退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界

2015-01-22 04:06:12 | 韓で遊ぶ


父と息子

人里はなれた山里の粗末な家に、農業をする父と娘一人、二人の息子が暮らしていました。
この家は3姉弟の中の一人しか学校へ通えないほどの貧しい暮らしでした。
考えた末、家族はなべを回して学校へ誰が行くかを決めることにしました。この特別な抽選の結果、学校へ行くことができる幸運は2番目の息子に回って行きました。
「お。えっ、、」
「約束通り、お前が学校へ行くことになった。」
「ご、、、ごめんね、姉さん。」
学校は小川の向こうにありました。2番目は姉さんと弟に対するすまない気持ちに答えようと、誰よりも一生懸命勉強しました。
夏が来て梅雨になりました。土砂降りの雨で水が増して小川は急流になってしまい、少年が学校へ行こうと行った時には、赤味を帯び濁った水が飛び石を飲み込んだ後でした。
その時、父が近づいてきて地団駄を踏んでいる息子を背中に負ぶって川を渡って行きました。
「ほほ、お前もずいぶん大きくなったな。」
父はいつの間にか大きくなって重くなった息子を頼もしく健気に思いました。
それから1ヵ月後、しばらく具合の悪かった父が寝込んでしまいました。
姉と弟は朝早くからお金を稼ぎに出て行き、2番目が父の世話をすることになりました。息子は欠席することが嫌でしたが、病んでいる父を家に一人置いて行くことはできませんでした。
父は病んだ体にもかかわらず、息子が学校へ行けないことを心配しました。
「コンコン、俺は大丈夫だ、早く学校へ行かないと、、」
息子はしばらく悩んだ末、父を背負って小川を渡って学校に向かいました。夏に父がそうしてくれたように、父を背負ってです。
教室の片隅の日のよく入る窓辺で、一日中息子を見守る父は、その一日が辛かったのですがとても幸福でした。
コメント
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