当だと思っていま
 す。

〔No. 8 〕 構造強度に関して構造計算規定の誤っている記述を選択する問題です。
正答 4
 1.正しい。令87条3項:風圧力低減の規定(条文参照)。
 2.正しい。令86条6項:積雪荷重低減の規定(条文参照)。
 3.正しい。令93条表:地盤調査を行わない場合の地盤の許容応力度の規定(条文の政令の表を参照)。
 4.誤り。令84条表:設問の固定荷重は、当該部分の床面積に200kN/㎡(仕上げ厚さ1㎝ごとに、その㎝の数値を乗ずるものとする。)とする必要があり、150kN/㎡では
  適合しない(条文の政令の表を参照)。
 5.正しい。令82条二号表:多雪地域の場合、構造計算に用いる地震時(短期)の荷重は、0.35Sを加えた値とする(条文の政令の表を参照)。
◇講評:数値が絡む問題ですので、日ごろから、法令集のどこに記載があるかの認識が必要で、法令集を開く訓練ができているか否かを問う問題と考えるのが妥当だと思
 っています。勿論、数値を暗記することも方法論の一つですが、やはり、法令集と照合して確認する訓練が必要とする分野の問題だと思っています。特に、二級建築士
 の試験では、法令集で表に整理されている数値(許容値等)を問う問題が「王道」になっていることに注意です。

2022年10月9日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
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2022(R4)年二級建築士試験問題解説②

2022-10-08 08:48:35 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇昨年度(2021年)問題の解説の時には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、今回は、まず解説をしていきます。
◇傾向分析については、年明けにリアル講座のオファーが来た時には、傾向分析を公表していきます。
◇オファーが無い場合には、今回の解説まででご容赦ください。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇財団のH.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
 もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
 2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

〔No. 4 〕 採光、換気、天井高等の一般構造に関して、誤っている記述を選択する問題です。
正答 2
 1. 適合する。法19条1項ただし書き。原則、敷地は道の境界より高くする必要があるが、敷地内の排水に支障がない場合等、ただし書きに記述されている条件の場
  合、この限りではないとしている。
 2.適合しない。法28条1項、令20条2項:法28条に基づき、令20条において、有効採光面積の計算方法の記述があり、公園に面するものについては、算定するに当た
  り、その公園の反対側の境界線までに1/2だけ外側にあるとするとしており、その公園の反対側の境界線を隣地境界線として算定するのは、基準に適合しない。
 3.適合する。法28条の2第三号、令20条の8第1項一号イ(1):有効換気量は20㎥/h で適合する。
  必要有効換気量(Vr)=nAh
  n:居室の換気定数=住宅0.5、それ以外の居室0.3
  A:居室の床面積=16㎡
  h:居室の天井高さ=2.5m
  ∴0.5×16×2.5=20㎥・・・適合
4.適合する。法36条、令23条1項ただし書き、同2項3項:戸建て住宅の階段踏面は、15㎝でよく、回り階段の場合、踏面の狭い方の端から30cmの位置におけるものと 
 している。
5.適合する。法36条、令24条:踊り場を必要とするものは、令23条表(1)と(2)に該当するもの以外は、高さが3mを超えるものが対象であり、設問の高さ3mの階段に、
 踊り場の規定(令24条)の適用はない。
◇講評:「木造2階建て、延べ面積100㎡の一戸建て住宅」という条件を付けていますが、階段形状で、令23条の表(4)に該当させる為の条件設定のようです。今回の問題
 には含まれていませんが、令20条の3の機械換気を免除する設問が出た場合には、過去の出題確率も高いので、注意が必要です。正答となった肢問2の採光計算に関する 
 設問は、採光計算の図形問題の過去問をしっかり把握できていれば、簡単な問題であったと思います。

〔No. 5 〕居室の天井の高さを求める図形問題です。
正答 4
 欠損部分が無いとした場合の全体の容積:10×6×3=180㎥
 欠損(勾配天井の三角柱部分の断面積)4×1÷2=2㎡
 欠損(勾配天井)部分の容積:2×6=12㎥
 全体の容積:180-12=168㎥
 建築基準法上の天井高さ:168÷(10×6)=2.8 m ∴「4」
◇講評:H30年度の問題と、数値を変えただけの類似問題です。過去問をしっかり把握できている人には、簡単な問題だったと思います。居室の天井高を求める図形問題
 では、本問のように、出題図形の容積を求めて、床面積で除して求める問題では、個々にパーツに分解して容積を合算して求めていいし、解説したように、全体の容積
 から、欠損部分の容積を除して求めるやり方をしてもいいし、算数の世界ですので、自分のやりやすい方法で計算すればいいと思います。

2022年10月8日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
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2022(R4)年二級建築士試験問題解説①

2022-10-07 10:09:44 | ビジネス・教育学習
◇2022年(R4年)の建築士試験について、木造建築士に引き続き、二級建築士試験問題についても、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇二級建築士の来年(2023)年度)試験を受験される方に、少しでもお役に立てればと願っております。
◇2021年度問題の解説乗り気には、傾向分析を表にまとめながら進めてしていきましたが、今回は、まず解説を優先していきます。
◇傾向分析については、年明けに、リアル講座のオファーが来た時には、解説を整理公表していきます。
◇オファーが無い場合には、今回の解説まででご容赦ください。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇H.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:二級建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
 の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
 もし開けられない場合は、問題文データの下記アドレスからアクセスしてください(学科Ⅰ・Ⅱだけです)。
 2k-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

