裏庭でのんびりとしていると、ご主人様が何かを作り出した。
どうやらベーコンを作るようだ。
空いた一斗缶を利用して手作りのスモーカーを作っている。
その中に数日前から仕込んでおいた豚ばら肉を吊るした。
ついでにチーズも吊るしてある。
豚ばらの仕込みはどうやったかって?
まずは肉にフォークをブツブツと刺し、塩がなじみやすいようにする。
そこに粗塩を擦りこみ黒胡椒も擦りこんでおく。
それを冷蔵庫で三日間ほど寝かせ、きちっとドリップ(肉汁)を切る。
その後塩抜きをして冷蔵庫内で乾燥させると仕込みの出来上がり。
一斗缶の底にクルミのチップを敷き下から七輪で炙った。
ダンボールで作ったふたをしてしばらくたつとスモークの良い香りがしだした。
だが、ここからが問題だ。
温度を上げすぎても下げすぎてもだめ。
60℃位が良さそうなのだが、ご主人様はいつも高めにしている。
それでも三時間ほどかかる。
僕は眠くなってきた。
うとうとしていると何やら声が聞こえる。
どうやら娘と彼氏が来たようだ。
二人とも手作りベーコンを楽しみにしている。
その時、スモーカーの中で何かが落ちる音がした。
「アッ! ヤベッ!!」
ご主人様が恐る恐るふたを開けると、チーズが溶けて落ちていた。
チーズをスモークするには温度が高かったようだ。
でもそんなことは気にせず、焦げたチップを払い落として娘と彼氏は食べていた。
「ウマイ!!」
ご主人様も食べてみたが、かなりいける味だった。
そしてさらに二時間ほど待つと豚バラがきれいな狐色になっていた。
「ウン、今日の出来はかなり良いぞ!」
さて、そのお味は・・・