タイワンガザミ(Portunus pelagicus) & イシガニ(Charybdis japonica)
朝晩の風がもうだいぶ冷たくなった休日。4人ほど集まって江ノ島へ釣りに行った。
特に友人Y氏とこの季節に江ノ島へ行くのはもう毎年の恒例行事となっていた。
昨年の今頃はカワハギが豊作で、半日で10尾以上も釣れたのが記憶に新しい。
なぜ普段、殆ど釣りもしないのに、この時ばかりはほぼ始発の電車に乗り込んでまで釣りに行くかと言うと、その理由はカワハギにあった。この季節になるとカワハギの “ 肝 ” が肥大してくる。釣れたてカワハギの淡泊で歯ごたえのある刺身を、このカワハギの肝を醤油に溶いたものにつけて食べると、口内がえもいわれぬ濃厚な旨みに支配され、最高な味わいが巻き起こる。
しかし、その辺のスーパーに売っているカワハギは鮮度の観点からこのせっかくの肝が取り除かれた状態で売られている。つまりこの最高の味は釣ってこそ得られるものなのだ。
ところが釣りはじめて数時間経っても、4人で1尾しかカワハギが釣れない。
そこで昼頃になってからやっと、仕方なく防波堤へと釣り場を移した。
防波堤に移動するということは本来の目的であるカワハギから外れることとなり、今までの経験からしてシロギスが数尾と運が良ければシログチが望める程度になる。ここでカワハギが釣れる望みがもう無くなったことで、私のやる気は一気に下降してしまった。
口数も少なく、底が砂地の場所をズル引きストップ&ゴーをしていると、(確か)私の針に、小さいが青味の強いカニがついてきた。半分寝ていた私の頭は、食欲で一気に目覚めた。
それはタイワンガザミの雄だった。昨年、江ノ島のたもとに注ぐ境川河口にいくつものカニトラップを仕掛けたもののモクズガニやイシガニしかかからず、志半ばに諦めかけていたその “美味しいと噂のカニ” だった(このモクズガニは生育環境の悪さからか、パスタにしたらドブ川のような風味になった)。
カニが釣れることが分かったら皆すぐに、カニ釣りに変更。
こうして夕方まで釣り続け、8杯のタイワンガザミと1杯のイシガニを得た。
夕方、Y氏の竿にとんでもなく巨大なカニがかかり、これがギリギリおさまるかどうかの50cm径の玉網で皆で岸に上げようとしたのだけれど、上手くいかず逃げられてしまった。「はじめ、地球が釣れたかと思ったんだ。」まさに夢のようなヌシをかけ、見事にこれを逃した私達は、くやしくて、けれどその存在にワクワクして、興奮がしばらくおさまらなかった。
ワタリガニ(タイワンガザミ)のパスタ
釣った食材は即調理。シェフ、Y氏にかかればこの通り!
タイワンガザミの全てが詰まったこのこのパスタ、あまりにも最高に美味くてほっぺが落下した。
皆、ひとくち食べるごとに驚きと笑顔の入り混じった表情で「うまっ!!」と思わず叫んで、山盛りの皿はすぐに空のカニ殻だけになった。
江ノ島のねこ
※撮影:スマートフォンのカメラ
【Enoshima, Kanagawa pref. Japan/10th November, 2012】
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