毎年のことなのだが、今頃の時期になると、野鳥の餌にと二階のベランダに絡まっている葡萄のつるに、リンゴを置いてある。
野鳥と言っても、来るのはいつもヒヨドリだ。
ところが、今日、見たこともない綺麗な野鳥がやってきた。
大きさはヒヨドリと同じくらい。
でも体全体の模様が、ものすごく綺麗だ。
よほどお腹が空いていたのだろう、かれこれ一時間以上も回りを警戒しながらリンゴをついばんでいた。
私もしばらく見とれていたら、いつもの鳴声が聞こえてきた。
「ピーッ、ピーッ!」
ヒヨドリだ。
まるで、
「コラー!! 僕たちのリンゴだ。
勝手に食うなー!!」
とでも言わんばかりだ。
結局、この綺麗な野鳥は、ヒヨドリに追い払われてしまった。
このヒヨドリは、つがいなのだろうか。
いつも二羽で来ている。
本当になかの良いヒヨドリだ。
ヒヨドリがお腹一杯になっていなくなると、また先ほどの綺麗な野鳥がやってきた。
そして、またヒヨドリに追い払われる。
そしてまたやってくる。
今日一日、この繰り返しだった。
「おいおい、お前ら。仲良く一緒に食えよ」
とでも言ってやりたいくらいに可愛かったね。