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自然の中で見つけたステキなモノ

久賀島クルージング

2008年09月30日 | 五島のお話

秋分の日は旦那さんの職場のレクレーションに乗っかって久賀島へ行って来ました!
なんと今回はコースが4つ準備されていたのですが、私は行きはクルーズ船『ソレイユ』に乗って久賀島の教会を巡り、帰りはグラスボート『シーガル』に乗り換えて海中公園散策というコースで行ってきました

ずっと行ってみたいと思っていた久賀島(ひさかじま)は、福江島の北東部にある馬蹄形の島で、福江港からは船で約20分ほどで到着します。人口は約500人で、面積は37.35平方km、周囲は62.8キロkm。福江島の面積が326平方kmですから、その9分の1ほどの大きさです。やぶ椿の原生林が広がっていて、1月~2月頃に訪れると島中が真っ赤な椿の花で彩られるのだとか。キリシタンの信仰が深い場所でもあり、今回はその歴史を垣間見るべく、島に残る教会を巡ってきました。

       

まず最初に訪れたのは田の浦港から程近い浜脇教会。この教会は明治14年に建立された木造の天主堂が潮風に晒されて痛みが激しかったため、昭和6年に五島で最初の鉄筋コンクリートの教会として建立されたものなのだそうです。痛んでしまった元の教会は、同じ島内の五輪という地区の信者さんたちの要望で一旦解体され、いかだにして海を渡して五輪へ移築されました。それが後に登場する旧五輪教会です。

       

当時のお金で2万7千5百円(今で言えば2億ほど)という巨額な財産を投じて建立されたというこの教会。決して財政が豊かではなかったはずなのに、なぜこれほど立派な教会を建てようと思い立ったのか。私にはその心境がなかなか理解できませんでしたが、その背景には明治元年10月8日に行われたまさに悲劇ともいえるキリシタンへの迫害があり、救いを求める信者さんたちの強い思いがあったのです。そのことについてはこの後訪れる牢屋の窄(ろうやのさく)殉教地のところで触れることにします。

浜脇教会のステンドグラスと壁の塗装は同じ時期に一度改修されたそうで、約80年も経っているとは思えないほど真新しい感じがしました。壁にはキリストが十字架に掛けられて復活するまでの様子が描かれた14枚の絵が飾られています。

                 

この部分だけは古いままで残されていたようです。きっと改修される前の壁の色もこんな感じの色で、内部はもっと暗い雰囲気だったのかも知れませんね。

こちらが浜脇教会からほど近いところにある牢屋の窄殉教地。島中のキリシタンが逮捕され迫害された場所です。

今はこうして教会のようなものが建っていますが、当時は6坪の広さの牢に約200人が押し込められ、老若男女を問わずありとあらゆる拷問が行われ、約8ヶ月の間に39名もの方が命を落とされたのだそうです。全員が放免されたのは約2年後のことで、帰宅後まもなくさらに3名が亡くなり、犠牲者は42名となりました。中には当時まだ5歳の女の子もいたのだとか。全く信じたくはないけど、これはこの久賀島で現実にあった出来事なのです。

そんな悲惨な出来事があって、明治14年に浜脇に建てられた最初の教会がこちらの旧五輪教会。昭和6年に新しい教会が建てられる時、その役割を一度は終えたこの教会は、五輪地区の人達の強い要望でこの地に移されました。

          

移築の際に大きな改変がなされていないため、この建物は創建当時の形が残された貴重な建造物と言えます。昭和60年に新しい教会(現在の五輪教会)がすぐ隣に建てられ、再び教会としての役割を終えたこの建物は、平成11年に国の重要文化財として保存されることになりました。127年の歴史を持つこの教会の外観は瓦葺の和風な建物でありながら、内装はリブ・ヴォールト天井を用いたゴシック様式。しかもヨーロッパの教会は石造りであるのに対し、全て木造というところがすごい。天井のカーブを木で作るのには並々ならぬ努力があったのだと思います。

               

私が驚いたのは、教会の窓がなんと引き戸であったということ。この窓の形からして外側に開くものかと思ったら、両サイドからスライドして出てくるようになっているのです。これも日本の教会ならではですよね!ステンドグラスこそはまっていませんでしたが、和と洋が見事に調和したステキな教会だと思いました。

                

赤いカーテンに包まれたこの場所は、信者さんが懺悔を行うところで、中で神父さんと一対一で自分の罪を告白するのだそうです。今回案内と解説をしてくださった木口さんのお話では、子どもの頃この懺悔室に入り、「友達に思いやりのないことを言った」などの日常の罪を告白していたのだそうですが、特に罪が思いつかないときは、その罪を忘れたことを罪としていたのだとか。子ども達にとってはちょっと苦手な場所でもあったようです。

今回久賀島のキリシタンの悲しい歴史を知り、同時に人間の「怖さ」と「強さ」を知りました。キリスト教徒であろうが仏教徒であろうがみんな同じ人間なのに、その違いをよしとせず、多数派が少数派を暴力という手段で飲み込もうとする人間の怖さ。多かれ少なかれ、もしかしたらそれは人間ならば誰でも持ち合わせている感覚なのかもしれない。同時に人間はとんでもない苦境から這い上がり、立ち直る強さを持っている。その強さがこの日本では宗教の自由を勝ち取ったといえるのかも知れない。しかし、そこにたくさんの犠牲者がいたことを、私達は決して忘れてはいけない。「お互いの違いを認め合うこと。」これってとっても大切なこと。怖さと強さを併せ持つ私達だからこそ、このことをずっと心に留めて生きていきたいものです。

          

帰りはグラスボート『シーガル』に乗り換え、いざ海中公園へ!

海中公園では五島近海に生きる珊瑚や熱帯魚を観察しました。写真の中に見える青くて小さな魚はソラスズメダイで、ニモで有名になったカクレクマノミイソギンチャクなどもたくさん見ることができました。福江に来たらぜひ一度シーガルに乗って海中探険をしてみてください。季節は夏がおススメでーす

さて、今週は上五島のさらに北の方に位置する宇久島(うくじま)に行ってきます。台風15号がさっさと九州南部を通り過ぎてくれることを期待しつつ、宇久島ツアーに備えたいと思いまーす


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