〔No.1〕 建築面積を算出する図形問題です。
正答 2
 建築面積。令2条1項二号:地盤面上1m以下の部分を除く水平投影面積で、水平距離1m以下のはね出し部分を除く。
 ・地盤面上1.2mの地階部分:8×1=8㎡
 ・出幅が1.5mの左側の庇は算定部分が、1mを超える地階屋上部分に含まれ、庇は算定しない。
 ・右側の庇は、地盤面上1m以下の地階屋上部分にあるが、出幅が1m以内なので、庇は算定しない。
 ・1階、2階の事務室の建築面積:8×8=64㎡
 ∴建築面積:8+64=72㎡・・・「2」が正答
◇講評:建築面積だけ算出する問題で、回答時間の省エネ問題でしょうか?特段、難しい要素を含むわけでもなく、少々手間が省ける問題だったと思っています。受験生 
 へのコロナ対策としての忖度なのでしょうか?久々の面積計算の図形問題ですが、ちょっと、易しすぎる!

〔No. 2 〕 全国どの場所においても確認済証の交付を受ける必要がある建築物を選択する問題です。
正答 5
 1.不要。法88条、令138条1項五号:確認済証を必要とする擁壁の高さは、2mを超えるものであり、設問の2mの擁壁には、確認の必要はない。令138条の工作物
  の確認を必要とする境界線を問う問題です。
 2.不要。法6条1項一号、同三号:飲食店は、令115条の3第三号において、別表第1(4)項に類する、法2条二号に規定する特殊建築物であるが、確認申請を必要とす
  るのは、法6条1項一号において、床面積の合計が200㎡を超えるものを対象としており、また、同三号において、鉄骨造で平家建ての場合、200㎡を超えるものが確
  認申請を必要とする建築物としており、いずれにも該当しない。前肢問同様に、確認対象とする面積の境界線を問う問題です。
 3.不要:防火地域内、準防火地域内においては、法6条2項の除外規定には該当しないので、建築確認を必要とするが、それ以外の区域では、同項に該当し、建築確認
  を必要としないので、10㎡以内の増・改築・移転については、「全国どの場所においても」建築確認が必要というわけではない。本条項では、あくまで、防火地域
  内、準防火地域内は、10㎡以内の緩和を適用しないといっているのであって、全国どこでもといっている設問の表現に注意が必要。
 4.不要:法6条1項一号、同二号:旅館は、別表第1(2)項に該当し、法2条二号に規定する特殊建築物であるが、確認申請を必要とするのは、法6条1項一号において、
  床面積の合計が200㎡を超えるものを対象としており、また、同二号において、木造で2階建ての場合、500㎡を超えるもの、高さが13mを超えるものが確認申請を必
  要とする建築物としており、いずれにも該当しない。これも肢問1と2同様に、確認対象とする面積の境界線を問う問題です。
 5.確認済証が必要:法87条、法6条1項一号:事務所は、法2条二号に規定する特殊建築物ではなく、物品販売業を営む店舗が、令115条の3第三号において、別表第
  1(4)項に類する、法2条二号に規定する特殊建築物としており、200㎡を超えている。用途変更後に、法6条1項一号に該当する特殊建築物とする場合、法87条に基づ
  く、特殊建築物への用途変更の建築確認を必要とすると規定している。
  なお、用途変更は、法87条の規定で、法6条1項一号に該当する建築物の相互間の用途変更に関して、令137条の18において、確認を要しない類似用途を認めているこ
  とにも注意する必要がある。
◇講評:過去の出題傾向で一番多いのは、四号建築物なのに、そうではないと見せかける文言の出題が多いのですが、今年は、一号建築物の境界線を問う問題でした。今
 年は出題要素に含まれていませんでしたが、この手の問題で多いのが、類似用途を問う問題ですので、重要な事項として、令137条の18はしっかり理解しておく必要が
 あります。

〔No. 3 〕 検査規定を軸とした制度手続きに関する問題で、誤っている記述を選択する問題です。
正答 3
 1. 正しい。法7条の3第1項一号、令11条、法7条の4:中間検査をする特定工程については、第1項一号において、設問のような規定(条文参照)としており、同二号
  において、特定行政庁が指定する工程としている。
 2.正しい。法87条1項:用途変更確認申請の場合、完了検査ではなく、建築主事への届け出制度となっている、したがって、完了検査ではないので、指定確認検査機
  関の業務としての規定はない。
 3.誤り。法7条2項:原則、4日以内に建築主事に到達するようにしなければならない。
 4.正しい。法15条:建築工事届(建築主から建築主事を経由し都道府県知事に届出)、及び建築物除去届(工事施工者から建築主事を経由し都道府県知事に届出)は、床
  面10㎡を対象として規定している。
 5.正しい。法7条の6第1項ただし書き二号:原則、設問のような、法6条1項一号から三号に該当する建築物については、検査済証交付前の使用制限をしているが、た
  だし書きで仮使用を認めており、一号で特定行政庁が認めた場合、二号で設問の記述にある、確認検査機関が認めた場合を規定している。
◇講評:このところ、検査規定の出題が少なかったせいか、法87条の用途変更の場合の措置を含めて、検査規定を出題していますが、相変わらず、出題率が高い「法15
 条」の規定を外していないところに注目しています。あと、法87条の用途変更の場合の検査に関しては、検査という業務をしないので、確認検査機関が関与しない、建
 築主事への届出制度になっていることへの注意が必要です。これは、二級だけでなく、木造、一級という、級種別に関係なく注意すべき条文です。

2022年10月7日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
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