7月に見つけた野草の花(九州北部)
シロテンマ(白天麻)
Gastrodia elata Blume var. pallens Kitag.
ラン科 オニノヤガラ属
花 期 : 6~7月
生育地 : 広葉樹林の林床、林縁
分 布 : 北海道~九州
RL指定 : 環境省絶滅危惧ⅠA類
この図鑑に掲載した画像は、福岡、佐賀、大分で活動しているヤマッパーのカヲルさん了承の上、お借りしたものです
本年はことのほか開花が早く、連絡をいただいた時は調整がつかず、現地に出向くことができなかったのです
シロテンマはオニノヤガラの白花品種かと思いきや、学名を確認すると、オニノヤガラの変種扱いとなっている
pallensとは【淡い色】という意味で、オニノヤガラの淡い色変種という意味になる
変種というからには、色味の他にも生態的、形質的、分布的な差異があるはずである
調べてみると、花の数が、オニノヤガラの20~50個に対して、シロテンマは多くても20個以下のようだ
花の色は、基本的に白だが、やや緑色を帯びる場合もあるとの事
花期は、オニノヤガラよりやや遅いとの情報も確認した
分布的には、オニノヤガラと同様、北海道~九州となっている
シロテンマ(オニノヤガラ)は、ナラタケから炭素供給を受けている事が知られているが、実生の初期の段階までは、クヌギタケ属の菌と共生する
光環境により繁殖様式に影響を受け、暗い環境ではアポミクシスによる種子の生産を行うが、明るい環境では、コハナバチによる他殖を行う事が多い
繁殖を自殖に頼る菌従属栄養植物は、適応進化に劣り、環境変化に脆弱で絶滅の危機がより深刻となる
よってシロテンマ(オニノヤガラ)のように自殖と他殖を併せ持つ事が重要なのだろう
草丈は、参照する資料によりまちまちだが、オニノヤガラより小さい事は間違いないようだ
下図のごとく、小さくて、花穂の花が少ない