2019年に訪れた際、砂浜に長く匍匐しているグンバイヒルガオが見られたのだが、今年再訪してみると、砂浜には全く見られず、砂際の歩道脇に残るのみであった
おそらく台風の高波でさらわれてしまったのだろう
グンバイヒルガオは、南方系の植物で温暖な地域に分布するものだが、地球温暖化により北に分布を広げ、現在高知市にも定着(越冬)しているようだ
大分県では、蒲江の屋形島、小浦、元猿海岸で見られるとの事だが、定着(越冬)しているのは、元猿海岸のみ
ちなみに大分県では絶滅危惧ⅠA類、宮崎県では絶滅危惧Ⅱ類に分類されている
宮崎県の海岸に生息するグンバイヒルガオ
グンバイヒルガオは、ノアサガオ、ハマヒルガオ等と同様に、温帯~熱帯に分布するもので、海流散布により日本に漂着し定着したものと考えられている
その他にも熱帯起源のアサガオ科で、ヨルガオ、モミジヒルガオ等、8種の実生個体が海岸で確認され、これらは黒潮により運ばれ海岸に漂着し発芽したものと考えられる
引用)九州における熱帯産ヒルガオ科植物の海流散布
長崎県の西彼崎戸町では、6月ごろになると、海岸にノアサガオの花が咲き乱れ、島をポタリングするついでに花を撮影する事もあった
遠い昔に南の国から海流に運ばれてやって来た植物だと思うと、少しロマンチックな気分になったものだ
下図は崎戸町に自生する在来ノアサガオで、よく道端等で見られる園芸品逸出のオーシャンブルーとは違う
崎戸町には、逸出したオーシャンブルーも見られ、在来ノアサガオと混同してしまう人もいるようだ
グンバイヒルガオは、広大な分布域をもつ汎熱帯海流散布植物で、遺伝子の解析を行った結果、インド洋‐西太平洋地域と大西洋‐東太平洋地域に、それぞれ特有のハプロタイプが分布している事がわかった
2地域の広大な領域に同一のハプロタイプが見られる事から、海流による種子散布が、非常に大きな範囲で遺伝子流動の維持に貢献していると推測される
引用)核マーカーによって示された汎熱帯海流散布植物グンバイヒルガオ(ヒルガオ科)の地理的構造
学名:Ipomoea pes-caprae (L.) R.Br.
和名:グンバイヒルガオ(軍配昼顔)
ヒルガオ科 サツマイモ属
撮影 2022年11月 宮崎県
初版 2019年11月04日
記事アップロード 2022年12月01日
画像アップロード 2022年11月28日