ミフウズラ(Turnix suscitator okinavensis) Barred Buttonquail
ここ与那国島は、南西諸島の中で宮古に次いでミフウズラの多い島だと思う。
“この道、いかにもミフウズラがいそう!”というノリで選んだ道を行けば、いかにも登場したミフウズラ。ほとんどの個体はこちらが気づいた頃にはもう走り出していて、止まらずにそのまま姿を消すパターンが多い。けれど、たまたまこの雄は優柔不断な性格らしく、道路を横断しようかどうか立ち止まって迷ったあげく、結局横断せずに出てきた小藪へと戻っていた。
こんな見た目の割りに結構な飛翔力の持ち主で、たまに地面からほぼ垂直に飛び立つ場面に遭遇すると驚く。
日本の分類では少し前までツル目だったこの鳥、今ではチドリ目になている。
ジョウビタキ(Phoenicurus auroreus auroreus) Daurian Redstart
タイワンヒヨドリ(Hypsipetes amaurotis nagamichii) Brown-eared Bulbul
【Yonaguni Is. (与那国島) Okinawa, Japan/29th Oct. 2012】
アオタテハモドキ(Junonia orithya)
目の覚めるような輝くシーブルーの後翅を持つアオタテハモドキの雄が、畑の縁に群生するセンダングサの花を訪れた。この鮮青色は、光の当たり具合によって濃淡に変化して見える。
眼状紋の大きな雌の中には後翅にこの青色が出る個体がいて、それはそれは驚くほど鮮やかな姿をしていた。しかし魚眼レンズで撮ろうと近づくと飛び立ち、それきり戻っては来なかった。
リュウキュウヒメジャノメ(Mycalesis madjicosa)
暗い林内ではリュウキュウヒメジャノメが足元をゆっくりと飛ぶ。
【Yonaguni Is. (与那国島) Okinawa, Japan/29th Oct. 2012】
ホオジロハクセキレイ(Motacilla alba leucopsis) White Wagtail
島中央部の水田は干上がり、シギチの姿はない。鳥影の少ない島を、鳥のいそうなポイントを探してまわる。
Dr.コトー診療所横の小学校のグランドにはホオジロハクセキレイがいた。春秋の八重山に訪れるのが久しぶりなこともあって、過眼線のないハクセキレイを見るのもしばらくぶりだ。
ツツドリ(Cuculus poliocephalus) Oriental Cuckoo imm. → ad.
ミサゴ(Pandion haliaetus haliaetus) Osprey
シマアカモズ(Lanius cristatus lucionensis) Brown Shrike
コチドリ(Charadrius dubius curonicus) Little Ringed Plover
アカガシラサギ(Ardeola bacchus) Chinese Pond Heron
【Yonaguni Is. (与那国島) Okinawa, Japan/28th Oct. 2012】
ムジセッカ(Phylloscopus fuscatus fuscatus) Dusky Warbler
早朝の静まり返ったマングローブ林。まずはじめに声を発したのはムジセッカだった。
同じようにシベセンが出てきたらもっと嬉しかったのだけれど。
【Yonaguni Is. (与那国島) Okinawa, Japan/28th Oct. 2012】
ヨナグニウマと東崎
2012年の10月末に、初めての与那国島へ渡った。
往路の10月27日は全国的に大荒れの天候で、石垣発の小さな飛行機の機体は風に煽られ怖いぐらいにガタガタと揺れた。
その飛行機の機内から見えてきた与那国島は、今まで訪れた他のどの南西諸島とも違う形をしていた。島の周りは黒い断崖が囲み、台地状に盛り上がった土地には畑が多く、森は中央部の山並みのあたりにのみ見えた。東の端の辺りははどういうわけか綺麗に丸刈りになっている。
踏みしめた初上陸の与那国島は風が吹き荒れていて、とても私を歓迎してくれているような雰囲気ではない。しかし春秋の八重山といえば不安定な気候が代名詞になるくらいで、もはや私は慣れっこになっていた。そんなことよりこの悪天がどんな鳥を運んでくるのかと思うとむしろ心躍るのだった。
初日は嵐の中、島を概観する程度で大した結果も無く終了。こんな日は鳥もブッシュの中でじっと体力温存しているのだろう。
マミジロタヒバリ(Anthus richardi richardi) Richard's Pipit
昨日の嵐が嘘のように穏やかな10月28日の朝。
夜明けの東崎にはたくさんのマミジロタヒバリとツメナガセキレイが入っていて、体力回復のための餌取りに夢中だった。
与那国島には東西2つの岬があり、それぞれ日が昇る東崎(アガリザキ)、日の入る西崎(イリザキ)という名が付いている。
この東崎は実際に来てみるとやはり飛行機から見た時のように草が綺麗に短く刈り込まれていて、いかにもヤツガシラやセキレイ・タヒバリ類が好みそうな環境になっているのだが、その理由はすぐにわかった。テキサスゲートで区切られた東崎には与那国馬が放牧されていて、彼らが食むことでここの草丈は一様に短く保たれていたのだ。
その中でもトゲのあるツルアダンの群落は食べられずに残り、不思議な光景を作り出していた。
【Yonaguni Is. (与那国島) Okinawa, Japan/27-28th Oct. 2012】