一人想うこと :  想うままに… 気ままに… 日々徒然に…

『もう一人の自分』という小説を“けん あうる”のペンネームで出版しました。ぜひ読んでみてください。

カラスの生と死

2010-07-02 22:50:41 | 日記・エッセイ・コラム
 早朝、出勤途中のことだった。
 前の車が急にブレーキをかけ、車線を変更したのでどうしたのかな? と思っていたら、カラスが一羽、路上で息絶えていた。
 車にはねられて、まだ間もないのだろう。姿形は綺麗に残っている。
 「可愛そうに」
 そう思って横を通り過ぎると、上の方でかなり激しい気配がする。
 見上げると、カラスが一羽、街路樹に止まっているのだが、鳴き叫びながらクチバシで木の枝を叩き折っているのだ。
 それこそ、錯乱状態だ。
 恐らくは、死んだカラスのつがいか兄弟なのだろう。
愛するものが死んだ時の気持ちは人間とまったく同じだ。
 ちょっと暗い気分でその日は始まった。
 夕方、家に帰ってきて、いつものように窓の外を眺めながらバーボンを飲んでいると、聞きなれない鳴き声がする。
 「グゥワッ、グゥワッ、グルルー、グルルー」
 野鳥の鳴き声でもない。アヒルやガチョウのようにも聞こえるが、家の周りに川や池もない。
鳥と言うよりも、爬虫類の鳴き声のようにも聞こえる。
 どこだろう? と思って、ベランダに出てみると、その鳴き声は春先に一生懸命巣を作っていたカラスの巣から聞こえてきている。
 雛が孵って餌をねだっているんだろうね。
 そう言えば、このカラスの巣の親鳥は、うちの庭がテリトリーらしい。
いつも舞い降りてきては、ミミズやサクランボを取って行ってる。
 私が庭にいても、まったく警戒心がない。
私の直ぐ横に止まって、「なんかなぁ~い?」っておねだりするぐらいだ。
 餌をやるわけにもいかず、「なんにもないよ」って言うのだが、トットットって歩み寄ってくると、なんだかめんこいんだよね。
 もうすぐ雛の巣立ちの日が近いのかね。


コメント
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