花追い放浪記

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コモウセンゴケ コウの花図鑑

2023-05-23 | コウの花図鑑

5月に見つけた野草の花

 

コモウセンゴケ(小毛氈苔)

 Drosera spatulata Labill.

 

モウセンゴケ科 コモウセンゴケ属

花 期 : 5~9月

生育地 : 日当りの良い酸性湿地等

分 布 : 本州~九州、沖縄

RL指定 : 長崎県準絶滅危惧種

撮影 5月 長崎県

 

当ブログで、過去ヒュウガコモウセンゴケとしていたものは、どうやらコモウセンゴケであるようなので、訂正します

自生地は長崎のヒュウガコモウセンゴケ生息地のすぐ近くで、当群落は、ヒュウガコモウセンゴケとの説明を受けていたため、よく考えませんでした

長崎のヒュウガコモウセンゴケは、絶滅してしまったようで、今となっては撮影しなかった事を後悔しています

 

コモウセンゴケは、貧栄養地に生息する粘着式の食虫植物で、昆虫等を消化して栄養の一部とする

モウセンゴケとコモウセンゴケの雑種であるヒュウガコモウセンゴケは、2n=30の三倍体であり、葉の不定芽により栄養繁殖を行う

交雑種の稔性は、二倍体が不稔で一代限り、三倍体は不稔であるが、栄養繁殖能力を獲得する場合があり、四倍体は稔性を有する

 

ヒュウガコモウセンゴケの葉形は、丸形のモウセンゴケとヘラ形のコモウセンゴケの中間で、さじ形となる

また、葉長に対しての腺毛部位長の比率は、トウカイコモウセンゴケと同様で0.5に近く、これもモウセンゴケとコモウセンゴケのちょうど中間型を示す

私が過去撮影した個体を観察してみると、葉はヘラ形で、葉柄にまで腺毛が生えている事からコモウセンゴケであるようだ

ニュージーランドに自生するコモウセンゴケは、2n=20の染色体を持ち、日本産の祖先で、分布を北に拡大する中で倍化したと考えられている

 

下図は絶滅以前に、他の方が撮影された長崎のヒュウガコモウセンゴケの画像

(勝手に掲載して申し訳ありません)

葉の形、腺毛の生え方を見ても、コモウセンゴケに見えます

長崎のものは、本当にヒュウガコモウセンゴケだったのでしょうか?

初版 2015年5月27日

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