退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界

2015-01-04 09:08:18 | 韓で遊ぶ


消えない落書き

去年の春、私の家族は庭のある家に引越しをしました。井戸があって、まだ熟していないなつめの実がなった木のある、そんな家です。貸し間を転々とした末に始めて手に入れた自分の家なので、家族はみんなウキウキしていました。
よく問題を起こす息子、娘のために、いつも大家のおばさんの小言を聞かなければならない母親が、誰よりも喜んでいました。引越し荷物をほどくなり私に与えられた仕事は、塀いっぱい書かれた落書きを消すことでした。
下手な字、どこかわからない住所、略図、、、。
私は深い井戸から水を汲んで落書きをきれいに消しました。
「あ、きれいになった。」
ところが、本当におかしなことが起こりました。次の日の朝、目をこすって出てみると、私ががんばって消した文字が皆よみがえっているのでした。
「お、おかしいわ。お化けでも来たのかしら。でなければ、月の光に文字が生き返る妖怪塀なのかしら。」
本当に理解できないことでした。
私は訳のわからないまま、また井戸から水を汲みあげて落書きを消し、母に見てもらいました。
「きれいによく消したね、、、。いい子だ。」
母は頭をなでてほめてくれました。ですがおかしなことは次の日も、また次の日も続きました。誰かが昨日と同じ落書きをいっぱいにするのです。
「一体誰がこんなことを、、」
私は落書きを消しながら、捕まえたらきつく叱ってやると心に決めて、夕方から見張ることにしました。するとその日の夕方、二人の少年の影が塀にちらつきました。犯人がわかりました。
「兄さん、お父さんが天国からこれを見て引っ越し先の家に来るって言ったでしょ。」
「もちろんだ。お父さんは配達人だったからすぐ見つけるさ。」
兄弟は天国へ行った父親が引っ越し先の家に来ることができないのではと思って、塀にいっぱいに略図を書いて、また書いたのでした。私はその日以後、落書きを消すことができませんでした。まだ私の家の塀にはゆがんでいる落書きが鮮明に残っています。


http://tip.daum.net/question/38957265?category_id=QJK015&q=tv%25EB%258F%2599%25ED%2599%2594%25EB%25B3%25B4%25EA%25B8%25B0&srchid=NKS2dSYz
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