7月に見つけた花
オオツルコウジ(大蔓柑子)
Ardisia walkeri Yuen P.Yang
サクラソウ科 ツルコウジ属
花期 : 7~8月
生育地 : 丘陵地の林床、林縁 海岸林内
分布 : 本州(千葉県以西)~九州(長崎県、大分県、鹿児島県)
RDB指定 : 環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類
近くにツルコウジとヤブコウジの群落があるところに、オオツルコウジらしき植物が自生していました
オオツルコウジは、ツルコウジとヤブコウジの中間的な特徴を持つ植物で、両者の交雑とも考えられている
ツルコウジやヤブコウジは、普通に見られる植物ですが、オオツルコウジは環境省の絶滅危惧ⅠB類に指定される程希少な植物なのです
オオツルコウジは、ツルコウジのように送出枝に葉をつけず、萼片に毛がないとされている
オオツルコウジとツルコウジ、ヤブコウジの比較を行い細部の確認を行ってみよう
オオツルコウジの葉の質感、形、鋸歯の様子は、ツルコウジとは異なり、どちらかというとヤブコウジに近い
葉はツルコウジより大きく、鋸歯は荒く尖っておらず、ヤブコウジに似る
しかし、ヤブコウジの葉や枝が無毛なのに対して、オオツルコウジは長毛が生えている
ただ、その量はツルコウジと比較して少ない
オオツルコウジの毛
ピントが合っていないが、枝に長毛が生えているのがわかる
オオツルコウジの葉や萼片、花柄にはまばらに毛が生えており、無毛のヤブコジと長毛が多いツルコウジの中間的な性質と言える
尚、オオツルコウジの萼片は無毛と説明している資料もあるが、この個体に関してはわずかに毛が見られる
花の比較
オオツルコウジの花の形はツルコウジに近い
オオツルコウジやツルコウジの花弁は平開し反り返るのに対して、ヤブコウジは平開する事は少ない
萼片の長さはオオツルコウジやツルコウジと比べてヤブコウジは短く無毛
ツルコウジの萼片の毛はオオツルコウジやヤブコウジに比べて、極端に多い
まとめてみると
①オオツルコウジの葉の大きさ、質感、形状、鋸歯の様子はヤブコウジに似る
②オオツルコウジの花の形状はツルコウジに似る
③萼片、花柄、枝、葉の毛の量は、無毛のヤブコウジと多毛なツルコウジの中間的な性質
以上の観察結果は、あくまで私が観察した個体の様子であり、個体差により異なってくると思われるが、この個体がオオツルコウジである事は間違いないと思われる
希少なオオツルコウジを観察する機会に恵まれ幸運であった