ヤッコソウが自生する宮崎県延岡市の鏡山付近には、多くのサザンカが自生している
サザンカは温暖な地域に分布し、四国、九州および山口県に自生し、同県の萩市指月山が自生北限と言われている
指月山には、ずいぶん昔に訪れた事があったが、サザンカの事には全く関心がなかったので、気づくはずもない
下図は、まだデジタルカメラが普及していなかったその昔、コダック製デジカメで撮影した萩城跡と指月山
今のデジタルカメラには遠く及ばない低級な画質であった
長崎県北部では、少し山地に登って行けば、信じられない程多くのサザンカが自生していた
なので、サザンカはこの地域にあったと言われている、氷河期のレフュジアから九州北部、四国、山口県に分布を広げた植物なのではないかと考えていた
しかし、宮崎県で多くのサザンカを見つけ、それは間違っているのだろうと考えを改めた
サザンカは、九州西部に偏った分布を示す植物ではないのだ
先日アゼトウナの項で言及した、ホソバワダンは、明らかに九州西部に偏った分布を示す九州西回り分布植物で、長崎県付近のレフュジアから北上したものと考えれるのである
長崎県でごく普通に見られるが、大分県には全く自生していないアオモジも同様なのだ
宮崎県の風光明媚な海岸
サザンカは、花芽(シュート)の形成、発達段階までは、温暖な気候が適しているのだが、それ以降の雄蕊形成~開花までの期間の高温は、花芽の発育抑制、花芽の落下を促す故、冷涼な気候が望ましいようだ
このような理由により、長崎県や宮崎県近辺は、実に適した気候のようで、このようにサザンカが繁殖しているのだろうと思われるが、昨今の温暖化により、自生適地は北に移っていくものと思われる
また、温暖化による気温の上昇は、花の大きさや数を増すという報告もあり、これはサザンカに限った事ではなく、生物季節現象や花の形態に影響を与えるものと考えられるとの事
参考資料)
夏期の温度および日長がサザンカの開花に及ぼす影響
年間を通じた気温上昇がサザンカの開花に及ぼす影響
学名:Camellia sasanqua Thunb.
和名:サザンカ(山茶花)
ツバキ科 ツバキ属
撮影 2022年11月 宮崎県
初版 2013年11月15日
記事アップロード 2022年12月03日
画像アップロード 2022年11月26日