退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界

2015-01-19 06:43:21 | 韓で遊ぶ


娘のための祈り

出勤時間の混雑が過ぎて少し空いてきた地下鉄での話です。
そこは地下鉄行商人と呼ばれる人たちの営業舞台になったりもします。
その日も、そうでした。
「さあ、宣伝期間に限り、たったの1000ウォンです。超強力、スーパーウルトラ接着剤が1000ウォンです。」
強力接着剤と多用途包丁を売る人がひとしきり熱弁を振るって行った後、一人の男が後に続きました。憔悴したパッとしない顔の男は、しばらくためらいましたが勇気を出すように大きな声で叫びました。
「あの、、、皆さん、私の話をちょっとだけ聞いてください。」
乗客の視線を集めると、その男は一言一言事情を話しました。
「私には4歳の娘が一人います。とてもいい子でかわいい子です。」
ですが、その子が、そのいい子でかわいい娘が不治の病にかかり死にそうだと言うことでした。
そこまで話をした時、乗客は男が物を売るために嘘の話をしているのだと思いました。不愉快になった乗客は顔を背けました。
その時、男が背中に背負ったかばんから本を一冊取り出しました。そして本を売る代わりに、その本を広げて見せて言いました。そのページにはこのように書かれていました。
「祈りが願いをかなえてくれる。」
「たくさんの人々が一緒に祈ってくれたら、願いがかなうと言っています。皆さん、どうか私の娘が助かるように祈ってください。私の娘の名前はスンヒです、、、。お願いします。」
男はお辞儀をして次の車両に行きました。
しばし沈黙が流れました。
次の瞬間、乗客は誰が先と言うこともなく、手を合わせました。そして祈りました。
やっと、4歳!死ぬにはあまりにも幼い子供スンヒのために。祈りを売る父のために、、、
コメント
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