オオトラカミキリ(Xylotrechus villioni)
「いいもん見せてやるよ」
友人Y氏に言われた私は、今日は何かなとワクワクしながら付いていった。
この前は、群馬の林内に落ちていたというコノハズクの亡骸を見せてくれた。くれ、といったら断られた。剥製にするらしい。
彼が指差すモミの木にとまっていたのは、ハチの類かと思うほどに黄色くて虎縞の入った、立派なオオトラカミキリの雌だった。
本種は普段、モミなどの樹幹部を生息圏にしていて、産卵期の晩夏にだけ産卵のため幹を降りてくる。
彼は、このカミキリの珍しさを興奮気味に語った。
なんでも、食樹や産卵時期が分かったところで、そう簡単に見つかるような代物では無いらしい。例えばモミの林にこのオオトラカミキリを狙って30回探しに行ったところで、1回見つかるかどうか、というほどの遭遇率の低さだそうだ。
私なら、5回行って目的の鳥が見つからなければ諦めてしまうかもしれない。オオトラ繋がりのオオトラツグミなんかよりオオトラカミキリの方がよっぽど見るのが難しそうだ。
それにしてもこのオオトラカミキリ、胸部がセレブな襟巻きをしているような分厚さをしている。なんというか、エリマキシギの雄成鳥夏羽が飾り羽を膨らませているようなボリュームだ。
【2011/09/27/神奈川 Kanagawa,Japan/Sep.2011】
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