森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

森林の公益的機能ー秩父は今日も雨

2005年10月19日 | 森林・自然・環境教育

此処彼処の草むらに蟋蟀が鳴く、「蟋蟀在戸」の季節。

『何故、森林が必要なのですか?』 

東大秩父演習林の昨日の講義は、森林の『環境保全(多面的)機能』と『物質生産機能』について。団粒構造、浸透能、森林褐色土、等など、森林オタクにとっては入門編の講義を一時間程受けたのち、いつもの東京大学バスで演習林に向かう。

今日も雨。記憶では、春からのこの講座で晴天になったのは、秩父の文化・風習を知る講義(だったけ?)で、三峰神社などをほぼ一日バスで周遊した日だけだったと思う。その日は、抜けるような五月晴れの一日。現世から離れた山の上、神のお膝元で、こんなにゆったりしていいのだろうか、自責の念にとらわれる程の上天気だった。神様はちゃんとバランスをとるのでしょう。その後はいつも雨曇、しとしと雨。もう、充分悪天候をいただきましたから、秩父の秋を太陽で輝かせてください。次回は秋晴れか、悪くてもうす曇り。神様は見ている。と、信じている。

森林の土壌は100年で1cm程度しかできない。秩父の広葉樹の森では、年に1ヘクタール当り2-4トンの落葉があるそうだ。年によってかなりばらつきがあるらしい。一本の木が一年間に出す葉っぱの量が年によって異なる。気温や日照時間が異なると、光合成を行う葉っぱの成長量に影響を与えるので当然だろう。落葉の量や、落葉から樹種を特定するための落葉採取器。直径0.8メートル。これで1Kgの落葉。一枚一枚、ブナ・イヌブナ、その他に分類し、秩父の山のブナ類の混生状態を調べるらしい。

IMG_0209 50年弱の杉の間伐地IMG_0201 、複層林IMG_0205 、森林土壌の断面などの講義を受けながら演習林を歩く途中でコガネタケの群生を見つけた。IMG_0206

知る人ぞ知る、香ばしく歯応えのあるキノコ。講義をそっちのけに、空いている籠の弁当箱につめた。家に持ち帰り、茹でようか、煮ようか、焼こうか悩んで、結局焼いて食べた。でも、焼き方が足りなかったせいか、家族が警戒しながら食べたせいか、我が家での風味はいまひとつ。先日、「森の時間」で大きな一本を丸焼きにして、三人で大事に分けて食べたときの方が歯応え、風味ともに断然良かった。美味しく感じるかどうかは、主観的なものであるが、雰囲気であり、見た目であり、その時の気分。

雨の秩父。本日の収穫は出会い。見るからにまじめそうな方とバスの中で隣合せ、お話したこと。見た通りのまじめの方でした。帰りのレッドアロー号では別のお二人と一緒になり、時を忘れてお話が出来たこと。お二人共、採取された葉っぱを標本にされている。森林、樹木への情熱に圧倒される。M氏は森林インストラクターでした。「私もそうです!」 心地よい話のテンポに誘い出されるように、私も森林インストラクターを告白してしまい、挙句にビオトープ管理士や生態系保護指導員なぞと、私の日常の行動様式からかけ離れたことが書いてある名刺までお渡ししてしまいました。 『公示』して自分を追い込む。これも一つの術。やるっきゃない!(社民党オタカさん。ちょと古い。)

職縁とは異なる世界の方々と知り合いになる。新しい出会いと発見、変化、刺激。人と自然界の生き物から学び、遊ぶ。更に出会い、聴いて、話して、見て、触って、時には飲んで、食べて・・・。五感全てを駆使する。人生やってる感じになります。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする